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Macに踏み切るきっかけとその後

2005.02.10 11:22 JST - - ()

 Macの話を書くとtrackbackをたくさん頂戴してうれしいです。ありがとうございます。今回はSFCの中でじわじわと広がるMacユーザーについての生の意見を集めて、Macに移行する以前、移行のきっかけ、その後を追いかけてみました。僕は闇雲にMacが素晴らしい、だから使うべきだ、と言っているわけではない。本当は声高に叫びたいという気持ちもあるけれど。基本的にWindows=パソコンなわけだけれど、他のモノを知らないで使っていることと、知っていて選ぶこととは意味が違うのです。


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 試験やレポートのシーズンも終わり休みに入ると、SFCの様々なインフラがメインテナンスやリプレイスに入る。それは学生が日常的に使うコンピュータやネットワークの設備からキャンパス内の通路の補修、単位や履修の仕組み、カリキュラムなど、キャンパス内のソフトやハードから、最寄りの駅からキャンパスまでのバス交通の見直しまで多岐にわたる。時代のスピードにあわせた更新作業と、他の大学やキャンパスに比べたらまだまだ若い部類に入る発展途中のキャンパスの構築作業とが同時に進行していく様子はダイナミックに映る。

 メディアセンターはキャンパスのおおよそ中心に位置している建物で、図書館、ワークステーションルーム、グループワークルームなどを持っている。授業が終わった学生が立ち寄りやすい位置と機能を持っている建物として親しまれている。この春休みに入ってメディアセンターの1Fの雰囲気が少し変わった。何台ものPowerMac G5のセットが導入されたのだ。シネマディスプレイとアルミのボディが何台も机の上に並んでおり、ヘッドフォンが接続されており、鍵盤キーボードがセットされているものもある。巨大な銀色の空間の登場は、まるでモノリスのようにも見える。

 1999年ごろSFCに導入されていたコンピュータのうち、音楽編集やビデオ編集が出来るマシンはMacがほとんどだった。ビデオ提出の課題が出るとメディアセンターか、Macが40台近く導入されていて学生が自由に使うことが出来る特別教室(「Mac部屋」と呼ばれている)で作業を行う必要があった。そのため学生にとって「音楽・ビデオ編集ならMac」というイメージがあった。しかしその後導入されたほぼ全てのWindowsマシンにはデジタルビデオのインターフェイスが搭載されてビデオ編集ソフトもインストールされたため、「音楽・ビデオ編集ならMac」という印象は消えていった。多くの人が普段ノートパソコンで使っているインターフェイスと同じWindowsでビデオ編集ができるようになったと、便利さすら感じたのではないだろうか。

 こうしてMacの印象が消えていった一方で、iPodはSFCのキャンパスでも人気だ。コンピュータが身近にあって情報も豊富に入ってくる関係で、学生の間で普及しているデジタルプレーヤーに占めるiPodの割合は一般的なシェアより低いかもしれない。またiTunesはWindowsでも使えるようになっているため、iPodだからMacにするという直接的な買い換えの動機には結びつかない。それでもMacに興味を持つ機会は増えてきた。SFCにも元々Macを使っていたユーザーがいて、彼らが持っているMacを見せてもらったり、実際に少し触れてみたり、話を聞いたりするようになってきた。

 そうしているうちにMacへの乗り換えに踏み切る学生も出てきている。僕の身の回りで乗り換えた学生に、そのきっかけを聞いてみた。例えばある文系の学生は「とにかく文字などの画面表示がきれいで気に入ったのがきっかけだった」と言う。「コンピュータの画面でたくさんの文字を書いたり読んだりすることが多いため、Windowsの時よりも読みやすくてはかどるのではないかと思った」とのことだ。「それに加えて使い始めてからは、今だけかもしれないがキャンパスで蔓延しているメールで感染する多くのウイルスに頭を抱えることもなくなった」と話す。

 コンピュータとユーザーの関係に興味があるiBookを使い始めたという学生はこう話す。「初めはWindowsとMacとでウインドウを閉じるボタンの位置が違うな、と言う程度の認識だったが、たくさん開いたソフトやウインドウの切り替えをグラフィカルにマウス操作でできるようになっていて、そこにインパクトを覚えて使い始めた。最初は同じMicrosoft Officeで作ったファイルでも上手く表示されなかったりしたことがあったが、それがきっかけになってかえって互換性や相手の環境を気にしながら使うと言うことを思い出した」

 プログラムを作る学生はまた違った視点で語ってくれる。「ウェブサーバ向けのプログラミングをするときにはUNIX環境がある方がありがたいため、Windowsを使っているときもわざわざUNIXのシェルを導入していた。この煩わしさが解決されるのでは? と思ってMacにした。もともとUNIXベースのMacならUNIX関係のコマンドも当然のように揃っていて、開発が楽になった。ケータイ向けアプリのデバッグができないのが困ったところだ。仕方がないのでパケット定額制のケータイにダウンロードしてデバッグ作業をしている」

 また別の学生によると、SFCで学年が進んだことがきっかけでMacに買い換えたという。「学年が進んでいくうちにコンピュータについてだんだん分かってきたという点、自分で完結する作業が増えてきた点、例えグループワークをするとしてもデータの互換性の上でもさほど問題はない点がわかった」と、安く買えるとしてつい先頃Mac miniを購入したそうだ。SFCに入学したての頃はわからないことが多いからでWindowsの方が皆と同じで便利、学年が進んでいくとMacでも困らなくなってくる、という変化があるとは思いも寄らなかった。

 このように使い始めたきっかけ、使い始めた後に見出した気に入っている点は様々だが、そんな彼らが口を揃えて言うことは、「音楽や写真やビデオの楽しみ方が変わった」ということだ。購入すると初めからインストールされているiLifeソフトウエアは、テキストを主体にコンピュータを使っている人に音楽や写真の管理を、文字の多いプレゼンテーションスライドに偏りがちだった人には写真のスライドショーという面白さを、プログラマにはDVD編集を、それぞれもたらした。

 そうしてもたらされた新たなフィールドは、個人の楽しみに留まらず、写真やムービーなどを友人やサークルや研究室の友達と楽しむようになっていく。メールで飲み会の写真を送ったり、集まった場でオリジナルDVDを見たり。あるいはそれらをプリントしたり焼いたりして配ったりもする。これはSFCのキャンパスの中でもごく一部のMacユーザーとその周りの学生の話であるが、少なくとも彼らにとっては、一度は消えた「音楽やビデオはMac」というイメージを、新たな形で取り戻しつつある。しかしそれは専門的というよりは、日頃の楽しみの領域だ。

 しかしSFCの学生の間でのMacへの関心をiPodが掘り起こして、iLifeが広げているパターンが見えてきた。まるでAppleが提案しているデジタルライフスタイルをそのまま体現しているかのようなコンピュータの使い方は、このまま一部の特殊な学生のものに留まるか、より大きなキャンパス内のトレンドになるか、継続的に見ていく必要があるし、SFCの特殊事情なのか日本の未来を予測しているのかも見ていく必要があるだろう。

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