僕の研究室の先生、師匠である小檜山賢二著『虫をめぐるデジタルな冒険』が出版された。PHSの開発主幹でNTTの研究所の所長を務めてからSFCの教授の職に就いた、と言う経歴からすると、完全なる無線技術者なのだが、研究室でやっていることと言ったら、もっぱら昆虫写真の技術開発。
師匠によると「本当は画像処理をやりにSFCに来たのに、ケータイが世の中ではやり始めたもんだから…」と苦笑いしているけれど、研究室の学生としてみれば、出先で尋ねられる「研究室の先生はなんのご専門ですか?」という質問への答えに、何度となく困らされたものだった。
この本は、そんな質問への答えに明快に答えを与えてくれている。昆虫を趣味とする人(虫屋という)と無線技術、デジタル技術とを結びつけているものはなにか、これらが結びついたことによって生まれてきたモノは何か?(PHSもそうやって生まれたそうです)。
僕が5年近く学んできて、そしてこれからも引き続き学舎としていくであろう小檜山研究室の、とても基本的な考え方のエッセンスをそのまま標本にしたような本が、この『虫をめぐるデジタルな冒険』という本なのだ。途中で師匠が考案した技術による昆虫の立体高精細写真に舌鼓を打ちつつ、そのエッセンスに触れてみてほしい。
『虫をめぐるデジタルな冒険』
小檜山賢二(岩波書店)
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松 村 太 郎
TARO MATSUMURA
UPPERWESTSTUDIO
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
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