ケータイメールで緊急レポート提出作戦
2005.03.10 11:40 JST - OUTPUT - digital campus (keitai)
アメリカで書いたケータイに関するオムニバス原稿。FOMAはSIMカードをGSMケータイに差し込めば、キチンと海外ローミングをして使うことが出来るが、つまり海外でも待ち受けていると言うことなので、日本時間で電話がかかってくるわけです。これに加えて、ケータイからレポートを提出する人がいる、と言う話題。本当にびっくりなんだから。これはこれで。
> CNET Japan: ケータイメールで緊急レポート提出作戦
僕は今アメリカの東海岸、ニューヨーク州のすぐ北に位置するコネチカット州にいる。ここ数日間穏やかな天気が続いていたのだが、朝から急に雷雨がやってきて、その雨が昼頃には雪に変わって、すぐに数センチ積もってしまった。地元の人は「よくあることだ」と言っていたけれど、東京ではこんなにダイナミックな変化に見舞われることがないので、気象に興味がある僕にしてみれば貴重な体験だった。
このコラムがアップされる頃には暖かいフロリダ半島の真ん中あたりの空港に降り立って、最南端のKey Westを目指してドライブしている最中になるんじゃないかと思う。
やはり旅をするときにもあると安心なのがケータイだ。僕のケータイはNTTドコモのFOMAを使っているので、海外向けGSM方式のケータイをレンタルしてSIMカードを差し替えれば、メールこそ使えないものの、日本と同じ番号で電話を受けることができ、また現地のケータイと同じように電話をすることができる。もしも海外でもそのまま使えるケータイなら差し替えることすら必要ないはずだし、普段のメールだって扱える。
僕のケータイからは現地の番号へ電話をかけることができるが、現地のケータイから僕の番号へかけるときには注意が必要なようだ。日本の番号でそのままつながるということは、現地の電話から電話をかけようとするときには、たとえ僕のケータイ番号で繋がる電話がアメリカにあったとしても、国際電話をかける必要がある。現地の多くのケータイは国際通話を許可していないため、現地にいる友人が僕に電話をかけようとしてもうまくいかなかった。
いくら連絡手段がシームレスになっても時差がなくなるわけではない。先ほどもこちらの時間で深夜2時(日本時間で午後4時)に当然のように電話がかかってきた。通話をしていても日本にいるときと変わらないので、僕が「いまアメリカにいます」と言うまでは、相手がどこにいて時差がどうなっているのかはわからない。メッセンジャーのステータスのように、相手の状況がわかっていたら、ケータイの着信音に起こされなくても済んだかもしれない。
ちょうど電話をもらった用件というのは、AP通信の友人の記者がケータイ小説についての話を聞きたいというものだった。ケータイで読む小説について、その特性などに関する意見を聞きたい、という話だった。ケータイで長い文章を読むときにも、ケータイのウェブページの読み込みサイズの問題で、本1冊を1ページで表示させるのは難しいかもしれない。もしできたとしても読みにくい。そうした工夫がされているからこそ、書籍化や映画化までされるほどに流行したのだろう。
その逆もまたしかりで、僕の感覚だとケータイで長い文章を書くのも難しい。一時期、ケータイからブログを更新するときには、ケータイカメラで撮影した写真につけるキャプションを100文字ぴったりにする、というルールをつけて書いていた。たった100文字と思われるかもしれないが、直前の文章が2〜3行しか表示されない編集画面では、100文字を書くのにも前後のつながりを保つのに苦労したのを覚えている。
と、ここまで軽くケータイの話題に触れようと思っただけだが、思いのほか盛り上がってしまった。話を日本の大学でのケータイの使い方に戻そうと思う。
ケータイのメールで送信できる文字数について考えたことがあるだろうか。NTTドコモのmova向けiモードメールは1通あたり全角250文字だが、FOMAでは全角5000文字に拡大されている。他のキャリアのメールも1000文字を軽く超える文字数をサポートするようになった。この1000文字という文字数は、大学の授業で出されるレポート課題の文字数制限によく使われる文字数と同じである。
授業のアシスタントをしていると、1学期間に1回はこんなメールが来る。「パソコンが壊れてしまい、メール提出のレポートが提出できなくなってしまいました。ケータイの送信、お許し下さい」理由はとにかくとして、メールで提出するレポート課題をケータイから入力して1000文字のレポートを提出してくる学生がいるのだ。
図を入れることが指定されていたとしても、ケータイのカメラから写真を撮ってそれを添付すれば、図表番号こそ振ることはできないが、写真や図表入りのレポートとしてメールの上では表示されることになる。そう考えると意外とケータイメールでのレポート作成だってばかにはできない。とはいえ、自分にはできないとも思った。100文字、パソコンのテキストエディタの上では2行ほどの文章ですら苦労して書いた僕からすると、よく1000文字をきちんと1つの文章で書き上げたな、と感心してしまう。
しかし、文章を組み立てるときの考え方を変えてみるとどうだろう。例えば、あらかじめ言いたいことを10個挙げれば、100文字の固まりを10個連ねればレポートが完成するわけだ。
文章の書き方、組み立て方そのものから変えてしまえば、一度に表示できる文字数が少ないケータイの画面からでもレポートをまとめ上げることは可能である。しかし、文章のペースは、これまで紙の上やパソコンの画面上で書かれてきたレポートと比べれば、全く新しいものになるかもしれない。レポートとして受け入れられるかどうかには影響しないだろう。いずれの流儀であっても内容次第だから。
ケータイのメールでもう1つ、紙やパソコンと違う点として予測変換の充実が挙げられる。ケータイからの文字入力は、慣れ不慣れ、面倒に思うか思わないかの差はあるが、やはり面倒な作業だ。そこで、言葉の頭文字を入力すると、そこまで入力してきた文字から次に入力されるであろう文字を推測して候補を挙げてくれる。カーソルで選べばその文字が入力される仕組みになっており、テンキーを何度も押さなくても文章を作成できる。
友達との連絡や恋人へのメッセージなどを想定した候補(「デート」「ラブラブ」などが出やすい)のチョイスが目につくが、一方で意外とレポートも打てそうだと思える候補も出てくる。僕はSH901iCを今使っているが、「ぶ」と1文字目を入力したときに、候補の中に「ぶらぶら」「ブルー」「無事に」「部長」などに紛れて「blog」という候補が含まれていたのは驚きだった。
また、端末メーカーからは様々な候補の辞書セットがダウンロードできるようになっており、「ギャル文字」「絵文字変換」「顔文字」などのケータイメールコミュニケーション向けの辞書に加えて、IT用語、ビジネス用語、医学用語などの専門的な辞書まで用意されている。そういった専門用語が入力支援で出てくれば、文字入力のスピードも大幅に向上しそうだ。
ちなみにSFCの学生向けに提供されている、オンラインでレポートを提出できる「レポートシステム」では、ウェブサイトからの提出とともに電子メールでの提出も認められている。提出にはキャンパスのネットワークでもらっているメールアドレスが必要になるため、ケータイメールでレポートシステム向けに提出することはできないが、もし自分のケータイメールアドレスを登録できるなら、事前に断ることもなくケータイからメールでレポート提出をすることだってできるようになるだろう。
単なるPCメールの代替物ではなく、授業直後のフィードバックとしてケータイからのメールを採用している授業の話も耳にするようになった。文章作成について、さらに長い文章には対応できないかもしれない、というネガティブな要素はあるものの、ポジティブに生かしていく方法を考えていくべきではないだろうか。
僕がアメリカにいるせいで、結果的には国際電話でインタビューを受けることになったケータイ小説の話も関係がある。現実として、ケータイで長い文章を、隙間の時間をうまくトレースしながら読むということが始まっているのだ。だったら、隙間の時間をうまく使って学習する授業へのアウトプットを書くことだって、試みていくべきだ。
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松 村 太 郎