2005.07.29 16:21 JST - ()

Glocom ポップカルチャーとパブリック・ディプロマシー

 久しぶりの、ものすごくメモなエントリー。2005年7月29日にGlocom IECP(Intelprise Enterprise Collaboration Program:智業・企業共働研究プログラム)研究会「ポップカルチャーとパブリック・ディプロマシー」のログ。岡田眞樹氏(外務省広報文化交流担当審議官)が講演をした。日本初のポップカルチャーが世界のワカモノを虜にしているが、このソフトパワーが国徳にとの関係に大きな役割を果たすのではないか、と言うアイディア。

 参考資料として日本カルチャーの普及に警鐘を鳴らすような雑誌が入ってきたが、見出しに「Sushi? i-mode? Pizzicato Five?」みたいなものがあった。続けて「それ以上にアニメの普及があり、ドイツのワカモノに日本の漫画やアニメを経由したエロが蔓延してモラルが低下する」という記事になっている。日本から来た文化としてPizzicato FiveがSushiやi-modeと併記されているのはなんだか面白いですね。というか、やはりすごかったんだな、と小西好きとしては感心してしまいました。

 さて話を元に戻すと、今回はポップカルチャーを国際政策に活用出来ないか、と言う視点が中心に語られていた。コンテンツが表す原産国の文化や精神をどう解釈して伝えていくかという文化交流の点も重要である。しかし外務省の公式な文書や研究会の報告書を見ると「日本の良さは和の文化、調和である、ワビ・サビである」と連呼されており、ポップカルチャーの世界観とズレが大きい。これはポップカルチャーの普及に重ねられていくと、足かせになる可能性がある。

 しかし日本のアニメやマンガの多くはそれこそニッチな多様性の世界であるし、これが海外にもネットなどを通じて伝搬し始めている現状がある。ニッチなコンテンツのニッチな拡大というコンテクストと、そのコンテンツの内容をキチンと理解していかなければ、現在たまたま流行っているかもしれない日本のポップカルチャー輸出を伸ばしていけないのではないか。

 インテリ層はどうしてもポップカルチャーを評価しない向きがあるのは日本でも欧米でも同じ事で、ボトムアップをしていくのか、ボトムとトップのコネクトの方法があるのか。昔から「子は鎹」だなんて言うけれども、アニメを見る子供とその親との関係までも、コンテンツで構築出来たら「上手い」ということになるんじゃないか。

※ 研究会のその場でログを取りつつ自分の考えを混ぜていく、という書き方を初めて経験してみましたが、とにかく研究会とblogの文章という同期していない時間軸を2本走らせるので頭が疲れました。時間軸を同期させるやり方って言うのがあるはずなので、訓練してみたいところですね。

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      【岡田氏の話】

      パブリック・ディプロマシー

       文事力や経済力によるハードパワーではなく、文化交流などによる制作・文化・一般的な理解を作っていくことで行為や経緯を醸成していく手段。アメリカでのハードパワーに頼った外交や平和・安全の維持に対して提言された言葉。民間レベルでも積極的な文化交流が行われているが、これを国で上げていこうという政策提言を行っていきたい。これがパブリック・ディプロマシーに対する基本的な考え方だそうだ。

       文化交流で相互理解を作っていこうという建前のウラで、相手の国との関係を良くしたり、文化ビジネスの利益を増大していこうという目的もある。これまで経済では経済的にWin Winの関係を作ってきたが、例えば韓国に対しては投資をする分野が少なくなってきたし、中国についても経済規模が日本よりも大きくなるのは時間の問題で、文化的な交流・発展の拡大が必要不可欠になってくると思われる。

       文化交流であれば、遺跡を修復したり、相手国に対して文化を象徴するようなコンテンツを導入したりする活動が主となっている。日本であればアニメ輸出が大きい。しかしここに文化多様性条約という取り決めがある。これは各国が多様な文化を以てしかるべきで、グローバリゼーションが進むにつれて、ハリウッド映画が接見するといったような状況に対する制限をかけ、社会や文化を守っていこうという話で、コンテンツ輸出による交流にも難しい局面がある。

      外務省・広報文化交流部

       平成17年度は284億円規模の事業を行っている。外務省全体の4%の予算で、半分以上の168億円が国際交流基金へ移ってしまう。総合計画課(一般広報・製作広報・世論調査)、文化交流課(二国間の文化交流・文化無償)、国際文化協力室(多数国間の文化交流、国際機関・UNESCOや国連大学などを通じた交流、国際約束の締結)、人物交流室(人物派遣・招請、留学生、スポーツ交流など)に分かれている。

       領事館や大使館などで、地域の人たちを集めて日本文化を紹介するような企画をオカダさん自身やってきたそうだが、こう言うところは予算要求に載る項目ではなく、完全なボランティアベースで行われることになり、人材や資金などによっては行うことが出来ないことがあり、継続的な文化賞買い活動にはなっていない。

       また国際交流基金は、日本語・日本研究、芸術交流、知的交流を取り仕切るが、スタッフ231人と少ない。また日本語教育のメソッド開発を行う施設、日本語教員育成施設、海外にも施設がある。しかし海外の同種の事業の規模は倍以上であり、小規模であると言わざるを得ない。

      ポップカルチャーの位置づけ

       日本の文化が世界に紹介されたのはパリの万博からだった。広報・文化交流が日本に対する交換と経緯の醸成という政策的な意味合いが強かったが、グローバリゼーションや民主化の進行でターゲットが一般市民、ワカモノへと変わりつつある。この新しいターゲットに対する文化的コンテンツがポップカルチャーであると考える。しかしこれをどのように活用して広報・文化交流、安全保障・反映と言った政策テーマへ結びつけていくのか?

      日本人の常識であるドイツ

       これまで日本はドイツから輸入するばかりであまり文化的な輸出をすることがなかった。またドイツ人のイメージの中での日本では、フジヤマ、ゲイシャ、マダム・バタフライ(←オカダさん的には、日本人女性のイメージを間違って伝えている)。しかし最近のポップカルチャーの流れで、村上春樹、村上龍の本はどこの本屋にもあるし、テレビでは相撲の全取り組みが流れ、小学生は家に帰ると日本のアニメにかじりつく。現在では圧倒的に日本からドイツへの流れ、ヨーロッパへの流れの方が強くなっている。

       日本のポップカルチャーは、そこに新しい尺度やゲームのルールを作り出した。男に奉仕するマダム・バタフライから自ら運命を切り開くセーラームーンへ、日本のイメージが大きく改善されている。日欧文化交流にも、日本への一方通行の流れが逆転している。またワカモノの人格形成に影響を与えるポップカルチャーは、装飾品であったじゃ歩にズムとは違い、欧米と対等な日本を作り出すのではないか?

      大衆的訴求力のある日本文化

       アニメは低年齢層向けのテレビと劇場版とで分けて考えるべきで、劇場版はオトナの世界。低年齢層向けのテレビは無料で広く行き渡る方が良いかもしれない。またマンガと連動している作品にターゲットすべきかもしれない。またアニメとの連動はJ-POPも同様。J-POP一般については東アジア地域までではないか。

       ワカモノとオトナに対して、和食や和太鼓は大衆的訴求力が強い要素である。太鼓はなぜかどの人にも興奮をもたらしてくれるそうだ。またハイテク製品、特に人間のカタチをしているロボットも、宗教的な関係で有意にあるかもしれない。その他には絵本、折紙、生花、作動、囲碁、大相撲は素流力がある。そしてインテリ向けでは、文学、建築、アート、映画などである。

      欧米人はコスプレが好き

       ドイツで漫画・アニメファンのワカモノ、特に女の子がコスプレをしてアニメフェスティバルにやってくる。欧米でも男性優位で、ポパイがいつもオリーブを助けると行ったカルチャーだが、日本のアニメは日本が弱々しくて、女性がお仕置きをするようなパターンが多い。これに魅せられているのではないか?

       「日本の文化は調和である」という公式な見解が出されているが、一方では強い女性のコスプレが海外で受けており、アニメでは戦闘シーンがもてはやされる。アキラやエヴァは終末思想に近いかもしれないが、これとワビ・サビとはどんな関係があるのか分からない。日本国内でも江戸時代から大衆文化や滑稽なカルチャーが根付いていたわけで、こういった部分が受け入れられていると考えても良い。何が海外に受け入れられているのかを見極める必要がある。

      若干の提案

       どれだけ日本のマンガ、日本のアニメの世界的なブームが続いていくのだろうか、と言う疑問がある。日本を題材としたマンガだけではなく、海外の、自国を題材としたマンガも出てくる可能性がある。日本風のポップカルチャーの研究教育を日本で行い、世界に発信していけるような体制を作ることが重要である。またリアルなイベント、例えばコスプレフェスティバルを官民合同で世界各国で実施してはどうか。こういった日本のポップカルチャーの価値基準の設定をしていく必要がある。

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2007.02.01 #06松 村 太 郎
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