Music Business with IT - 廣瀬禎彦氏
2005.10.05 01:48 JST - SYNDICATE (biz music)
2005年10月4日に行われたglocom IECP研究会のセッションで、コロムビアミュージックエンターテインメント 代表執行役社長兼CEO 広瀬禎彦氏が『ITとミュージックビジネス』というタイトルでの講演のログ。
僕はDJをやってるくらい音楽が好きで、音楽そのものへの興味と同時に、どのようにして音楽が生み出され、流通し、親しまれているか、という点にも興味がある。2005年8月からiTunes Music Storeがスタートして、これもまた変化の材料として興味深い。そのあたりのお話が聞けて良かった。やや刺激的だったけれども。
僕が最後に質問をしたのは、ロングテール化したときに、レーベルは果たして何が出来るのか、という点だ。コロムビアといえば、Pizzicato Fiveを初めとする“レディメイド系”なるジャンルを作り出したReadymade Records(********* records, tokyo)レーベルを有していた会社で、少なからず僕はあのレーベルのファッションの影響を受けていると思う。そう言う経験を持っている会社がどうリーチするのか、ということだ。廣瀬さんの答えは次の通り。
「ネットに限らず、ライフスタイルがセグメント化されているのは認識している。しかし我々は今まで、セグメントを対象にしていなかった。ビックヒットを狙っていたからだ。しかしそれでは、今後の経営体質として相応しくないと考えている。転換しなければならない。プレゼンテーションの中でも紹介したが、ビジネスの1つ1つの規模をロングテールの幅の中に収めれば、セグメントを対象にしたビジネスに対応出来るようになる」
「しかしご存じの通り、1人の人が1つのセグメンテーションだけに属しているというわけではない。例えば私も朝出社して仕事に気分が乗らないな、というときはハウスのナンバーを聴いて気分を盛り上げたりするんです(ファンキー!)。同じ人でも聴く音楽は時間帯、気分によって変わってくるので、より複雑なブランディング、セグメンテーションが必要になってくると認識しているし、ライフスタイルを見据えたリーチは当然考えている」
「セグメントを代表するのがレーベル、という考え方を推し進めていくつもり。1つのレコード会社にたくさんのレーベルが発生してくる。コロムビアもロックのレーベルを2つにわけるなど、さっそくたくさんのレーベルを速いスピードで展開していきたい。レーベル単位の採算にして、会社としては機動力とビジネスの管理能力を高めることが出来る。その大勢を創った上で、レーベルは、自分が持つブランドやアーティスト・楽曲などを、どのようにライフスタイルに転換するか、というプロデュース能力の問題になってくる」
つまりレディメイド系が出来たのも、レーベルビジネスのプロデュース力の勝利だったという見解。しかしそれは、ロングテール化してくる中では決して特異な事例だったというわけではないようだ。音楽とファッション、音楽と信条みたいな部分を上手く結びつけていたのだから。それではレーベルがセグメントへリーチする、もしくはレーベルがセグメントをライフスタイルへ転換するにはどうしたらよいのか。考えてみる価値はありますね。
- IT時代のコンテンツ事業 〜ミュージックビジネスに関して〜
- コロムビアミュージックエンタテインメント株式会社
- 代表執行役社長兼CEO 廣瀬禎彦
- ミュージックビジネスの現状
- レコードビジネス
- 1998年の年間売り上げ6000億円台がピーク
- 2004年は3600億円
- 昨年秋に下げ止まり? → しかし止まっていなかった
- 6月だけは上向いたが、8月は悲惨な状況ではないか
- 2005年はピーク時の半分ではないか?
- 日本レコード業界加盟会社の数は1998年の23社から変わっていない
- 我慢比べの状況。
- 1998年の年間売り上げ6000億円台がピーク
- コンサートビジネス
- 多くのコンサートは完売状態(平均8000円)
- B'zの後楽園コンサートは4万8000人の満杯状態
- 場所に関係なく同じ8000円で3億9000万円
- アルバム20万枚の売り上げに相当する
- ただしライブハウスは乱立気味で運営難
- 良いアーティストのブッキングが出来ない
- 小さいところでは2000〜3000円
- 200人で40万円、これではアーティストへの支払いが出来ない
- 400〜500人
- 大型コンサートは活況、ライブハウスは苦しい
- 多くのコンサートは完売状態(平均8000円)
- ネットビジネス
- 評判に比べて実態の売り上げはレコードビジネスの6〜8%
- 2004年で200億円前後
- ケータイは180億円
- ダウンロードは20億あるかないか
- レコードビジネス
- ミュージックビジネスの発展
- ライブ・コンサート
- ライブ・コンサート+レコード(100年前)
- レコード:音を記録することが出来る
- オルゴールは楽器
- レコードを大量コピーして広めることが出来るようになった
- ライブ・コンサート+レコード+ネット(5年前)
- ネット:音を運ぶことが出来るようになった
- ライブ・コンサートからレコードの出現
- ライブ・コンサート
- 演奏する・演奏を聴く。
- 同時に1回
- アーティストとリスナーの直接関係
- 制作工程なしのパフォーマンス
- ¥○○○○円/回
- 3000円で10曲を1回だけ
- 演奏体力とホールのキャパシティ
- 演奏する・演奏を聴く。
- レコード
- タイムシフト
- 何回でも
- アーティストーレコード業界ーリスナー
- アーティストとリスナーの間にレコード業界が割り込んできた
- 制作工程アリ
- ¥○○○○円/枚
- 3000円で何回でも聞ける、大幅ディスカウントの発生
- レコーディングの体力
- ディマンドの増幅
- タイムシフト
- 新しい仕組みが出てきたときの変化
- より身近に
- プライスダウン
- 構造の変化
- ネットの登場はレコードの出現と同じだった
- レコードはイヤだ、とライブだけやっていたアーティストの淘汰
- 同じコトがネット対応にもなるだろう
- ライブ・コンサート
- 音楽事務所の役割
- アーティストを発掘する
- 目利き
- 育成し、商品化する
- アーティストとの長期的関係
- 付加価値を付ける
- この機関の育成費用は事務所負担
- アーティスト活動の全てに関与する
- マネジメントサービス
- レコード会社との契約
- ライブコンサートへの出演
- テレビ・ラジオなどマスコミへの露出
- テレビコマーシャルなどへの出演
- ノベルティグッズの企画・販売
- ファンクラブの運営
- レコードビジネス不況のインパクトを受けている
- 音楽事務所へのお金の流れはレコード会社が最も太いパイプ
- ネットのインパクト
- 音楽事務所はレコード会社にレコードを作ってもらわなければならない
- これが変わる可能性がある
- アーティストに演奏させて、それをそのままネットで流すという役割が生まれる?
- アーティストを発掘する
- レコード会社の役割
- 音楽事務所からアーティストの提供を受ける
- 専属契約
- 契約金
- 育成金
- 印税
- 制作費
- レコード会社ではなく、音楽事務所が制作し始めている
- レコード会社からすると、危険な徴候
- 専属契約
- 作品としてレコード・CD・DVDを企画する。
- アーティストのターゲットとするリスナー
- アーティストの能力とリスナーの好みにあった歌詞、楽曲の企画
- 本来のレコード会社の最大の付加価値
- しかし音楽事務所が制作していると、この企画力による付加価値が付けられない
- レコーディングとパッケージ制作
- レコーディングは変わらない
- パッケージ制作はネット向けに変わってくる
- マーケティング・プロモーション
- テレビに広告を打つのは効果がなくなってきた
- 物流とレコード店販売支援
- ここがネットに置き換わるポイント
- もしくは新しい商品が生まれていると捉えるべき?
- レコード会社のエッセンシャルな機能
- レコーディング
- しかしあまり安心することは出来ない
- デジタル化(MacとProTools)でマンションの1室でも出来てしまう。
- アーティストが自分で出来るようになる?
- 企画能力
- これが究極の存在理由として残るのではないか?
- レコーディング
- 音楽事務所からアーティストの提供を受ける
- デジタル化・ネット化による変化
- CDのリスナー、コンサートの聴衆、テレビ・ラジオのリスナーは同一人物
- テレビ・ラジオは通信と捉えてみる
- 送り手と受け手の間にセッションが成り立てば、クオリティは可変になる
- CDのリスナー、コンサートの聴衆、テレビ・ラジオのリスナーは同一人物
- ネットかがもたらす一極化現象
- CDの売れ方
- 反比例のグラフ
- 大御所は大御所なりに、新人は新人なりの売れ方をする
- よく売れる、そこそこ売れる、あまり売れないという売れ方
- 実はCDの売れ方もロングテール化してきている
- 5万枚前後の売れ方のモノがなくなってきた
- 3万枚〜1万5000枚に圧縮
- 5万枚前後の売れ方のモノがなくなってきた
- 反比例のグラフ
- ネットでのダウンロード
- ロングテール状態
- 着うたやiTunes Music Storeも同じ
- ヒットものしか売れなくなり、そこそこ売れるものがなくなる
- たくさんのアーティストのモノがちょっとずつ売れている
- 店頭在庫は有限であるため、陳列されているモノしか売れない
- 長いテールのモノを、細い流通で売って採算を取れるようにしていくべき
- そのためにはどうすべきか?
- ロングテール状態
- CDの売れ方
- デジタル化とネット化による変化
- モデルが変わる
- デジタル化
- どうでも良いモノは安くなる
- レコード業界では
- シングルCDの売れ行きが激減
- 「もう、嘆かわしいですね」
- シングルが1万枚売れれば喜んでしまうくらい
- シングルCDはリスナーにとって、情報的価値でしかない
- エンタテインメントコンテンツと言うよりは情報を仕入れるため
- 音楽としての良さはどうでも良いのではないか
- 買った人は未練も何もないので、ネットでばらまいてしまう
- シングルCDの売れ行きが激減
- シングルCDは消える
- シングルCDの役割
- ビッグアーティストの場合は、アルバムのプリマーケティング
- 新人アーティストのデビュープロセス
- シングルCDを出して世の中の反応を見る
- しかしシングル市場がしぼんでいるので、評価が出来ない
- これまでのプロセス
- 契約 ー(3ヶ月)→ S1 2曲 ー(3ヶ月)→ S2 2曲 ー(3ヶ月)→ S3 2曲 ー(3ヶ月)→ A1 12曲+α
- 1年でアルバムリリースはラッキーな方だと思う
- 考えられるプロセス
- 契約以降、毎月2曲作ってネット配信していく
- 9ヶ月で18曲できる
- 2ヶ月〜3ヶ月でGo or Noの判断を速く出来る
- 制作コスト・育成コストへのリスクが減る
- 6ヶ月目でアルバムリリースが可能
- アルバム制作コストがなくなる
- こうなるとシングルがなくなる
- この手法はレコード会社はインパクトにならない
- レコードショップから商品バリエーションがなくなる
- 契約以降、毎月2曲作ってネット配信していく
- シングルCDの役割
- デジタル化
- モデルが変わる
- ライブ&ライブコンサートのネットワーク
- ライブハウスをネットで結んで、東京のライブハウスから配信する
- 双方向・増幅
- B-Bのディストリビューションモデル(Pay-per-view)
- コンサート会場の拡大と回転率の向上
- 都内のライブハウスにはほとんど光ファイバーが入っている
- 現在はライブハウスをネットワークするオーガナイザーがいない状態
- 音楽DVDの売り上げが拡大している
- 家庭用テレビの大型化・高画質化
- DVDは3回見たら終わり
- 映画ではなく、お笑いとミュージックビデオが流行っている
- 単独でレコーディングしたりライブをしたりするよりも、制作コストでシナジーが出せる
- 完パケ 1分間 2万5000円で制作出来る
- 30分75万円
- まだ高いと思っている
- 新譜DVDが3000円だとすれば、1枚 7割が戻ってくる。
- 7500本が損益分岐になる
- ロングテールにも対応しうる
- ライブハウスをネットで結んで、東京のライブハウスから配信する
- 古い曲が生き返る
- ネット配信
- 配信可能局数 >> 店頭在庫曲数
- 増えた曲 〜 カタログ曲
- カタログ曲(旧譜)は既に回収済みの楽曲
- 資産価値はゼロ
- しかし利用者はレコード屋では買えない
- 安く売っても十分利益が出る
- ネット配信には旧譜を提供
- 給付を多く所有しているレコード会社に有利
- 配信可能局数 >> 店頭在庫曲数
- 旧譜扱い
- 8週間単位で決算しているので、9月発売のモノは既に旧譜
- レコード屋から追い出される運命
- これを売るチャンスが得られる
- 多くの曲が提供可能になる
- いろんな曲をいろんなカタチで
- 1つの曲をリミックスで何通りにも
- 1つの曲をカバーで何通りにも
- 昭和歌謡のリミックス
- 弘田美枝子のハウス、ラウンジ、ジャズ、R&Bなど
- 150円のものが10曲1500円になる
- カバー
- 曲は良いけれども歌い方が古くさい
- 必ずしも有名でなくても、上手い歌手に歌わせれば良い
- 美空ひばりの曲をカバーで揃える
- ひばりファンが買うかもしれない
- ネット配信
- デジタル化とネット化による変化
- 売ることの出来る曲数の増加
- 売ることの出来る拠点が増える
- 供給も需要も増える
- ただし需要を顕在化させるための情報提供の仕組みが必要
- 貸しレコード屋が日本の音楽をダメにした
- 洋楽は参入せず、ダメな邦楽から若い人たちが安く聞き始めた。
- クオリティの高い洋楽がベンチマークではなくなった
- ネットの普及で洋楽が伸びてくると思われる
- 邦楽が戦えるかどうか、難しいと思う。
- 新人の発掘プロセスが大きく変わる
- 新人発掘の可能性は変わる
- CDを使った新人発掘・デビューのプロセスとネットを使ったプロセスでは、デビューコストは3:1
- 同じコストでネットなら、3倍のアーティストを送り出すことが出来る
- レコード会社を使わない新人サウンドポータルもある
- いかにネットを使って集めるか、ということが非常に大切
- 新人にとっても可能性が広がる
- 発表する手段
- ハンティングする人と会わなくてもいい
- 作家の部分
- 演奏家だけではなく、作家(作詞家・作曲家)にもやりたい
- 演奏家以上に評価されない
- 作曲家の作品ポータルを作ろうとしている
- 作曲・作詞に展開
- 他の文学にも適用出来るのではないか
- 新人発掘の可能性は変わる
- 音楽の入口と出口を帰る
- 値段が可変になる
- 音楽のクオリティを上げることが出来る
- 現在はCDのビットレートに縛られている
- ネットにすれば44.1じゃなくても良くなる
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松 村 太 郎