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今日のトーキョー、アメリカに行く

2006.07.22 18:07 JST - - - -

 7月の上旬,休暇を取ってアメリカに行ってきた。僕の海外旅行経験は割と乏しいもので、何か宛があるところばかりに行っている気がする。とはいえ世界4大都市は全部見て回ってきた。今回は毎年必ず行っているアメリカ・コネチカット州グリニッジを起点にして、マンハッタン、インディアナポリス、シカゴ、ワシントンDC、ナイアガラの滝などを回ってきた。それを今日のトーキョーに綴っていたんだけれど,一通り区切りがついたのでこちらでもご紹介。長いですよ。

・今日のトーキョー: Trip


Barbershop Harmony 2006, Indianapolis

Barbershop Harmony Society 2006 International #04

 大雨の成田空港からシカゴを経由して、インディアナポリスの空港へ降り立った。アメリカで東海岸以外に行くのは今回が初めてである。ちなみに飛行機の中でも、インディアナポリスについてからも、僕が日本人だとわかると「ノースコリアはミサイルを撃ってきたね?」だとか「どのくらい飛んだんだい?」という質問をしょっちゅうされる。結構気になっているんですね。僕だってテポドンと一緒に空を飛ぶようなタイミングで旅立ってきたので、そんなこと知らないんだけれども。インディアナポリスに来た目的は、バーバーショップ・ハーモニーの大会を見るためである。

 バーバーショップとはそのまま英訳すれば床屋のことだ。「バーバーショップ・ハーモニー」とは、その床屋で歌うところから始まった、4ピースのコーラスのスタイルである。アメリカの中でもなかなか古い歴史を持つカルチャーで、いわばアメリカの古典芸能というべきだろうか。その世界大会が、今年はインディアナポリスで開催されているのである。つい先週末まではF1で盛り上がっていただけに、イベント好きな街なのかな、と思わされる。

 僕とバーバーショップ・ハーモニーとの関わりでキーパーソンとなっているのが叔父だ。叔父はちょうど経由してきたシカゴに長期出張しているときにこのバーバーショップのスタイルと出会い、日本に帰ってきて「東京バーバーズ」というグループを作った。それ以来、アメリカ古典芸能のアジア代表として今回の国際大会にも出場することになった。甘いカルテットと体を張ったパフォーマンスで退屈しないステージとなるのだが、それはまた別の機会に。

 さて、そんな古典芸能的なカルチャーを迎えたインディアナポリス。バーバーショップの裾野は広く、コミットしている人の数も多い。開催都市の一帯はバーバーショップ・ハーモニー一色に塗り替えられる。ダウンタウンのMariotやWestinなどのホテルというホテルには、大会参加者やその家族・友人、バーバーショップ・ファンが滞在し、周辺のコンベンションセンターやバスケットボールのスタジアムなどの施設は全て、バーバーショップのイベントで埋め尽くされる。

 イベントはコンテストやショーケースなどがとにかく1日中いろいろなところで開催されていて、会場を移動する間にあるショッピングモールのフードコートで食事をとったりする。共通の名札みたいなものを首から下げているので、お互いにバーバーショップだとわかるせいか、コンテストのパフォーマンスに触発された観客は、道路だろうがフードコートだろうが、鼻歌を歌いだす。ここまでは別にどこの街でも同じかもしれないが、今週のインディアナポリスは違う。その鼻歌にあわせて、どこからともなくコーラスが生まれてくるのだ。

 この状況は、ちょっとでも音楽が好きだったり、カラオケが好きだったりすると、静かに興奮してくる感覚を覚えるだろう。1人、また1人と、誰かが歌い始めた鼻歌が厚みのあるコーラスへと変わっていくのだから。


カヴァード・ブリッジ

Narrow Bridge #01 - A Covered Bridge

 「今日のトーキョー、アメリカに行く2006」、現在インディアナポリスに滞在している。インディアナポリスはインディアナ州の州都であり、交通の要所でもある。新しいきれいな町並みが広がる一方で、ダウンタウンであっても一本裏に入るとまだまだ未開発の土地で建設ラッシュが進んでいる。この土地の潤沢さは目を見張るものがあるし、日本の県庁所在地ではこうは行かない訳だ。今日はインディアナポリスから50マイルほど西へ行ったところにあるカヴァード・ブリッジを見に行った。

 「カヴァード・ブリッジ」と最初に聞いて、僕はそういう固有名詞なのかな、と思っていた。けれどもこれは橋の建築様式のことで、なんてことはない、屋根付きの橋である。映画「フォレストガンプ」で登場したのが記憶に新しいのではないだろうか。木造建築の橋を屋根で覆うスタイルで、1900年代前後にたくさん建築されている。屋根を支える壁面は赤く塗られているのがアイデンティティで、時々白いものもある。

 興味深かったのは、日本で暮らしていると大したことはないように見える屋根付き橋を貴重な文化財として保存し、案内しているところだ。体したことないと思うのは多分年代によるところだと思うんだけれども、100年ちょっと前のものでもアメリカにとっては貴重な文化財なのだとガイドが言う。そして学ぶべきはその保全の仕方。地元がきちんと紹介し、それらを守る活動をしているのである。

Billie Creek Village #01 屋根付き箸をテーマに再現した村は興味深かった。建物は全部ちょっとカビと誇りが混ざったにおいがしていて、ぜんそく持ちの僕には居心地が悪かったけれど、再現したのは建物だけでなく、そこにさりげなくいる人々が当時のコスチュームと営みをしているのである。症状たちが犬と戯れて遊んでいたり、おばあさんがろうそくを当時のまま作っていたり、馬の世話をする人、画集国から派遣されたガバナーの家を守る人など、そのさりげなさはすごかった(さりげなさがすごい、というのも変な話だけれども)。

 割と新しい文化財と、見習うべきその守り方が共存している不思議な空間を体験した1日だった。


ドライヴ・トゥ・シカゴ

Sears Tower #01

 インディアナポリスから北北西に200マイルほどのところにあるのがアメリカ第3の都市、シカゴ。インディアナポリスに来る前に経由したシカゴのO'Hare空港(正確な発音がわからない)は世界で一番忙しい空港とも言われている。そのシカゴに、インディアナポリスからレンタカーで行くことにした。ホテルの近くにあるHarzでヒュンダイのコンパクトカーを借りて、9時頃に出発した。

 僕はアメリカでクルマを運転するのは初めてだ。車の操作に関しては大差ないので、ウインカーとワイパーさえ間違えなければ問題ない(日本車だと右がウインカー、左がワイパーだけれど、これが逆なのだ)。インディアナポリスはそこまで田舎ではないし、ハイウエイは斜線がきちんと分かれているので、車線に関しても意外とすんなり対応できた。まあやってみるものですね、こういうのは。

 アメリカの都市間を移動する道はシンプルである。地図の位置関係を確認した上で、道の番号と北に行くのか、南に行くのかを選んで乗れば、ほぼ間違うことなく目的地にたどり着くことが出来る。まあ日本の高速もそうだけれど、道標に従っていけば大抵のことは問題ない訳です。あと目から鱗だったのはクルーズ・コントロール機能。設定した速度に保つ機能だが、アメリカでクルマを運転して初めてこの機能の意味が理解できた。スイッチとハンドルだけで大抵のことはすむし、旅行時間もぴったりになる。

 インディアナポリスからシカゴへは、65号線北行き、90号線西行きを使う(ね、シンプルでしょ)。まさに2点を直線で結んだような直線の道で、両サイドにはトウモロコシ畑が広がる穀倉地帯になっている。シカゴが近づいてくると、LOVE FMという、聴いたことあるステーションネームのラジオ局が、いいチョイスの音楽をつないでくれる。トウモロコシ畑の先にシカゴのダウンタウンに広がる高層ビル外が見えてくると、なんだか一つの達成感とわくわくした感じになってくる。これはトーキョーの中にいるとなかなか感じられない感覚であった。

Sears Tower #09 - from sky deck シカゴはミシガン湖の西側に広がるアメリカ第三の都市。ブティック外などが並ぶアップタウンには古い建築様式のビルやカントリー風の建物が並び、ダウンタウン(ループ)にはビルのオープンスペースの至る所にモダンアートの作品が配置されており、そのオープンスペースを造っているビルそのものもとてもオシャレなカタチをしている。まるで街全体がミュージアムのようで、散歩するだけでもかなり楽しめた。シカゴの摩天楼の最高峰であるシアーズタワーからの眺めもまたモダンなショーケースのようである。

Millennium Park #17 - Bike Stand シカゴは自転車の街という側面も見受けられる。ミシガン湖沿いには自転車専用のフリーウエイが設置されていて、街を南北に移動する際に信号や歩行者を気にすることなく高速移動できるようになっている。街の至る所に自転車を固定するためのスタンドが設置されているが、これもまた1つ1つ違ったデザインで、バイクスタンドを探しながら街を歩いても楽しい。さらに面白いのは自転車専用のバレット・パーキング(クルマを預かってくれる駐車サービス)が存在していることだ。

Millennium Park #08 シカゴの自転車カルチャーに納得できるのが、ミシガン湖にそって配置されている緑地・公園である。ループの摩天楼とミシガン湖の間はきっちりと公園が広がっており、公園沿いをサイクリングするのは、たとえそれが移動であっても楽しいひとときになる。そんな公園の北端に位置するのがミレニアムパークだ。6つのゾーンに分かれていて、その多くにやはりモダンアートの興味深い造形がなされている。そうかと思うと西洋式の古風な庭園をモチーフにした場所もあって、ユニークだ。今日はフリーのオーケストラのオープンリハーサルが行われていて、ランチタイムに生のクラシックを聴きながら芝生の上でくつろぐなんて、ちょっと驚くべきである。

Millennium Park #16 - Crown Fountain 特にびっくりしたのはクラウン・フォウンテイン。まるでモノリスみたいな巨大な直方体が2本そびえ立ち、そのてっぺんからは水が流れ落ちているというもの。その下に小さな子供たちが集まって水遊びをしていたり、昼休みの大人たちも靴と靴下を脱いで水の上を歩いたりしている、水に触れる憩いの場になっている。時折、この直方体の側面に、片方には女性の顔が、片方には男性の顔が現れるからびっくりしてしまった。顔が現れている面からは水がこぼれてこない仕組みも凝っているし、女性の顔の口からは1筋の水が噴き出したりしていた。そこに集まる人も含めて、見ていて飽きない場所だった。

Jumba Juice #01 最後に、シカゴで見つけたお気に入り。アメリカに来て、野菜(特にセロリ)と果物(オレンジとかグレープフルーツとか)は、日本に比べて根本的に味が違うと今回初めて思い知らされた。日本で食べている野菜は本来のおいしさを発揮していないんじゃないか、と少し問題意識を感じるほど、こちらの農作物はおいしい。しかも安い。その安くておいしい果物を使った、フレッシュ・フルーツ・スムージーのお店が「Jamba Juice」というお店だ。シカゴのループの中にいくつもあって、いつもオフィスワーカーやおまわりさんなどでごった返している人気ぶり。僕はMega Mango(マンゴーとパッションフルーツのスムージー)を飲んでみたけれど、その人気ぶりに納得だった。こんなお店、日本にも欲しいと思うけれど、日本の果物じゃちょっとダメかもしれない。味も値段も。

 ちなみにシカゴで食べたちょっと食べたピザはおいしかった。後でインディアナポリスに戻って食べたらがっかりしちゃうくらい。今回はあまり楽しまなかったけれど、食と音楽の街でもあるそうだ。さらに写真を見たい方は、僕のFlickrのchicagoタグをご参照。


スタンディング・オベーション

World Harmony Jamboree #10 - Tokyo Barbers

 いよいよ今日は東京バーバーズがワールド・ハーモニー・ジャンボリーに出演する日である。ダウンタウンからちょっと離れた、古くて重厚感のある劇場にはいっぱいのお客さんが入り、カルテット(4人のスタイル)、ハーモニー(30人から50人のスタイル)が交互に演奏を披露するショウケースである。休憩を挟んだ後半の2番手に東京バーバーズが登場した。ちなみに写真については、僕のFlickrのインディアナポリスのタグを参照して下さい。

 バーバーショップスタイルにはルールがあるそうだ。基本的にポピュラーソングなどをバーバーショップ風にアレンジするので、バーバーショップの曲がある、というよりはバーバーショップのアレンジメントがある、という方が正しいようだ。セブンスやナインスのコードを多用し、ちょっと「あれ」と首を傾げるハーモニーからドミナントに戻って落ち着くというパターンが多く見受けられる。だから下手なグループだと「あれ」と首を傾げるときの不安感が大きい訳だ。

 またお客さんとのインタラクション性、エンターテインメント性も、他のアカペラコーラスと大きく異なるポイントだ。曲中にユーモアを取り入れたり、身振り手振りとハーモニーをシンクロさせて表現したり。エスカレートすると変装して出てきたりして、とにかく楽しいステージになる。そして最後の最後には、また崩したコードからドミナントに戻って歌い上げるから、ついつい「Yes!」と言いたくなるような爽快感もある。そんなアメリカの古典芸能に、アジアを代表した東京バーバーズが登場するのだ。

 幕が開くと、赤いそろいのブレザーを纏った30人のメンバーが威勢よく歌い始めた。けれども反響のせいか、どうもいまいちハーモニーがつかみきれないように感じられた。それでも全員が将棋倒しになって転げ落ちるアクションは、会場をあっと驚かせていた。1曲終わると自己紹介のスピーチが始まるが、ここにも仕掛けがある。自己紹介中に、後ろから杖をついたおじいさんがゆっくりゆっくりと近づいてきて、日本語で歌を披露したい、というのだ。

 だいたいバーバーショップスタイルの男性合唱では、B♭(シ♭)で音を取る。この音近辺がちょうど良いのだそうだ。スピーカーもおじいさんにB♭の音を笛で出してあげると、おじいさんはポケットから補聴器のようなものを取り出して、電子音で音を取る。その一挙一動がゆっくりと絶妙なタイミングで、観客はおじいさんに釘付けになっていく。

 おじいさんは「大きな古時計」を日本語で歌う。1番を歌い終わると、コーラスが英語で歌い始めて、おじいさんはゆっくりゆっくりと他のコーラスが待つひな壇へ戻っていく。観客からは暖かい拍手が送られ、ちょっとほろっとする一幕を見せる。ひな壇を上るのも苦労をして、壇に戻ったら大きな古時計が動かなくなるという歌詞にさしかかると、おじいさんは立ちながら寝てしまう。ここまでくると会場からも笑い声が飛ぶ。この後とびきりのオチがあるんだけれど、これは見てのお楽しみ。既に延べ10000人がこのオチを楽しんだそうだ。

 このパフォーマンスで会場の空気を完全に掌握すると、3曲目は水を得た魚のようにステージを所狭しとフォーメーションがくまれ、正に「ザッツ・エンターテインメント!」というパフォーマンスだった。歌い終わると、会場はこの日一番のスタンディング・オベーション。すばらしいエンターテインメントのステージだった。本場での観客の総立ちは、これからの糧になることは間違いない。

Tokyo Barbers' Aftergrow #09

 その日の夜、ステーキハウスで行われた東京バーバーズのアフターグロウ(日本風に言えば打ち上げ)に招待されて、コメントを喋ることになった。僕は前に書いてきたような話をした。僕にとっても、異国の地で日本のエンターテイナーが受け入れられることが、相当うれしかったからだ。僕にとってインディアナポリス最後の夜は、地ビールとコーラスに飾られたすばらしいものだった。それにしても、4人集まるだけでどこでもすぐに音楽が奏でられるバーバーショッパーズって、音楽と生活できる感じがして魅力的だと思った。当然レストランでも、ね。


グリニッジ

Terrace #04

 グリニッジと聞くといわゆるGMTの基準値、東経・西経0度に当たるイギリスのグリニッジが思い浮かぶんだけれども、アメリカにも結構いろいろな場所にグリニッジという地名がある。とはいえ一応僕の中でアメリカのグリニッジといったらコネチカット州のグリニッジだ。今日からしばらく、グリニッジの友人の家に滞在してニューヨークを狙おう、というわけである。

 彼は僕の父親よりも年上の方。18でアメリカに渡ってアートやグラフィックスの勉強をして、現在はマンハッタンのSOHOに事務所を構え、アートディレクターのキャリアを重ねている人だ。いろいろな企業のアニュアルリポート(企業の年次報告)をデザインしたり、マンハッタンのセントラルパークのパンフレットまで作っちゃったり、お店のロゴを作ったりしている。弟も4年間ホームステイでお世話になっていて、僕も毎年必ずうかがっている。僕がたぶん企業に就職しなかった理由の1つに、彼の仕事を見ていたからだと思うけれど、これはまた別の機会に。

 マンハッタンに行ってもシカゴに行っても、街を感じることはできるかもしれないけれど、たぶんそこで暮らしている人のリアルな生活、生態について、表に出てこない部分を知ることは難しいかもしれない。垣間見る術は磨けるだろうけれど、体験するにはまだほど遠いかもしれない。そもそも旅にそれを求めるか、と言われると違う気もするけれど、僕にとっては名所や人気スポットと同じか、それ以上に興味があることだ。

 その点においてイデ家での滞在は、マンハッタンで仕事をしていて、1時間ほどのところに住んでいる生活に生で触れることができて、毎回とても楽しんでいる。しかも毎年行くごとに、変わること、変わらないことがあって、アップデートされている部分があるからおもしろい。確かに自分だって生活パターンは毎年ちょっとずつ変わっていくけれど、ちょっと旅行したからってそれはわからないじゃないですか。

 それにしてもうらやましいと思うのは、家に帰ってきても未だ明るいと言うことだ。もちろん冬よりも睡眠時間が削られているわけだけれど、それにしても仕事から帰ってきてから2〜3時間は余裕が生まれている生活は、本当にゆったりしていて豊かな印象に映る。何で日本って忙しないんでしょうね。スポーツをする時間にも、食事を楽しむ時間にも、恋を楽しむ時間にだってなるのに。まあうらやましいことばかりではないんだけれど、良い点を取り入れようと思ってるので。

マリオット・マーキース、トラットリア・デ・ラート

Marriott Marquis #03

 今日からマンハッタンのブロードウエイにあるマリオット・マーキースに滞在する。それにしてもこのホテルは最高におしゃれでキャッチーで、すぐにお気に入りのホテルになりました。お気に入りのホテルはトーキョーのパーク・ハイヤットも含まれているけれど、家からあまりに近いのでそういく機会もない。そもそも「お気に入りのホテル」ができると、オトナになった気分になりますね。

 マリオット・マーキースは中央に巨大な吹き抜けの空間があって、それを取り囲むように各階の客室が配置されている。だから吹き抜けがあるマンションみたいな面持ちでこれだけだとむしろダサいんだけれど、その吹き抜けの中心にあるのが8Fのラウンジやレストラン、スシバーといったお楽しみ。そしてさらにキャッチーなロケットのようなエレベータも目を見張る。

Marriott Marquis #08 エレベータのかごの中には行き先階のボタンはなく、エレベーターホールで行き先の階を予約すると、どのエレベータに乗るかを指示される仕組みになっている。それに乗れば後は何もしなくても、勝手にかいでドアが開く予約制のエレベータシステムなのだ。メカニックというよりはカルチャーとしてのエレベータに興味があるので、これには惹かれた。エレベータもAからQくらいまであって、エレベータホールを取り囲むようにかごが配置されているのも珍しい。そして8Fのラウンジや客室の廊下から、エレベータが行き交うのを眺めることができるようになっている。

 一通りマリオット・マーキースを探検した後、7番街をセントラルパークまで歩く。マンハッタンといえば5番街が取りざたされるけれど、ショッピングが一通り終わったなら、むしろ7番街が楽しい。7番街・57st.のあたりにあるイタリアン、トラットリア・デ・ラートで夕食。

Trattoria Dell'Arte #02 これがまた、ちょっと感動的でしたね。アメリカでの食事には牛肉以外あまり期待していなかったんだけれど、このイタリアンは日本で同じ値段を出しても食べられないくらいおいしい。たぶんトーキョーの方が値段は安く食べられるんだけれど、一定の値段を超えると格段にマンハッタンのレベルがトーキョーを突き放す気がする(一定の値段といっても別に1万円とかそういうレベルじゃなくて、1皿で$20前後とかです)。

 すっかりいい気分になってまた7番街をふらふら歩いていると、シカゴでお気に入りになったJamba Juice(フレッシュ・フルーツ・スムージーのお店)を見つけて、またメガ・マンゴー(Vita. Boost)を頂く。またしばらくマリオット・マーキースのロビー階でエレベータを眺めながら、ほどよい眠さで部屋に戻るのでした。


ナイアガラ・フォールズ

Niagara Falls / Canada Falls #07

 日本で滝というと、険しい山の奥、河川の源流に近いところへ行ってみるイメージが強い。だから小降りだけれども、その細く激しく落ちていく水の筋に美学を感じ、ちょっとずつ放出されるマイナスイオンの流れを感じるという楽しみ方が適当じゃないかと思う。けれども一度は、幅500mを超えるようなダイナミックな滝を見てみたい、と思っていた。そこで訪れたのが、ナイアガラの滝である。

 ナイアガラの滝に関して、いくつか勘違いしていることがあった。滝が2つあること。ちょうどアメリカとカナダの国境線を担っている川にあるため、アメリカ滝とカナダ滝の2つが存在していて、馬蹄炊きと呼ばれている方はカナダ滝だったと言うこと。そしてアメリカ側に関しては、なんとニューヨーク州だったということだ。

 ニューヨークというとマンハッタンとその周辺のイメージが強いけれど、地図を見るとこの州は、何とも北西方向に向かって広くなっている巨大な州で、カナダとの国境にも接している州だったのだ。むしろマンハッタンが申し訳程度にニューヨーク州に入れてもらっているような雰囲気。アメリカ人に聞いても「へー、そうなんだ」と言われて困惑しちゃうんだけれども。

 マンハッタンからケネディ空港で飛行機に乗って、バッファロー空港へ飛ぶ。ここからバスで1時間走るとアメリカ側のナイアガラ市に入り、国境の橋を渡ってカナダ側のナイアガラ市に入る。するとちょっとがっかりした風景が広がる。日本の他機のイメージのせいなんだけれど、滝は険しい山奥にあるイメージがあったのに、カナダ側のナイアガラ市はリゾートになっていて、ホテルやカジノが建ち並び、とても険しい山奥とはほど遠い場所だったのだ。ちなみにアメリカ側のナイアガラ市は滝が見えないので鳴かず飛ばずの静けさです。

 しかしナイアガラの滝壺を巡る「霧の乙女号」に乗船すると、その残念な気持ちも吹き飛ぶ。やっぱりすごい迫力なのだ。落差50m、幅600m近いカナダ滝に囲まれると、激しい夕立に見舞われたように四方から水しぶきが飛んでくる。後で上から滝を見たときに気づいたけれど、その水しぶきで虹が出ていたようだ。そんなことは船に乗っている限りはわからない。この水のパワーで、今でも滝は毎年3cmずつ後退しているそうだ。

 滝の迫力を感じた後で、ツアーは土産物屋に向かう。これもかなりがっかりしてしまった。日本人のおばちゃんたちが、カナダの名産品を、日本風に進めてくるのだ。険しい山奥じゃなかったところからせっかくプラスに転じたのに、おばちゃんたちでまた滝壺に沈められた気分。初めての人はツアーじゃないとわからないかもしれないけれど、もし旅慣れた方だったら、バッファロー空港からレンタカーで行くことをおすすめします。


ワシントンDC

Reflecting Pool #02

 マンハッタンを起点にした旅も今日が最終日。今日はワシントンDCを訪ねた。アメリカの首都へ始めていくことになる。トーキョーは経済も政治も集中している都市で、たぶんほとんどの国がそういうスタイルになっていると思うけれど、このワシントンDCは経済のにおいがあまりしない街である。経済はニューヨークに任せて、ワシントンは政治の中心、という役割分担なのだろう。

 だから街を楽しむ目的で観光しても、そこまで面白みはないかもしれない。たくさんのメモリアルなモノが点在しているけれど、日本人の僕が言ってもそこまで感銘を受けなかったというのが正直な印象だ。スミソニアン博物館もかなりこども向けの好奇心をかき立てる内容なので、太平洋戦争の展示はかなり興味深かったけれど、それ以外はイマイチだった。

 しかし、街の構造はとても面白かった。公園都市なのである。普通の都市ではあり得ないような線が見えるのだ。The Mallと呼ばれる緑地帯に沿って建てられたワシントンやリンカーンのメモリアル、アメリカ議会が1直線に並んでいるのである。ここまでキレイに設計されて線ができている場所がトーキョーにあるだろうか(鬼門みたいな目に見えないけれど意味のある線や領域はたくさんありますね)。

 マンハッタンからワシントンDCまではAmtrakという日本で言うところの新幹線で移動するんだけれど、行きは朝7時に乗って、帰りは夕方5時に乗った。マンハッタンまではだいたい3時間くらい何だけれども、車両の電気が切れてしまったりクーラーが切れたりして、車両のメンテナンスなんて適当なモノですね。


Tokushin

Toku Shin #02

 コネチカット・グリニッジにあるケンさんがやっているお寿司屋さんがTokushin。アメリカで食べるお寿司の概念を覆すほどおいしいお寿司を出してくれるお店だ。店の雰囲気も日本にあるお寿司屋さんのように行きなんだけれどもどこか落ち着く店構えになっている。ケンさんがアメリカに出す寿司屋はここが始めてではないけれど、だからこそ出せたお店なんじゃないか、とも思うのだ。

 ケンさんはTokushinを始める前、マンハッタンのSOHOにある超人気店Tomoeを出店していた。さらにその前は、マンハッタンのラーメン屋SAPPOROの隣にあるスシ屋いろはで働いていたそうだ。Tomoeは毎日行列ができるし、セレブも訪れるような有名なお店である。

 けれども彼はとても疲れ切ってしまっていて、ビジネスは成功しているけれども充実している生活を送っているとはいえなかった、とケンさんの友人は話す。そこでグリニッジにのんびりとしたお店を出したらどうか、というススメに乗ったという経緯だった。

 Tomoeでも食べたことがあるけれど、マンハッタンの忙しない人気店TomoeとゆったりしたTokushinでは同じ職人が握るスシでも味が違う。うまいですよ、本当に。マンハッタンの時のような行列はないけれど、そこで食べるよりも断然うまい。マンハッタンの常連さんもここまでクルマを飛ばして食べにくる理由がわかるような。

 アメリカでスシからライフスタイルの違いを知ることになるとは思ってもいなかったけれど、人が生きてるという意味ではどこに行っても同じなんだな、とも思った。また食べに行きます。


今日のトーキョー、トーキョーに戻る

 日本に戻ってきました。それにしても、ニューヨークがいかに暑かったか思い知らされた感じだ。気温の上では38℃から40℃にもなる熱波が押し寄せてきた上、外がこれだけの気温にも関わらず一歩室内に入ると23℃くらい何じゃないか、と思うくらいの強い冷房にさらされる訳です。気温差実に17℃。扉の向こうとこちらでは2000m弱の山の頂上とふもとくらいの差があるなら、なるほどこれは体調も崩す訳である。そう、こちらにかえってきて風邪気味になってしまった。

 それにしてもトーキョーは雨がよく降りますね。ニューヨークでは猛烈な夕立に遭遇したけれど、こちらはしとしとと、ちょっと強めに降ったりして、梅雨の末期症状を見せている感じがする。長野も水害が広がっていて、ちょくちょく行く蓼科はどうなっているか心配になってきた。だからといってホイホイ行ける距離でもないんだけれども、考えてみたらアメリカでのクルマの200km移動と日本の200km移動はだいぶ概念が違いますね。

 とにもかくにも日本に戻ってきたわけだ。よく海外に長く旅行していると日本に帰ってきてからの食事が楽しみ、なんて行ったりするけれど、別段そういう訳でもない。コネチカットで知り合いの日本人が経営している寿司屋の魚も日本のそこらの寿司屋より数段おいしかったし。むしろ野菜や果物の値段と味の違いを実感してきてしまったので、どこでおいしくて安い野菜が発見できるか、しばらくトーキョーを探そうと思います。野菜はともかく、果物は難しいかもしれないけれども。

Taro - tokyotoday さてトーキョーに戻ってきて、刺激が薄かったとはいえ、やっぱりMoMAの影響はちょっとあるような気がしてきた。何か、ハンドライティングのイメージングをした方がいいんじゃないか、ということだ。つまり、手描きの絵を描いた方がいいんじゃないか、ということである。絵に関しては、周りに上手な人が多いこともあって、なんだかとてもコンプレックスを抱いているので、とりあえずこの夏でお絵描きに抵抗なくなるようにしてみたい、と思ったのだ。

 本当は習った方がいいんだけれども、その前に絵を描く習慣を付けよう、という事で、これから先、しばらくの今日のトーキョーは、写真ではなくイラストでお届けします。手始めに自分の顔を描いてみたんだけれど、自分で自分の顔をかくと、なんだか活力がないというか、素直じゃないというか、そういう顔が浮かんできますね。いや、実際今はそんな心持ちでもあるので、絵は心をちゃんと表すのだな、と納得してしまった。けれども今納得するのは早そうだと言うのは、やはり絵を見れば明らかな訳で。

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