2006.11.19 16:28 JST -

来年はミランダになるかもね - プラダを着た悪魔

 最後のシーン、悪魔の編集長ミランダがやめてしまったアシスタントのアンディを見てニヤっとした次の瞬間、再び悪魔の顔に戻ってメルセデスの運転手に鋭い声で「GO!」と言う。この瞬間僕は、スクリーンの前で「YES!」と叫んでしまったところでエンドロールが始まる。

 久々に最後まで爽快な映画を見た気がする。思った通りのニューヨークの街で、思った通りのカット割りで、思った通りの皮肉な鋭いセリフの応酬で、思った通りの展開。そしてこのエンディングである。そう書いてみるとつまらない映画なんだけれども、またちゃんとみたいと思える出来栄えは満足だった。

 ファッション業界、それもニューヨークを題材にした映画で、業界の守護神とも言われているファッション誌のカリスマ編集長と、そこにアシスタントで入ったファッションにあまり興味のない女の子の話。

 とにかくブランドや流行が出来上がるルーツの部分を扱っているのだが、小道具として出てくるモノのブランドも典型的。

 コーヒーはスタバのベンティ・ドリップ。これはアメリカならではだな、という感じがする。しかしミネラルウォーターはイタリアの天然炭酸水サンペレグリノ。当然瓶は小さな瓶で山積みストックされている。一度明けたら飲みきらないと意味がないからね。

 パソコンは当然Mac。プロダクトの美しさは結局ここのメーカー、ガジェットデザイナーにはかないませんからね。出版業界という畑のことを差し引いても、アシスタントのデスクだってiMacじゃなければ目触りで仕方ないわけです。しかもキーボードとマウスはBluetoothでワイヤレス化されていて、必要ないときは机の引き出しにしまわれているのだ。とにかく目触りなモノを排除しなければならない環境に何とかフィットできたのはiMacくらいだったのだろう。

 自動車はメルセデスが選ばれていた。やはり先進的で機能的でエレガントというとメルセデスのSクラスになっちゃうんでしょうね。ポルシェのボクスターかカレラのオープンも一瞬出てきていましたが、こちらはあくまでプライベート用なのでしょう。

 ケータイは多分モトローラと白いSidekick 3が使われていました。アシスタントはスマートフォンで出先でもちゃんとメールをチェックする必要があるわけです。でBletoothのヘッドセットなんて論外。テクノロジの便利さは最低限に、あくまで見た目重視が基本です。

 映画の爽快感とともに、小道具として出てくるモノが、僕の生活の周りにあるモノと酷似していることに気づかされて、だんだん気分が悪くなってきた。もっとファッションに気を使わなきゃならない入り口に僕が立たされているようで。

 そう思ってエンドロールもそこそこに席を立ってみると、背筋がぴんと伸びていて、大又な速足で六本木ヒルズをカッポしていて、しかも悪魔の目をした僕が誕生していたのでした。

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2007.02.01 #06松 村 太 郎
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