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水没から始まったナンバーポータビリティ体験記

2006.11.06 16:25 JST - - - ()

 昨日からスタートしたケータイの番号持ち運び制(和訳に違和感があるんだけれども)、いわゆるナンバーポータビリティ(MNP)のニュースが大きく報じられている中、僕は割と冷めた視線を送っていた。確かに今まで不可能だったこと(番号をそのままにして他のケータイ会社の端末やサービスが使えること)が可能になることはエキサイティングだし、もちろん可能であった方が良いと思う。


 しかしながら、僕は自分のことを、MNPを利用しない人だろうと思っていた。なぜかと言われると特に理由もないけれど、同じように変える理由もなかったからだ。つまり現状のモバイル通信環境、DoCoMo SO902iとウィルコムW-ZERO3[es]に、特に不都合があるわけではないからだ。

 メインのケータイに関して、今のところ特に通話にも不都合がないし、何しろパケホーダイなのでメールも送り放題だし、SXGAサイズの写真をFlickrに直接メールで送るという方法でリッチなモブログを楽しんでいる。おサイフケータイにもICカードのアプリを3種類くらい入れて財布の厚さを削減することに成功している。バッテリの持ちと端末のレスポンスのスピードが気になり始めたくらいだ(考え直せば、これもまたケータイのフベンではありますね)。

 また定額通話とインターネット用にはウィルコムのW-ZERO-3 [es]を使っている。長電話をするときには必ずウィルコム同士の通話で喋り始めるようにする必要はあるが、そういう制約があっても通話している時間は圧倒的に延びたように思う。出先でも無線LANのアクセスポイントを気にせずメールを送受信できるし、ちょっとした調べ物やブログの更新をするときにはフルブラウザからアクセスすればいい。パソコンのメールが出先でもアクセスできるならケータイメールがいらないじゃないか、確かにそうなんだけれど、やっぱり日本ではPCのメールとケータイのメールは使い分けられてますよね。


初めてケータイを買うときの感覚?

 とにかくMNPは使わないだろう、と思っていた僕は、不慮の事故に見舞われた。クルマから降りるときに、ケータイを地面に落としてしまったのである。まあ普通であれば傷が付く程度で済む話だが、ちょうどその日は風速25mの突風吹き荒れる大荒れの日で、ケータイを落とした先にあったのは深い水たまりだったのだ。とにかくケータイの水没だけには一番気をつけならが生活してきた僕でも、こういう事はあるのだ。

 この水没をきっかけに、通信環境を考えることにした。まず水没させたケータイを機種変更というカタチで復活させる方法。これは一番まっとうな機種変更の方法なのだが、端末を変えてから6ヶ月しかたっていないので、とても高い金額がかかってしまう。ならばDoCoMoを解約してウィルコム1本だけで良いか? W-ZERO3[es]がメインのケータイになる、ということはちょっと自分のケータイを使うスタイルには合わないなと思ったし、名刺には水没させたケータイの番号が印刷してあるのでコンタクトが取れなくなってしまう。

 そこで、水没させたケータイ番号をMNPにかければよいのではないか、と思ったのだ。そうすれば転出先のケータイ会社では新規加入扱いになるので、端末の価格も融通されるし、電話番号の連絡が付かなくなることもない。自分には無縁だと思っていたMNPを検討しよう、と言うアイディアが生まれた瞬間であった。

 自分には無縁だと思ってきたケータイのナンバーポータビリティー(MNP)は、細心の注意を払ってきたケータイの水没という不慮の事故によって、僕にも関係のある話になってきた。今手元にあるのは、わずか6ヶ月で水没して使えなくなってしまったDoCoMo SO902iと健在のウィルコムW-ZERO3[es]である。このうち、SO902iの番号は名刺にも印刷されているモノで、廃止するわけにはいかないので、これをMNPで新しい端末として復活させよう、と言うプランだ。これが意外と楽しく、また気遣いの多い作業になった。

 MNPを使って乗り換える場合、転出先のケータイ会社にはまるっきり新規契約、と言う扱いで迎えられる。そのため端末価格も優遇されているし、MNP対策の色々なキャンペーンを適用することも出来る。料金の話も考えなければならないが、まずはDoCoMo以外でどのケータイ端末を選ぼうかというところから始まる。

 それなりにケータイの新機種の情報は持っているつもりだし、レビューを書くときは実際の自分の生活の中に入れて使うようにしているが、そもそも変える気がなかったのだから、意中の端末などない。実際に店頭でauやSoftBankの端末を眺めながら考えるのだ。もう少し待てば良いヤツが出てくる、という「待ち」は出来ない。とにかく早く番号を復活させなければならなかったからだ。

Mobile Number Portability #04

 店頭では、同じようにMNPを適用しようとする人たちで溢れていたのだが、新宿西口ヨドバシカメラでの風景を見る限りでは、圧倒的にSoftBankの端末の周りの人の密度が高かった。やはりMNP直前に打ち出した通話料・メール代と、後出しで26日に発表した機種変更の初期費用「¥0」の戦略の効果が高かったのだろうか。

 機種変更の初期費用が無料というのは、キャリアを乗り換えようとする人にとって魅力的である。店頭の人に話を聞いてみると、確かに端末を受け取るときには費用がかからないが、10月末に加入してから向こう26ヶ月間月賦を払い続ける仕組みで、途中解約すると新規でケータイが何台も買えてしまうような金額の負担をすることになる。図を見ながらよく整理して考えれば分かるが、店頭での説明だけでは難解な内容だった。説明がなかなか分からず、端末を触りながら仕組みの理解に努めていたからこその、写真の人だかりだったのかもしれない。

 さて僕が一番気に入ってしまったのは、SoftBankのX01HTだった。X01HTは、台湾のメーカーhTcから供給されているWindows Mobile搭載のスマートフォンである。全く同じセグメントの端末であるウィルコムのW-ZERO3[es]が手元にあるからこそ惹かれてしまったのかもしれない。W-ZERO3[es]の軽快感と電話のスタイルを残している点は評価していた。しかし使って行くにつれて、剛性感のなさ、動作・通信速度の遅さが気になり始めていた。

 そこでX01HTを触ったときに、W-ZERO3[es]よりも数段高級感がある端末に仕上がっていたのである。何より気に入ったのがキーボードとスクロールなどに使えるジョグダイアルというインターフェイス類だった。特にキーボードの出来は心地よいモノだった。そして3Gハイスピード(HSDPA)に対応しているし、無線LANも入っている。上には上があるモノですね。今手に入る端末の中で最も魅力的だったのがこのX01HTだったが、このチョイスがまた事をややこしくしている。


今使っているケータイの、様々なしがらみ

 今まで当たり前のように使ってきたケータイによる通信環境が急になくなるというのは「自分がそこまでケータイに依存していない」「生活の中心にケータイがない」と頭では思っていても、とても不安になるものだ。これは心理的なものだけでなく、すでに生活の身近なところにも降りてきている。水没させた6ヶ月目のSO902iを目の前にして、無縁だと思っていたモバイルナンバーポータビリティー(MNP)に光を見いだすこととなった僕である。そして初めてケータイを持つときのような感覚を持って数ある端末から選んだのが、SoftBankのX01HTだったのだが。

 X01HTは世界標準的なスマートフォンだ。同じWindows Mobile 5.0が入っていて現在使っているウィルコムのW-ZERO3[es]と比べると、申し訳ないけれどX01HTの方がモノとしての魅力にあふれ、入力インターフェイスもよりよいモノに仕上がっている。音声通話、テレビ電話、国際ローミング、フルブラウザ、POP/IMAPのメールアクセスなどはそつなくこなし、3Gハイスピード(HSDPA)での高速アクセスにも対応している。しかしながら、僕にとってX01HTを今まで通りのケータイ生活でメインの端末として使うことはできないだろう。

 日本のケータイメールやYahoo!ケータイなどのコンテンツサービスに対応していないのだ。つまりケータイメールは使えなくなってしまう、ということだ。当然、おサイフケータイの機能などもない。

 おサイフケータイについても大して使っていなければ見捨てても良いのかもしれない。しかし僕の場合、ANAのマイレージから交換したEdyと、モバイルSuicaを使っているし、おかげで財布の厚さを減らして財布に優しい生活を実解してきた。やっぱりおサイフケータイの便利さ、軽快さは一度使うと離れられなくなるモノだ。おサイフケータイの機能を見捨てると今日現在でも合計で15000円近くを葬り去ることにしてしまう。もちろんキャリアをまたいでおサイフケータイを移行することはできるが、SoftBankで気に入ったX01HTにはおサイフケータイがない。

 見捨てられなかったのはそれだけではなかった。僕は着うただとかデコメール素材のコンテンツサービスはあまり使っていなかったが、ニュースと大好きな気象情報のコンテンツは取っていたし、時々ゲームもやっていた。

 例えばニュースについて。普段読んでいる新聞と同じニュースサイトを購読し、見出しや記事の概要をケータイで見て、気になる記事は新聞の紙面で読む、という新聞とのつきあい方をしている。つまりニュースがプッシュされてきて、気になるモノをより分けた上で新聞を読みに行く、というスタイルにに慣れてしまっていたのだ。X01HTはウェブブラウジングが可能なので、もちろん無料で新聞社のサイトを閲覧すれば記事を読むことが可能だ。しかし自分で読みに行く、というアクションを起こさなければならず、プッシュされてくる情報を見るのとは違う感覚になる。何より、号外がプッシュされてくることはないだろう。

 気象情報のコンテンツは、僕の趣味にも通じるところだが、気象という場所だとか時間だとかが連続的に変化する現象とケータイとの関係性は、研究の興味が向いているところでもあり、いつもアイディアの源になっていたりする。これもまた、雨雲が発生して近づいてきたり、地震が起きたり、台風が生まれたりといった気象イベントに応じてメールがプッシュされてくる環境には魅力を感じるし、地球の上で、また日本の四季の中で生きている感覚を存分に楽しむことができる。

 インターネットに慣れ親しんでいると、情報をプルで取りに行く機会が圧倒的に多い僕であっても、ケータイのプッシュ型の情報にお世話になっている、という気づきがあった。しかしMNPを適用すると、これらのサービスからはいったん引きはがされる。ほとんどのコンテンツプロバイダがMNP先のケータイ会社でも同様のサービスを展開しているので、再び契約すればいいのだが、特にプッシュ型サービスの場合は自分に合わせた細かい設定を再びやらなければならなくなる。

 またゲームについても同様だ。最近はセーブデータをサーバに保管する形式でサービスを提供しているソフトもある。僕が懐かしくて10月だけやっていた「ドラゴンクエスト 不思議のダンジョン」もその形式で提供されていた(スーパーファミコンでやっていた「トルネコの大冒険」がどうしても懐かしくなっちゃったんです)。ゲームや占いなど、一部のサービスはケータイ会社を変更しても、設定した情報や蓄積したポイントを引き継ぐことができるモノもある。しかし僕が選んだX01HTは、ケータイのコンテンツサービスにもアプリにも対応していない。

 継続利用期間だとか、そのキャンセル料だとか、家族間での割引だとか、そういった利用料金に直結する部分でのしがらみを、キャリアは十分に用意してMNP導入に望んでいるはずである。一方でユーザー側からすると、現在の情報環境そのものであるニュース・ゲーム・着うたなどのコンテンツサービス、料金プランへの理解、サービスの使い勝手、メールサービスの仕様や絵文字の種類とデザイン、コンテンツサービスのアクセス方法、ある程度統一感のある端末メニューの癖に至るまで、ケータイを毎日充電して持ち歩いているからこそのケータイとともにある生活ペースというものがある。

 MNPはケータイ会社にとってさらなる競争時代の幕開けであるとともに、ユーザーサイドにとって見れば、(ちょっと大げさだけれども)自分が今まで過ごしてきたライフスタイル、これにメスを入れることにもなりかねない。気軽に取り組もうと望んでいたMNPだったが、一番大きなしがらみは、自分のライフスタイルであったとは、まさに予想外であった。


いざ手続き

 無縁だと思いつつも6ヶ月しか使っていないケータイの水没から利用することにしたケータイのナンバーポータビリティー(MNP)。実際の手続きの前に考えておくことがいろいろあったので、すでに3本も手続き前の話を書いているけれど、いよいよ手続きのプロセスだ。ちなみに僕の場合、転出元はDoCoMo、転出先はSoftBankであり、まさにSoftBankのシステムのパンクの影響を受け、やっと正常化したところだった。

MNP Reservation on My DoCoMo #10 MNPの手順は各サイトで報じられているとおりだ。まず転出元、僕の場合はDoCoMoに対して「MNP転出の申し込み」をする。DoCoMoの場合はi-modeのメニューからアクセスする方法と、パソコンのMy DoCoMoから手続きをする方法、(ちょっとこれは気まずいけれど)オペレーターに連絡する方法とドコモショップで手続きする方法がある。僕の場合は(スクリーンキャプチャを残せるという理由もあって)パソコンのMy DoCoMoサイトから手続きを行った。ちなみに家電量販店で手続きを行う場合は、番号を持っていないことを前提に、i-modeからMNP予約番号を取得するように促される。

 予約番号を取得した次は、転入先のケータイ会社とのやりとりだ。ここでまた1つ問題がある。

 自分が使っているケータイ会社の場合「もし何かあっても対応してくれる窓口がある」という保険的な意識だろうか、ここにドコモショップがあるなということを、街が歩いているときにインプットしている。だから僕の場合、身近なところで5カ所程のドコモショップの場所を、空で道案内が出来るほど覚えている。それにもかかわらず、今まで自分に関係なかったケータイショップの場所は、目に入っているのだろうが覚えていないのだ。

 つまりソフトバンクショップがどこにあるか、ということが全く分からなかった。もちろんウェブサイトで検索すれば良いんだけれども、普段から説明書やマニュアルを読まずに生活している僕にとっては、そのちょっとしたことが面倒なのだ。そのため近場にある新宿西口の家電量販店、ヨドバシカメラで手続きをすることにした。

Mobile Number Portability #03 予約番号を持って量販店の店頭に行き、自分の欲しい端末を選ぶ。僕の場合はSoftBank X01HTだった。広告の通り、家電量販店の店頭であっても端末の初期費用は0円で、月々のケータイ料金にX01HTの場合は690円の24回払いになる。新・スーパーボーナスで毎回の端末分割料が2280円割り引かれた後の価格が690円で、加入してから2ヶ月後に支払いがスタートする。自分で文字に起こせば、2年たたずに解約するとどういうことが起きるかがわかるのだが、店員さんに店頭でこれを説明されてもすんなりと理解できるかどうか、実際自分が説明を受けてみて「厳しいな」という感触だった。

 ちなみにDoCoMoのFOMAカードやau ICカードのように、SoftBank 3GでもSIMカードによる契約番号の管理がなされている。ところがせっかく会社がSoftBankブランドに変わっていたのだが、SIMカードにはSoftBankのロゴではなく、赤いVodafoneのSIMカードのままだった。僕は今までのVodafoneユーザーではないので赤いグローバルに知られているロゴに愛着があるわけではないが、確かにVodafoneロゴを自分のケータイから失いたくない、という気持ちもわからないではなかった。

 さて、ソフトバンク関係のMNPは報じられているとおり混乱を来しており、僕がMNPを適用した際にも3時間ほど待たされた。そしていよいよ店頭で受け取る時間になり、店頭でケータイを新規契約したときのように端末を受け取る。ケータイに表示される自局番号は、MNP前まではDoCoMoの番号だったが、これで晴れてSoftBankの番号として使えるようになったわけだ。

 あまり万人にお勧めできる方法ではないかもしれないが、ここまでで水没ケータイをMNPで復活させるという作業は終了したことになる。終わってしまえばなんてことはない話なんだけれども、ここから先はDoCoMo以外のケータイ、SoftBankのケータイを持つことという、初めての経験がスタートすることになる。こちらについても、追ってレビューしていきたいと思います。

・ケータイ時代のスタンダード: MNP体験記

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