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10年前の理想のケータイ

2006.12.19 13:46 JST - - - ()

 AppleではなくCiscoの子会社であるLinksysからiPhoneという名前のIP電話製品群が登場した。AppleはiPhoneの商標を持っていなかったのだが、たぶんガジェット好きの多くが期待していたiPhoneとは別のモノとして登場したことで、Appleが出すと噂されているiPhoneは別の名前になるようだ。僕はAppleが出すiPhoneは、GSMやW-CDMAの電波を拾う完全にケータイのカタチになるのか、それともiPodベースでこれにWi-Fiを通じたIP電話機能を追加したモノなのか。僕はどちらかというと後者のIP電話ベースでも良いと思って居るんだけれど、どんなカタチになるのか、と思いをはせる部分もある。iPhone関係の話はまた明日か明後日にしておきましょう。


 僕は高校生の頃に初めてケータイを持ってから、「僕が欲しいケータイのデザインのカタチ」に変化はない。もちろん内部構造だとか、通信技術だとか、昨今の技術やサービスのトレンドまでは予想だとか理解が及ばなかったけれど、筐体のデザインははっきりしている。それは、折りたたみ型で外面は金属パネル、内側は全面タッチパネルという条件だった。

 そして当時から不便だなと思ってきた電話帳やメールは、ケータイを持つと同時に使い始めたインターネットのサービスにインスパイアされて、全部インターネットの上に置いてあるイメージを持っていた。PCから編集すれば勝手にケータイの中の電話帳が更新されるし、メールはケータイからでもPCからでも共通のメールボックスにアクセスしながら利用することが出来る、というものである。

 そんなイメージを1997年ごろに考えてから、そろそろ10年が立つ。まあ16歳の頃に考えた10年後というのも稚拙だけれど、少なくともデザインや電話帳やメールなどの統合されたサービスについては、きちんと実現されたのだろうか。いくつかの技術やサービスは、個別に解決に向けた動きや解決そのものを表してくれているので、10年越しの答え合わせをしてみたいと思う。

SoftBank X01HT #12 例えば全面タッチパネルという折りたたみケータイ。折りたたみではないが、全面タッチパネルのケータイはJ-PHONEのパイオニア端末DP-212以来しばらく登場してこなかった。しかしリッチなケータイコミュニケーションツールとして復活を果たしつつある。ウィルコムW-ZERO3、DoCoMoやSoftBankに供給されているhTcのスマートフォンなどは、Windows MobileのOSと組み合わせて、全面タッチパネルのインターフェイスを備えている。マウスではなくペン入力のインターフェイスになっているが、パネルを直接指で押すこともできる。

 まっさらなパネルにボタンが描かれていて、指が触れるとプッシュボタンの音がする。タッチパネルが自在にボタンに変化して、押して触ることが出来るというインターフェイスは、とてつもなくアナログとデジタルの融合の感覚(僕は高校生の頃から勝手に「デジログ感」と呼んでいる)がして、僕の好みのインターフェイスではある。僕が今使っているSoftBank X01HTでも、軽いフィジカルフィードバックが返ってくるとうれしい。

Universal Keitai - camera 実はこの2画面タッチパネル型でちゃんとフィジカルフィードバックもくるようなインターフェイスがほぼ実現されているのが、まだ発売されていないDoCoMoと三菱電機が共同開発した端末である。折りたたみ型の2画面で手前の画面はタッチパネルとなっていて、シンプルな操作画面から標準のプッシュボタン、玄人好みのする細かい機能操作まで、使う人が使い方を選んでボタンをカスタマイズするようになっている。詳しいインターフェイスの遷移は写真をクリックして飛んだFlickrのアルバムの前後の写真を見ていただければと思う。

 ちなみにこのケータイには「2画面ユニバーサルデザイン携帯電話」というキャプションが付けられていた。別に僕が10年前からユニバーサルデザインに興味があったか、と言われると全くそんなことは考えていない、いたいけで甘酸っぱい夢見る高校生でしかなかったけれど、当時の理想像がユニバーサルデザインというキャプション付きで実現されそうになっているところには、軽い感動を覚えるのであった。

 インターフェイスにはケータイのプロトタイプに、インターフェイスのイメージを重ねてみることが出来る。では電話帳やメールはどうだろうか? 僕の10年前の電話帳やメールのイメージは、前回触れたとおり、サーバの上に保管され続けていて、ケータイからもPCからもアクセスしたり編集したり出来るようになっている単一のアカウント、というものである。

 「電話帳やメール」と書いてしまったが、ケータイにとっての電話帳はコミュニケーションを自分から起こす際の起点となるツールであり、登録されている番号に電話をかけたり、登録されているメールアドレスに新規作成でメールを送ったりする。

 誰かが新規作成しなければならないはずではあるが、受信したメールからそのまま継続して時には頻繁に、時には数日から数週間のインターバルを経て、「返信」で繰り返されるコミュニケーションが多いことも確かだ。すると電話帳が登場するチャンスはそこまで多いわけではなく、コミュニケーションが継続している、そんな関係性がメールボックスの受信メールと返信したことを表すマークで表現される。

 こういった現状をうまくまとめた電話帳・メールのサービスは、当面GmailとGoogle Talkがお手本ではないか。メールとチャットをうまく融合していて、チャットの返信をメールで、メールの返信をチャットで、ボイスメール(留守番電話)の返信をメールで返したり。1つのアカウントに対していくつかのコミュニケーション手段、アクションを適切に取れる起点としての電話帳の存在が確立されている、と僕はとらえている。

 これはWindows Live MessengerがデスクトップにあるWindows PCとも同じだし、iChatやJabber(Google Talk)のオンライン状況を表示してくれるMac OS XのMail.appでも同じことだ。しかしGmailとGoogle Talkのブラウザ内での連携は、1つのウェブブラウザの画面の中で展開されている点で、ディスプレイ装置がプアなケータイでも実現できそうだ、と言うイメージが沸いてくる。僕はブラウザの中で展開されるアプリケーションよりもデスクトップアプリケーションの方が無性に好きではあるけれど、それはそれである。

 さてGmailの話に戻る。メールを書こうとする電話帳にGoogle Talkのオンライン状況のステイタスが反映されている。そしてメールやチャットは、一連のスレッドという会話の単位にまとめられている。僕がMacで使っているMail.appやWindowsのOutlookやBecky!といったメールソフトにもこのスレッド機能が付いているので、目新しい機能ではない。MacやWindowsのメールクライアントでもGmailでも、このスレッドを使うと返信メールをまとめてくれるのだが、スレッド内に新しいメールが届いたら(つまり返信合戦をやっている相手から返信が来たら)、スレッド全体が受信メールのリストの中で最新のリストへと持ち上がってくる。

 以前アメリカのベンチャー企業とお仕事をさせて頂いたときに、アメリカ側のスタッフからこんなことを言われたことがある。「1日1往復はメールのやりとりがないと、どうしても不安になっちゃうんだ。進捗がなくてもよくて、むしろペットがどうしただとか、ランチがうまかっただとか、他愛もない話でも良いから、メールの返信スレッドが上に来ていないと、連絡というか関係性が切れてしまったような心配をしちゃうから」

 そんな彼らはメーリングリストをほぼ一切使わず、Ccでワークグループを作ってメールを送り始め、そこにリプライを付けながら1日中メールが飛び交うカタチで仕事を進める。メールの内容によっては、Ccの中身を巧みにコントロールして情報共有や調整をしていく。「Keep In Touch」とはよく言ったモノだが、これに「without tiny gap」を付けなければ、電子的なメディアでの関係性を証明することにはならない。この状況は、複数人に送るわけではないが、日本のケータイメールの状況、つまり返信合戦によるコミュニケーションに似ているな、と感じたわけだ。

 諸々ふまえてケータイの電話帳の話。果たしてこの「隙間なく連絡を取り続けましょう」という状況にどれだけ対応しているか、とふりかえったときに、やはりケータイの電話帳の機能は変化することなくどっしりと構えているなと思わされる。端末によってはコミュニケーションの履歴、つまり通話やメールの頻度を記録してくれる程度だろうか。

 ならばGmail・Google Talkネイティブなケータイが出来ればよいのではないか? これもまた、近いモノがSonyのmyloなのかもしれない。その考えの上で、明日はAppleから出てくる、と噂されているケータイについて考えてみたいと思う。

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