これまでは自分の情報分類の手段としてタグをどのように活用していけばいいか、という話をしてきましたが、タグをはじめとするフォークソノミーは、いわば知的役割分担、情報の助け合いのようなものです。自分がこれまでタグ付けしてきたモノが誰かの役になっている可能性があるということです。ではその逆として、誰かが作った情報を活用してみてもいいのではないでしょうか。
前回は自分のタグを元にして、足りない情報を検索・収集していくことが出来るという話をご紹介しました。これはあくまで自分から何らかの情報を探していて、足りない部分を他のユーザーの情報収集力で補う、という話でした。
自分が知りたい情報のジャンルが、自分の詳しい分野と一致していれば、情報収集や整理の手段としてのタグ付けは有効ですが、その分野について自分が詳しくない場合には、的確なタグ分類が出来ていない可能性があります。それでも、自分の情報整理として役に立っていれば問題ありません。しかし的確な情報にたどり着けていなければ、やはり情報手段として不足が生じます。
例えば、写真の場合。僕は今東京で暮らしています。その僕が写真を撮ったときには、東京の写真を撮ったことになります。この写真には決して「ニューヨーク」というタグはつけません。当たり前のことですが、それがニューヨークの写真ではないからです。旅行に行かない限り、僕はニューヨークとタグづける写真を撮ることが出来ないでしょう。
これは情報収集のスキル云々以前に、物理的にそのタグをつける情報にたどり着けない、そのタグをつける状況にならないこともある、という例です。このような場合、ニューヨークの写真を見たければ、ネット上の他のユーザーが撮影したニューヨークの写真を探すしかありません。しかしここで、「タグの購読」を行うことで、ただ単に検索エンジンで「ニューヨーク 写真」と検索するよりも優れた検索を行うことが出来ます。
オンラインフォトアルバムサービスFlickrで「newyork」タグを検索すると、このような結果が表示されます。約92万枚の写真が一挙に集まりますが、これが時系列に並べられていれば、おおよそ、ニューヨークで撮影された最新の写真がリスとされることになります。もちろんプライベートな写真も多いのですが、街並みやイベントが撮影された写真も含まれており、ニューヨークの今を垣間見ることが出来ます。
このニューヨークタグの検索結果をお気に入りに追加して定期的に見るようにすれば、東京にいながらニューヨークの街と人の様子を感じることが出来ます。そのニューヨークタグをつけてくれるユーザーの中から気に入った人を見つけることが出来れば、その人のニューヨークタグを購読することで、より欲しい情報だけをより抜いて定点観測することができるようになるでしょう。
写真に限らず、例えば自動車に詳しい目利きがつける「super car」タグを購読しておけば、最新のスポーツカーの情報を常に素早く知ることが出来ます。ケータイでも、音楽でも同様ですし、例えば東京+アートという2つのタグをセットすることで、条件を絞って情報を得ることにもつながります。
タグを活用した検索は、1回限りの検索だけでなく、定点観測のような長期的な情報手段として有効です。それでは自分はどの情報に強く、どのタグが他のユーザーの定点観測の対象になりうるのか、ということを意識して、自分のタグ付けを見直してみるのも良い機会になるでしょう。
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松 村 太 郎
TARO MATSUMURA
UPPERWESTSTUDIO
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
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