タグ的ライフハックを身につける - Tag Think 10
2007.05.18 22:01 | by TARO MATSUMURA
COLUMN, IDEA | hack, idea, tag, tagthink
まずライフハックについて。タグをピックアップするコラムでも採り上げましたが、ライフハックという言葉は、仕事術もこと。「ストレスなく生産性を発揮する方法」で、仕事を生産性高くこなし続けるにはどのようにしたらよいか、というハウ・ツーからスタートしています。イメージをつかみやすくするために例を挙げれば、生活の知恵、おばあちゃんの知恵袋のようなものかもしれません。
ライフハックや生活の知恵として紹介されているモノの多くは、簡単に真似をすることができる、という特徴があるように思います。共通の仕事をしていたり、共通の問題を抱えている場合、すぐに自分の仕事に取り入れて、効果を実感する事が出来る。そのためネットやテレビなどのメディアで人気の高いコンテンツとなるのも頷けます。
すぐに真似が出来ることは重要なのですが、果たしてこれで良いのでしょうか? そのときの1つのことの効率が上がるだけでよいのでしょうか。
もちろん30分かけてやっていたことが10分に短縮されれば、余った20分で別の仕事が出来るようになります。残業が減ったり、コーヒーを1杯飲んで一息つけるかもしれません。しかしライフハックでやっている仕事の効率を個別に高めていくことを実践していくと、ここでもう1つの欲求が生まれてきます。効率を高めると同時に、それらが体系的に連携をして、効率以外の今までにないメリットを発揮しないだろうか?
「タグ的思考法」の連載の答えは、ここにありました。
1つ1つのコラムでご紹介したタグの利用法は、ブログやソーシャルブックマーキングなどのサービスを使えばすぐに実践できることですし、情報検索や情報分類を簡単にこなすことが出来るようになったのではないでしょうか。その上で、今までの9回のタグに慣れ親しむことを通じて、新たな意味を見いだそうとしました。効率以外のメリットの話です。それはいったい何でしょうか?その前に、今一度タグの特性を考えてみる必要があります。
会話や文章では、必ず言葉同士に関係性があります。例えば「This is a display tech for keitai.」という文章があったとします。display、tech、keitaiという言葉の関係性は「これはケータイの、ディスプレイの、技術」と「技術」を説明するために「ケータイ」と「ディスプレイ」という言葉が使われています。
もしこのタイトルが付いている記事にタグをつけるとしたら、「display」「tech」「keitai」というタグをつけることになります。しかしこの際、タグ化されたことで、「display」「tech」「keitai」の間にあった関係性は全てなくなり、3つの単語は記事だけを説明することになります。
日常的な言葉では単語をヒエラルキの中で活用してますが、タグの世界では言葉のヒエラルキを使わないで言葉を扱う、珍しい現場となります。これにより、情報分類が文脈や言葉のヒエラルキから解放されて、より広く自分に関係するであろう情報に触れやすくなります。この点が、タグを体系的に取り入れた思考へのメリットを生みます。
そのメリットとは、隠れたコミュニケーションと情報共有コミュニティの形成です。
連載の中でも、同じブックマークをしている人のタグ分類を見たり、その人から他の情報を探したり、他人の特定のタグを購読したり、タグを中心にして他の人が見ている情報に触れることを紹介してきました。また自分がブログを書く際に、タグから情報を起こす方法に付いても紹介をしてきました。これらのタグ的行動には、これまでとは違ったコミュニケーションが含まれています。
今までのコミュニケーションは、送り手と受け手がはっきりしています。1:1の場合も1:多の場合も、掲示板のような多:多の場合も(個人が特定されるか否かは別として)、必ずコミュニケーションの1会話は、誰か1人の書き込みが担っています。
一方でタグによるコミュニケーションの場合、タグを見せる人、使う人の間に明示的なコミュニケーションはありません。ネット上に作られているブックマークやフォトアルバムのタグを使って情報を探したり、新たな情報を知ったりすることは、勝手に行われています。しかしながら、自分にとって有用だと思われるブックマークやタグ群は、定期的にチェックして情報源として活用するようになります。
ブックマークを作っている側のユーザーは、誰に使われるために作っているわけではありません。むしろ自分のためにブックマークをし、ブログを書き、そこにタグ付けをしています。しかしそのユーザーも同じように、他の人が自分のために作ったブックマークやブログを、タグを使いこなして利用していきます。
自分の情報が充実していくことは、同じようにタグを使って情報を調べたり作ったりする他の人たちの情報網を広げ、タグによるやんわりとした情報共有のコミュニティが作られていくことにつながる。タグ的思考法の1つの終着点は、ここにあると考えます。
おそらく会わないことの方が多いでしょうが、ネットの向こう側には人がいて、彼らと情報や知識を共有する隠れたコミュニティを形成している。Web 2.0を人が使いこなす際の1つのモデルとなりますし、隠れたコミュニティを参加し、活用することが、タグを通じたライフハックの結果と言えるのではないでしょうか。
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