iPhone Party
2007.07.26 11:58 JST - COLUMN - OUTPUT - PHOTO - keitai standard (event iPhone keitai)
先週の木曜日、とても面白い、というか奇妙な集まりにお誘いを受けた。その集まりに来る人はみなiPhoneを持っている人!残念ながら僕は持っていないので、自慢される立場だったのだが、それでも目の前に20台のiPhoneが並んだ様を見ると、さすがに圧巻であった。もちろん僕も触れると言うよりはしっかり握って色々試すことが出来た。日本ではiPhoneをケータイとして使うことが出来ないことはご存じの通りだが、iPhoneホルダーの方々が見るケータイの未来とはどのようなモノなのだろう。
外村さんのお声かけで1両日の間に企画されたiPhone Party。本名は「iPhone千手観音の儀」である。これだけの短い間に25人ほどの人が集まったのもすごかったが、そこに20台のiPhoneまでもが集まるのもびっくりした。集まった方々は、メディアの方、ライターの方、コンサルタント、電機メーカーの方、電子書籍や音声メディアのビジネスに関わっている方、モバイルのサービス提供者など。必ずしもガジェット好きの集いというわけではない。
「iPhone集合写真」で見かけた「ケータイ」との違い
とりあえず「日本で1カ所に、これだけのiPhoneが集まることはないだろう」ということで、テーブルの上に20台のiPhoneを並べて写真を撮ることにした。ここで日本のケータイにはない、iPhoneならではの問題が。iPhoneのデザイン性が優れていることは誰もが認めるところとなったが、同じモノが20台集まると、どれが自分のiPhoneだかすぐに分からなくなるのだ。それだけ皆さんキレイに使われている、ということでもある。
日本のケータイの場合、5キャリアごとにそれぞれ専用のモデルが用意され、3キャリアについては半年ですぐにモデルチェンジを迎える。同じ機種の中でも色違いが3色前後は用意され、機能やデザインと色を選ぶことが出来る。そのためなかなか同じ色の同じ端末を持ち合わせるということは少ない。同じ色の同じ端末を持っている人と出会ったときは、それだけで話が盛り上がった経験がある。しかし同じ色の同じ端末を持っていたとしても、ストラップまでは同じことはない。
つまり日本のケータイを机の上に20台並べたとしても、画面表示や着信音などを見聞きすることなく、自分のケータイをすぐに見つけ出すことが出来る。
一方目の前にある20台のiPhoneは現在1モデルで、PCのように背面にステッカーを貼っている人が1人いたけれど、前面はほぼ全てがディスプレイ。これを表にして並べたら誰のiPhoneだかすぐに分からなくなる。今後iPodのように黒と白の2色だったり、iPod nanoのように5色展開をしてくれることを期待したい、と思わされた瞬間だった。ひとまずこの場では、自分の顔を自分のiPhoneのカメラで撮影し、それを表示させることで、自分のiPhoneのIDとすることにした。
日本のケータイのようにインカメラが用意されることもなければ、アウトカメラの脇に鏡があるわけでもない。自分撮りを自分で行うことは難しいため、お互いに写真を撮り合い、机に並べる。この光景も微笑ましい。並べたはいいが、時々画面を触ってあげないとバックライトがフェイド・アウトしてしまう(もちろん店頭時間は変更できます)。こうしてできあがった写真がこちら。
ちなみに後で述べるとおり、日本でもWi−Fi環境下ではYouTubeを閲覧することもできる。各自が思い思いの映像を表示させて同じ事をしたら、どうなるだろう。残念ながらiPhoneでムービーを録画することが出来ないが、もし動画撮影の機能があれば写真ではなく、机に置かれたiPhoneから一斉に自分の自己紹介ビデオが流れていたらと考えると、ついにやにやとする場面があった。
Safariがネットに常につながっている安心感
さて記念撮影が終わってからiPhoneをつまみに話が始まった。まず多くの人が、しかも口を揃えて語ったのは、Safariに対する信頼感である。Wi-Fiの感度や公衆無線LANサービスに載りにくいという話もあったが、オフィス、自宅、その他のホットスポットに入ると日本でも、きちんとiPhoneはオンラインになる。そこでiPhoneの大きめな画面の中で、Safariがネイティブに動くのだ。
そして「Safariのナビゲーションが素晴らしい」というご意見もうかがうことが出来た。
これまでのケータイのフルブラウザやスマートフォンで搭載されているブラウザでは、ページが開けても、快適にページの中を移動したり、記事を読んだりすることがかなわなかった。全体を表示させると文字がつぶれて読みにくい。文字を拡大すると今度は全体が分からない。拡大・縮小が難しいから起きていた問題だ。Safariではタップやつまむといった動作を使うことで思い通りの表示に合わせることが出来る。ケータイとフルブラウザにまつわる問題を完全に解決していると言える。
僕はiPhoneの魅力の1つに「Web 2.0をまとったケータイである」という話を書いた。しかしiPhone Partyで実際に生活の中でiPhoneを使っている方々に話を伺うと、Web 2.0をまとう以前の問題として「常にSafariがネットにつながっている事への安心感がある」ということだった。今まで非常手段的だったモバイルのウェブブラウザが、実用域に達したと言っても過言ではない。ネットが空気や水のようなモノであるとすれば、それを受け取るコップみたいな存在がiPhoneなのだ。
日本でiPhoneが20台集まったiPhone Party。視界にiPhoneが入らない瞬間はないその場で、自分も触らせてもらいながら、既に数週間使い込んでいるiPhoneホルダーの方々にお話を伺うことが出来た機会だった。ちなみにパーティーがスタートしたときから気になっていた1台の新品iPhoneの箱。会の最後に、24人中4人のiPhoneを持っていない参加者の間で購入権をかけてジャンケンをしたのだが、ジャンケンの弱い僕はあえなく敗退…。
iPhoneに関する話題の続きを。
優秀なカメラ付きフォトビューワー
iPhoneのカメラ回りの機能はとても充実している。もちろん日本のケータイのようにオートフォーカス付き3.2メガピクセルのカメラユニットだとか、手ぶれ補正だとか、モバイルライトといったモノは搭載されていない、2メガピクセルのカメラではあるが、撮影して保存された写真の扱いはこれまでのケータイとは一線を画す。
Macを購入するとはじめから入っているアプリケーションにiPhotoという画像管理ソフトがある。デジタルカメラやメモリカードから写真やデジカメムービーを読み取り、保存しておくツールだ。iPhoneのカメラ機能は、簡単なデジタルカメラと画像管理ソフトが一体となった使い勝手を提供してくれる。
日本においてはカメラ付きが当たり前のケータイ事情、カメラと撮影画像の閲覧は当然こなすことが出来る機能だ。さらにはスタンプをつけたり、画像合成をしたり、音声をつけたり、iPhone以上に強力な画像編集の機能を備えている端末がほとんどである。写真を撮って多彩に楽しむこと、これは日本のケータイがいち早くカメラ付きとして普及したアドバンテージである。
しかしカメラ機能とデータフォルダの連動性や、(対応する機能が少ないものの)フォトアルバムから別の機能へ写真を送る際のわかりやすさはiPhoneが上。そしてなにより、大きな画面で見る写真の迫力と、目的の写真にたどり着くまでの、フォトアルバム上で写真をめくる閲覧動作が楽しい。見ることが楽しい有中名フォトビューワーなのだ。だからこそ、日本のユーザーなら、付属のカメラがもう少し高性能だったら、と望んでしまうところだ。
ちなみにiPhoneからFlickrへ写真を投稿する動作も「意外と知られていないけれど、簡単」と紹介してくれた方がいた。あらかじめFlickrへメールで投稿する設定をする必要があるが、写真を撮ったり表示したりして、メニューを出して「メールで送信」を選び、宛先にFlickrを入れるだけで済む。
当たり前の動作のようだが、カメラ機能から新規作成メールに写真が受け渡される際、写真が一度縮小されて黒い空間を通り、その下に新規メールの白紙が滑り込んできて写真が貼り付けられる、という動作を見せてくれる。送った写真に対する相手の反応は大切だ。しかしそれ以前に、写真を送るだけで自分がワクワクしてしまうとは。
iPhoneは“1カリオストロ”
iPodから派生したiPhoneだけに、メディア再生機能は欠かすことが出来ないポイントでもある。日本でケータイとして利用できないiPhoneについて、日本国内にいるユーザーは何をしているか? 1つはリッチな動画を楽しめるiPodとしての利用だった。つまりあの場にいた人たちは、日本国内にいる間は、iPhoneのiPod性を存分に楽しんでいるユーザーなのかもしれない。
ビデオに対応するiPodでは今までも映像を持ち運ぶ事が出来た。日米のAppleのウェブサイトからダウンロードできる豊富な映画予告編の数々やビデオPodcast、iTunes Storeで配信されるミュージックビデオを持ち歩くことが出来る。僕もiPodの中にせっせと映像をため込んでいるが、音楽を選ぶようにしてテレビの中のモノであったはずの映像を選べる感覚はとても気持ちが良い。ワンセグでテレビが見られるのとはちょっと違うのだが、それはまた別の機会に。
これまでのビデオに対応したiPodはビデオ対応以前のiPodと同じ、上半分に画面、下半分にクリックホイールというスタイル。2.5インチのディスプレイでも動画を持ち運ぶ楽しみは存分に味わえる。しかしiPhoneのディスプレイは3.5インチまで拡大された。端末の面全てで再生されるiPhoneでの動画視聴はとても迫力があった。iPhoneのYouTubeへの対応がリリース直前に出てきたが、「ネットにつながる画面」がYouTubeの動画を再生できない方が不自然だと思うくらいである。
動画を見られる時間は「1〜2カリオストロ」だという話だった。“カリオストロ”とは映画『ルパン三世 カリオストロの城』の事。この作品は約1時間40分だった。ということは、動画の連続視聴では2時間〜3時間半といったところだろうか。カタログ値の7時間にはなかなか届かないそうだ。YouTubeを視聴する時は当然Wi-FiをONにしていなければならないので、その分の視聴時間も短くなってしまう。
とはいえYouTubeの動画は10分以内と短いので、YouTubeビューワーとして遜色ない。少なくともこれまでのケータイの使い方の場合、隙間時間に楽しむため、そこまで連続再生をする必要はないのかも知れない。iTunesやiPodと同じように、前回再生を終了した部分からリスタートできるので、頭出しが面倒と言うこともない。え? 映画を途切れ途切れで見たくないって? それ以上に、iPhoneの画面で好きな映画を持ち歩くのはエキサイティングだと感じていますよ。
情報や音楽に指で直接触れる、初めての体験
iPhoneで再生できるのは当然ビデオだけでなく、音楽も再生できる。画面に表示されるボタンを押しながらオペレートする事が出来るのでクリックホイールはもういらないな、と思わされたのだが、曲目リストを上へ下へ送る動作もまた気持ちが良い。さらにiPhoneをヨコに倒すとアルバムのジャケットが並ぶCover Flow表示へ移行するが、指でなぞって自分のCDラックからCDを見つけ出すその動作が、手の平の端末の中で行われる。
前述したSafariやGoogle Maps、写真のナビゲーションもそうだ。引き延ばしたり指でつまんだりすることで、ウェブページや地図、撮影した写真が拡大・縮小される。Google Mapsの衛星写真でこの拡大縮小をし始めると、遊び終わるのにゆうに5分はかかってしまった。端末を傾ければ、写真の縦横が入れ替わって、最適な画角(画面いっぱいの表示)で写真を楽しむことが出来る。写真をなぞれば、ペラットめくることが出来る。
iPhone Partyにも参加されていた南さんはこう表現している。
「iPhoneで「Web に指で触る」機会が増えた、という事。Web との触れ合いはこれまで、PC ならマウス、携帯ならボタン、PDA ならスタイラスと、何らかのデバイスを介してのお付き合いだったが、iPhone により、「Web に直接触れる」とでも表現したくなる<略>様な、新しいネット体験が生まれたのである。
これは電話のことを抜きにすれば、iPhoneは中に入っている情報を表示させる部分が実に広く取られているデバイスなんだけれど、そこにタッチスクリーンのインターフェイスを組み合わせることによって、「情報に直接指で触れる」感覚を作り出している、という感想である。表示装置でありながら、中身を「触れる」カタチで可視化している。身の回りにある電子的な情報に触れる、それに類する感覚を得られる経験が、こんなに身近にあっただろうか。
少なくとも僕にとっては、このインターフェイスは初めての体験であった。これを触ってしまうと、普段のノートPCのスクリーンやタッチパッドなどでも、指を2本使ったり、指でピンとはねて画面上のものを動かしたくなってしまう。一度触ってしまうと、他で何故出来ないのだろう、と今まであまり不満に思わなかったコンピューティングについて考え始めてしまう、キーボードによる文字入力を除いては。
iPhoneは魅力を放っている。実際に触ってこれは革新するところだ。しかし現段階で日本にいる限りでは、まだまだ決定的に何かを変えるモノではないのかも知れない。手に入れるまでのコストやハードルが高いし、とにかく日本では使えない。しかしながら20台のiPhoneに触りながら時間を過ごすと、パーティーが終わる頃に会場は「これが完成系? まだまだ行けるでしょう?」という欲という名の期待感で満たされていたから不思議なものだ。
色々想像はふくらむ。
・Wi-FiやBluetoothを使ってiPhone同士がコミュニケートできたら
(セキュリティの関係で縛ってあるようですが)
・iChatとの間でテレビ電話(ビデオチャット)が可能になったら
・iPhoneのiPod機能がiTunes Storeへのアクセスに対応したら
・一眼レフカメラからiPhoneに写真を入れて閲覧したりメール送信できたら
・ビデオ撮影が出来たら
・iPhoneネイティブのSNSやBlogエディタが搭載されたら
このあたりにしておこうと思うけれど、いくつかの機能については、iPhoneで開発できるウェブベースのアプリによって実現できそうだ、というところもまたiPhoneらしさとしてこれから現れてくることは間違いない。とても興奮して家路に就いたわけだけれど、とにかく、未来のケータイの1つの方向性を考えていく上での、大変大きな参考になったパーティーだった。
TRACKBACK
このエントリーのトラックバックURL:
http://netnomad.org/mt-tb.cgi/8216











松 村 太 郎