Twitterの活用法について先週からちょっとずつ考えている。例えば先週は、毎日1つのテーマについて、1日かけて10個前後の投稿をしながら、そのテーマの答えに近づこうとする、という実験をしてみたり。あんまりうまくいったようには思えないけれど、習慣にすると何かありそうだ。以前からやっているトーキョーニュースはまさにTwitter的なBlogツール、メディアだという気づきもあった。今日はTwitterを大学の授業を採り入れようという実験である。
分散授業
実は6月19日、今年も例年通り、教室を閉鎖して授業を90分運営する「分散授業」の実験を行った。学生もスタッフもいつもの教室へは行かず、ネットがつながるどこかでその90分の時間を過ごすことになる。一昨年はBlogのTrackBack、昨年はMoblog、今年はSFCのキャンパスの授業・課題管理システム「SFC-SFS」を活用して、90分の時間の前半に課題を出して、学生間で提出された課題をシェアし、アイディアをブラッシュアップして再度課題を提出してもらう、というのが基本的なスタイルだった。
授業はまず、自分の地点を知らせるところからスタートする。
メディアセンター(図書館)、研究室から、他の空き教室から、といった、キャンパスのの別の場所から参加しているパターンが多い。他の授業がある学生は、キャンパスから離れられないので。それでも池の畔(Wi-Fi完備なので)だとか食堂だとか、授業を受ける場所ではないところからの参加も目立つ。
キャンパス街はさらに面白い。意外にいたのは自宅のトイレ。トイレで読書派なのか、でもさすがに90分トイレにいることもないと思うけれども。ベッドの上で寝っ転がって、リビングでテレビを見ながら(ちょうど渋谷の温泉施設爆発事故のニュースをやっていた)という人もいた。またWi-Fiがつながるカフェ、e-mobileで移動しながら、といった人もいて、割と授業スタイルも分散した格好だった。
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Comments
- [2007年7月 3日 21:29] もしもしお -
はじめまして.ついこの間からBlogを読ませていただいております.記事の内容があまりに自分の関心に近い,研究していることだったので,思わずコメントさせていただきました.
松村さんがご指摘の「フィードバック」や「シェア」の重要性には僕も全く同感で,コメントをシェアできるような同期型Webアプリを作って大学の授業で使ってみたことがあるのですが,こっちの方が学生にとっては気軽に発言でき.他人のコメントに対する興味も比較的高かったと分かりました.
要するに,授業中,みんな誰しもそれぞれ知っていること,考えていること,聞きたいことがきっとあるものの,それらを大勢の前で発言することに躊躇してしまう故に,その外化が抑制されているだけなのではと思うわけです.教える側にとっても,それを良しと思う人であれば,学生が何に興味があって,何を知りたいのかなどが明確になった方が教えやすいとも思います.
みんなで,そのとき考えていることをtwitter上に書き出していって,「あー,オレもそう思う」「ワタシもそれ聞きたかった」的なシェア感覚が生まれたら,授業の雰囲気が,また学生の態度や行動がどう変化するのか,とても興味があります.
最近だと,携帯を使ったり,タブレットPCを使って学生のdrawingを収集して授業で活用したりする例もあります.ただ,Twitterを使ったという試みはまだ見たことがありませんので,是非,この実験の結果をこの記事の続編でお聞かせ願えればと思います.
- education
- idea
- net
- photo
- URL:
http://upwest.org/mt/mt-tb.cgi/8130
フィードバックから気づかされる「シェア」の大切さ
授業を経験した学生からのフィードバックで気になったのが、授業という「場」と「時間」への興味だった。とある学生のコメントでは「いつもは教室にきて、場所と時間をシェアしているつもりだったけれど、実は頭はシェアできてなかったんじゃないか?」であったり、「場所のシェアだけで、自分は時々授業と違う時間を過ごしていたかもしれない」といった反応があった。
普段の授業は、毎週1つずつのテーマについて考えを書くという課題が出され、学生が提出した課題をピックアップして、書いた本人に発表してもらい、そこからディスカッションをする、というスタイルだ。この授業の形式で、座学に比べて教室内のインタラクションは多いものの、履修している300人近くの学生全員が議論に気軽に参加できる環境とも言えないし、発言していない時間、学生が聞いているかどうか、議論に参加しているかどうかも微妙かも知れない。
Twitterを授業で使ってみよう
ふと、最近気になっているTwitterを使えないか、と思ったのだ。マイクとスライドによる発表は、いつも通りのタイムラインとして90分の授業が進む。そこの上に、ネット上のTwitterという別のレイヤーをかぶせて、学生にもそこにジョインしてもらう。授業中に交わされている議論に文字で参加してもらい、その画面は授業のスクリーンに常時表示しておく。さて、どうなるだろうか。
まず授業の冒頭、Twitterのアカウントを作ってもらうところから始める。SFCの学生のことだ。出席している80%の学生はノートPCを開いていて、ちょっとしたガイドで使い始めることが出来る。今まで15人くらいだった僕のTwitterのコンタクトが、先週・今週のアナウンスで75人にまで増えた。テンポラリにでも良いので、と呼びかけていたので、使い続けるかどうかは分からないけれども。
レクチャーを5分くらいで終わらせて、いつものスタイルの授業がスタートする。授業内容はとにかくとして、Twitter関係の発言をピックアップしてみました。
いつもはオレンジばっかの画面が今日は水色だ
これを最初に読んだときはどういう意味だか分からなかったのだが、今考えてみればなるほど納得。これを書き込んだ人はきっと階段教室の後ろの方にいて、前に座っている人たちのPCの画面の色くらいは確認できるのだろう。オレンジ=mixi、水色=Twitter。普段授業中にPCを開いている人たちがみんなmixiを見ている、ということが分かった瞬間である。mixiもTwitterも教室内の人とのコミュニケーションに限らないツールだけれど、今日に限っては水色は、この教室内のインタラクション用だ。
Twitterじゃなくても良いんじゃない?
スタートして冒頭の意見。確かにチャットやメッセンジャー、掲示板といった既存のツールが既に普及しているので、これらでも全く同じ事が出来るはずだ。とはいえ、Twitterそのもののポテンシャルや興味を知りたかったので、あえてTwitterを使う実験にしてみた。実際、キャンパス内で最も普及しているテキストメッセージングはWindows Live Messengerだけれど、普段使っているツールに一時的にでも関係ない人を登録するのはいやかな、という配慮もまたあった。また、ミニBlog、つぶやきをシェアするというコンテクストも、授業の中に入れてみたいと思ったのだ。
ディスプレイの問題
Twitterは時間の流れををシェアしながらゆるく友人とつながるツール、という位置づけとされているが、それを場所というキーに切り替えて使ってみたわけだ。たぶん全員が全員お互いにコンタクトに登録していれば僕のアカウントにコンタクトを束ねて正面のスクリーンに出す必要もなかったんだと思うが、明示的にスクリーンに出すのもまた1つの珍しいシチュエーションとしてトライしてみたかった。とはいえ、先生、発言している学生、Twitterを表示しているスクリーン、自分のPCという4カ所に注意を注がなければならず、「どこを見て良いか分からない」という意見もあがった。対策として、大がかりではあるけれど、「先生と生徒の間に透明な画面を置けば同時に見られる?」というアイディアも出てきた。物理的な字幕スーパーですね。
先生が話しているのに学生の視線はPCに
学生からの書き込みで、授業は教団を中心に進行しているが、一方で学生はTwitterが表示されているスクリーンや書き込もうとして自分のPCをのぞき込む。確実に授業の本筋への集中力は他にそがれていくわけだ。「なんだか小檜山さんに失礼ではないですか・・?あまり良いカンジがしません」という意見も書き込まれた。今回の場合は、小檜山先生にも了承を取っているし、先生も授業の在り方の変革に積極的な立場でご理解いただけたが、いきなり全ての授業に導入しても、先生、学生ともに気分が悪いかも知れない。とはいえ、前にあったように、「普段はオレンジ色」なわけで、授業関連の水色に変わった点は、ある種の変化じゃないだろうか。
まさにニコニコ動画
これもとても良い示唆だった。授業中に目の前で進行する映像と音声に対してTwitterで字幕をつけていくような作業が今回のトライだった、と位置づけることは容易だ。それはニコニコ動画のコンテクストにピッタリだが、目の前で進行する物事に対する字幕付け、という点ではどちらかというとニュース速報の掲示板に近いのではないか、と思った。そうなると、結構職人技だったりするわけで、いきなりハードルの高いことだったのかも知れない、と思った。
意外に展開が早くて、発表内容に触れられない
ハードルの高さを感じたのは、授業そのものの展開。普段何気なく流して聞いていける授業も、流れに合わせて感想をTwitterに書き込んでいくという作業は意外と難しい。聞きながら、その話題に関して考えて、キーパンチをしなければならない。授業は流れていくので、そこに追いついていけないと書き込んでも意味がない。幸い140文字までしか書けない、というレギュレーションがあるので、長文と言うよりは1行ずつの書き込みが主になるが、それでも結構ハードなサ行になったのではないだろうか。
ホント、自動更新ないと面倒
これは僕もTwitterをスクリーンで見ている学生も、Twitterに書き込んでいる学生も思ったこと。Twitterは自分で書き込んだ内容はリロードなしに追加されるが、その間に入った他の人の発言はリロードするまで読み込まれない。そのため、Twitterの画面をしょっちゅうリロードしなければならず、これがちょっと面倒かつ見にくい表示となってしまった。Google TalkでTwitterに話しかけるウインドウを表示すれば自動的に更新されるが、全ての書き込みがフォローされるわけでもないようだ。他のツールを試してみたが、どうもフォントサイズが変えられなかったりして、結局ブラウザ表示。これはビューワーを作ってしまえばいい、という話もありますね。
ワイヤレスの音量、上げてもらえますか?
最後に、これは授業の内容とは関係ないんだけれど、教室の中の環境で、マイクの音量だとか、スクリーンの文字のサイズだとか、個別に要望を送ることができるようになっているのも今までになかった。文字が小さい、都何人かの学生から言われて文字サイズを大きくすると、見やすくなった、もう1つ大きくして、といったフィードバックが生まれる。この辺のコミュニケーションもまた、面白いな、と。
教室外からの参加
ばたばたしていてBlogで告知したりするのが遅くなってしまったんだけれども、普通に普段からTwitterでコミュニケーションをゆるく取っている人たちに、何が起きているかちゃんと伝わってなかった。ということで、こんなエントリーも。
・EUREKA: 大学の授業に潜り込んだ(結果的に) - まああんまりまずいことは言ってないと思うのですが、半ば乱入なので(Twitterならではとも言えますが)、授業に参加していた後輩曰く、面白かったそうです。後で怒られるかも。。。僕的には非常に面白かったのですけれども。
授業料を払っているかどうかとか、細かいところも調整する必要があるが、結果的に6月19日に実施した分散授業のスキームに乗れていたのかも知れない。もともと分散授業から生まれたアイディアだったので、ローカルにもネット越しにも授業のライブ感が伝わったという点には可能性を感じる。
Twitterファシリテーション
たぶん授業が芸的に変わるまでにはある程度の熟練が必要だ。これは授業を実施する側も、授業を受ける側も、パラレルで進むタイムラインの両方にきちんとコミットする、という芸当をマスターしなければならないわけだ。先生も書き込まれた内容に絡んでいく必要があるし、学生もキーボードじゃなくマイクでの発言もしていかなければならないだろう。
当日の感想はここまで。また後日再トライ、もしくは気づいたことがあったらフォローします。
TAROSITE.NETは1997年にスタートした松村太郎のウェブサイトです。コラムやニュースクリップなどの情報発信と、様々なコラボレーションの場として、10周年を迎えました。
松 村 太 郎
TARO MATSUMURA
UPPERWESTSTUDIO
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
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