今年はモーターショー・イヤーだ。ドイツ、フランクフルトのモーターショーが開催されていて、日本でも10月の終わりに、待ちに待った東京モーターショーがやってくる。フランクフルトのモーターショーを見ていて、驚いたことがある。それは燃費の表記方法だ。今まで日本では、1リッターあたり何km、例えば12.3km/Lという表記をしていた。ところがフランクフルトのモーターショーでは、100kmあたり何リッター、という表記になっていたのである。これは、カルチャーショックだ。
数字の見せ方の問題なんだけれど、今までは1リッターの燃料で走る距離を出していたので、数字が多ければ多いほどコストが安い、環境負荷も少ない、という概念だった。しかし今度は100km走るのに、消費する燃料の量を示すため、少なければ少ないだけ優れている、ということになる。確かに、今までの表記よりも、使う燃料の量を示す方が、環境に対する意識がしやすい。
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もちろん、排出する物質の量は見過ごされない。2009年からEUで導入される自動車・商用車の排出ガス基準であるEuro 5は、微粒子状物質、炭化水素および窒素酸化物(NOx)を規制するものだそうだ。自動車メーカー各社は、ディーゼルエンジンをブラッシュアップ、あるいは新開発することによって、この基準に適用する動きを見せている。
VolkswagenのBlueMotionはTDIが軸で、Golf Bluemotionでは77kW/250Nm、燃費は4.5L/100km(22.22km/L)だそうだ(紹介記事)。TDIはル・マン耐久レースでAudi R10が2006年、2007年の2年連続で優勝した実績が、スポーティーなディーゼルエンジンとしてのブランドを作り上げているが、小型車のディーゼルエンジンは、トルクがしっかりと稼いであって、ガソリンエンジンよりも燃費や扱いやすくて有利だ。
またMercedes-BenzはEuro-5のさらに先、2014年に導入されるEuro-6にも対応したBLUETECはディーゼルエンジンとハイブリッドによって実現される。主力のセダンE300 BLUETECは、155kW/211HPのV6で、最大トルクは540Nm。燃費は100km走行あたり7.3Lだそうだ(紹介記事)。BLUETECのブランドを関する以前の、現行のE320CDIを運転したことがある。もちろん回転数を楽しむ走り方はかなわないが、優雅に走る高級車のE Classである。540Nmというすさまじく太いトルクが、しなやかなドライブを実現していて、むしろイメージにピッタリと言いたいくらい。
LexusがLS 600hをリリースしたときに、日本の技術や問題意識をアピールできているんじゃないか、と褒める記事があったのだが、高級車だってスポーツカーだって、いかに5L/100km以下に近づけるか、という努力をしなきゃいけない。その点で考えれば、Lexusの対応は数字の上では足りないのだ。一方でAudi・VolkswagenのグループやBMWのように、スポーティーかつ環境負荷の少ないブランドを建てようという努力も見られる。
こうやって、自動車の走りというモノを楽しむ方向性が強いように思われた欧州のクルマが、環境と走る楽しみを両立させようと努力しているところは、とても興味深いアウトプットが期待できると思っている。今までの良いクルマ、と言う概念は変化してくることは免れないが、そこに楽しさを付け加えることを忘れていないというか。そういうところに魅力を感じている。
日本のコンパクトカーは、プリウスをはじめとして、ガソリンエンジンで燃費がよい傾向にあることは間違いない(ディーゼルエンジンに対するネガティブイメージが強いことだし)。しかし僕には、自動車という乗り物として面白いクルマ、魅力的なクルマになかなか出会わないのが残念なのだ。
燃費の表記が「km/L」から「L/100km」に変わった。10km/Lのクルマは、10L/100kmということになる。Lexusのハイブリッド車種は、8L/100km前後。欧州車が目指すは高級車であっても7L/100km台はざらで、目指すは5〜6L/100kmというあたりだろうか。プリウスは既に2.8L/100kmをたたき出して、快適な装備で「移動」が出来るから立派だと思う。けれども、出来ればそれにプラスした何かを求めたくなってしまう、クルマ好きなのである。
いや、もちろん、自転車の方が自動車よりも環境負荷ははるかに低いので、日常、自転車移動を心がけたいと思いますけれども。
TAROSITE.NETは1997年にスタートした松村太郎のウェブサイトです。コラムやニュースクリップなどの情報発信と、様々なコラボレーションの場として、10周年を迎えました。
松 村 太 郎
TARO MATSUMURA
UPPERWESTSTUDIO
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
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