2007.10.19 15:49 JST - COLUMN - REVIEW - netnomad.jp (apple CSR eco movie socialcapital syndicate)
『不都合な真実とApple』 - 投資と新しい関係資本
『不都合な真実』がノーベル平和賞を受賞したニュースから1週間がたった。ソーシャル・キャピタルの勉強会の後、NPO日本プロデュースの森田さんと追加のディスカッションをしている中で、この『不都合な真実』の話題になった。このドキュメンタリー映画とAppleの関係は、これまでの資本主義的な概念とは少し違いそうな気がする。
地球環境問題の中の地球温暖化の問題にしか触れていなくて、最近のNHKのドキュメンタリーの方が出来が良い、と素直に思えるほど内容は深いモノではない。しかしこれを広く紹介し、具体的な10のアクトを提示し、考えはじめるきっかけになったことは、評価すべきだし、ノーベル平和賞の受賞も納得がいく、というところである。
Al GoreさんがAppleの取締役であることをご存じだろうか? そしてGoreさんがノーベル平和賞を受賞したとき、Appleのウェブサイトはトップページで大々的にこれをたたえ、関連のニュースを自社のホットニュースのコーナーに紹介した。このあたりになにやらピンとくるモノがあったのだ。
あのドキュメンタリー自体をAppleが直接支援しているわけではないが、ドキュメンタリーの中で使われているノートPCは全てAppleのPowerBook G4であった。人的な関係性があるとはいえ、見事にプロダクト・プレイスメントを実現していたのである。Appleが得たブランディングとしての効果のはそれだけではない。
Goreさんを取締役として迎えていて、そのGoreさんが企業ブランディングに今最も引きの強いノーベル平和賞を受賞した。Goreさんの活動やあのドキュメンタリー制作にAppleが関わっていたかどうかは分からないが、少なくとも彼自身をサポートしていたことは間違いない。Appleがノーベル賞受賞を誉としてアピールすることも、不自然なことは1つもないのである。
AppleがGoreさんにどれだけ金銭的なサポートをしたか分からないが、もしそういう投資をしていたとしたら、その見返りが栄誉だった、というストーリーは、これまでの資本主義で行われてきた等価交換の世界とは違う動きにも見えてくる。
これは僕の解釈の問題で結果的にそういえるだけなのかもしれないが、AppleやSteve Jobsがこれまでとは違う投資の動きをしていたのだとしたら、やはり彼らのシャープさには脱帽である。また、地球環境問題などの社会的なジレンマを抱える問題に、企業がどのように対処するか、と言う事例を作った瞬間でもあったのかもしれない。
『不都合な真実』とAppleの動きを見るに、日本人として負けちゃいられない、と言う意識にもなってくる。そう簡単な話ではないが、あのドキュメンタリーを超えるような何らかを、日本で作ることは出来ないか? 八百万の神みたいな古くからの感覚を持っている日本人ならではのアイディア、アクト、アウトプットとは一体何か?
『不都合な真実』を再び見ながら考えることにしたいと思う。
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松 村 太 郎
TARO MATSUMURA
UPPERWESTSTUDIO
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
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