2007.11.06 16:33 JST - OUTPUT - REVIEW (biz hack sony vaio workstyle)
ボードPCが切り開く、ビジネスPC新時代 - Sony VAIO type L 15.4インチモデル
全てが浮遊感ある近未来デザイン
VAIO type Lは2006年に「ボードPC」というコンセプトで発売された、全く新しいタイプのコンピュータである。そのデザインは、一目で「近未来」を感じさせてくれるモノだ。最近では企業のブランディングとして、オフィス環境のデザインから作り込む事例も増えてきた。もし近未来がテーマのオフィスデザインを行う場合、VAIO type Lは見逃せないチョイスとなる。
本体はボードPCの名前の通り、1枚の板のようにコンパクトにまとまっている。PCだと認識させてくれる部分は液晶ディスプレイ。その回りを透明な板が取り囲み、ディスプレイを宙に浮かせることを実現している。 透明な板の周囲は金属質の銀色のフレームが取り囲む、高級感漂う雰囲気を楽しむことが出来る。
その姿はちょうどフォトフレームのようである。フォトフレームはそれそのものが主役ではなく、中に納めて飾られる写真を楽しむための立役者のような存在だ。このVAIO type Lも、ディスプレイに映し出されるメディアやコンテンツを楽しむための、主張しない手段として、不在建築のようなフィロソフィーが感じられる。

Power Indicator Lamp - Sony Vaio type L
ディスプレイだけが浮遊しているデザインは、細部にも採り入れられている。例えば電源ランプ、ハードディスクのアクセスランプといったインジケータ類は、何もない透明な部分が点灯するギミックになっていて、ついつい観察していたくなってしまう。
透明な縁の右側には「クリアタッチボタン」と言われる静電式のボタンが仕込まれており、ミュージックボタン、上下の矢印キー、OKボタン、音量調整や音楽再生のコントロールなどを、マウスに触れずにこなすことが出来る。ちなみに表からタッチするだけでなく、裏からのタッチにも反応する。僕は個人的に、この操作の方が使いやすかった。

Audio Buttons - Sony Vaio type L
VAIO type Lは15.4インチ、19インチ、22インチの3サイズがラインアップされている。このうち19インチと22インチはデスクトップだけでなく壁掛けにも対応しているが、15.4インチのモデルはデスク上のみの対応だ。しかし付属しているスタンドが非常に良くできている。
額縁の下の辺が机に接するが、背面から見ると、滑り止めの足が上手く隠れるように取り付けあれている。そしてそれこそフォトフレームのような足が中央から伸びる。この足の出来が非常によい。
多くのフォトフレームのようにふらふら動かないがっしりとした剛性感がある。しかし軽い力で筐体の角度を変えることが出来、使う状態に合わせて液晶を見やすい角度に調節することが可能だ。もっとも立てた角度で設置した場合の奥行きは13.5cm。同じディスプレイサイズを持つノートPCに比べても小さい。
ノートPCのメリットは持ち運べることだが、15.4インチのVAIO type Lには背面にハンドルが付いている。この点はまた後ほど触れることにする。
仕事のモードを切り替える、ライフハック的なキーボード
小さな接地面を実現している理由は、キーボードが折りたたみ式になっているからだ。ノートPCの場合、ディスプレイを折りたたんで持ち運べる形にするが、このボードPCは基本的にデスクの上に設置されるため、キーボード側をディスプレイに立てかけるようにして折りたたむ仕組みになっている。
キーボードはノートPCと同様、テンキーを省いたフルサイズのキーボードを備えている。キートップがわずかにせり出し、隙間のないようなデザインになっているため、爪の引っかかりも少ない。デスクトップでありながら浅いキータッチは好みが分かれるところだが、ノートPCに慣れているユーザーにとっては違和感のないモノだ。
キーボードから右手に目を移すと、タッチスライド式のマウスも、キーボードと同じボードの上に備えてある。ノートPCでは通常、キーボードのスペースキーの手前に配置されることが多いが、慣れてしまえば右手で操作をする限りは、キーボードでタイピング中に干渉することなくちょうど良い場所である。
またマウスを外付けしても良いが、余計にスペースが必要ない点も、スマートなデスク環境を実現するのに一役買ってくれる。
さて、キーボードとマウスがまとめられたインターフェイスのボードをディスプレイ側にぱたんと起こすと、前に述べた最小の設置面積になる。このコンパクトさは、デスクの上での実際の作業では、非常にメリットのあることだ。
例えば書類作成はパソコンで行い、それを紙で出力して校正やイラストのスケッチをする、といった作業パターンの場合、ノートPCを正面に持ってきて作業をしていたら、ノートPCをどかすか、閉じるかしてその上に紙を広げて作業をすることになる。しかしVAIO type Lの場合、キーボードをたたむだけでその作業スペースが生まれるのだ。
キーボードを閉じると手元のスペースが生まれると同時に、隠れていない画面の上半分で動作する「ハーフスキンモード」になる。普段のWindowsの画面は影を潜め、変わりに時計や音楽再生のタイトル表示を、アンビエントなアニメーションを背景にして表示されるのだ。音楽再生に関してはディスプレイの右側にある「クリアタッチボタン」から操作することが出来る。VAIOが大きなウォークマンのようになる瞬間である。
PCを使っていないときもいつも通りのPCの画面が出ていると、新着メールが気になったり、ウェブサイトのニュースにアクセスしたり、ついついしてしまうものだ。しかし完全にPCではない画面になり、キーボードとマウスが隠されることで、今手元にあるPCを使わない作業に集中することが出来るようになる。
PCとして使わない時間を演出するハーフスキンモードは、ビジネスの現場に目を移すと、効率的なスペースの使い方と、集中力を高めることもできそうだ。ハーフミラーモードの際に音楽再生を行う「SoundFLOW」は、気分や時間帯に合わせた選曲を自動的に行ってくれる技術で、仕事の雰囲気を作ってくれるし、タイマー再生などを組み合わせて使うと、ライフハック的な使い勝手が透けてくる。
バッテリを内蔵したから広がる使い方

Battery Powered - Sony Vaio type L
デスクトップの上で使うことが前提のVaio type L 15.4インチモデルのユニークな特徴として、バッテリを内蔵している点である。バッテリによる駆動時間は3時間で、モバイルノートPCのような長時間の利用に耐えうる本格的なモノではないが、このちょっとしたバッテリがPCそのもののモビリティを高めてくれる。
例えば家庭内を思い浮かべると、机で調べていた料理のレシピのウェブサイトを開いておいて、そのままキッチンに持って行けば、ネットのレシピを見ながら料理をすることが出来る。お風呂の湯船でYouTubeやDVDを見たい場合、さすがに防水ではないので風呂場には持ち込めないが、濡れないギリギリの所まで持ってくることは可能だ。
オフィス環境でも、今まで持ち出せなかったところでのPC利用をアシストしてくれる。例えばオフィスの会議室でスライドを見ながら打ち合わせする際、ノートPCよりも大きな画面を見ながらプレゼンテーションを行うことが出来る。またMotion Eyeを備えているため、Skypeを使ったビデオ会議にももってこいだ。
普段からオフィスでノートPCを利用しているユーザーからすると当たり前のことかも知れないが、 自分が使いやすいようにカスタマイズした環境というのは重要だ。一方でデスクトップPCの広い画面や大きなキーボードの使い勝手も捨てがたい。VAIO type Lは、ノートPCのモビリティとデスクトップPCの使いやすさを兼ね備えた存在なのである。
最近フリーアドレスの会社が個人デスクに戻した例、案件ごとに机の島を移動しながら仕事をするプロジェクト型のスタイルなど、オフィス環境でのワークスタイルの変化が多様に試され始めているトレンドがある。VAIO type Lは、オフィス内に関しては、どのようなスタイルにも対応しうる新しいPCのスタイルを打ち立てていると言える。
隅々まで行き渡るボードPC
ノートPCらしいモビリティ、デスクトップPCらしい使い勝手の良さ、そのどちらも持ち合わせていないデスク上のコンパクトさ、VAIO type LというボードPCは、全く新しい領域へ進化した。
また音楽、写真、映像、地上波デジタルテレビなどのエンターテインメントやメディアの扱いは、他のVAIOシリーズと同様、とても得意としていることは変わらない。今まであまりPCが入り込まなかったビジネスの現場、例えばカフェやヘアサロンなど、内装やデザインを気にするがリッチなメディア端末が欲しい、そんなスペースに初めてフィットするPCとなるだろう。
よりクリエイティブで効率的なワークスタイル、例えば移動オフィスやプロジェクト型のデスク配置などを新たに実現するためのツールにもなる。このPCとともに、新しいビジネスのスタイルを作ってみてはいかがだろうか?
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松 村 太 郎
TARO MATSUMURA
UPPERWESTSTUDIO
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
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