僕が何か文章を書く際、あるいは何かのアイディアをアウトプットにまとめる際、キーボードをたたく。Panasonicのワープロから使い始め、Windows、そしてMacと使うマシンは変遷していったが、キーボードは全てQWERTYキーボード。途中でケータイのテンキーで文字を打つようになったけれど、入力する文字量は圧倒的にこのキーボードが多いはずだ。
特にSFCではメールやリアルタイムのチャットなど、非常に長い時間、そしてスピードと正確性が求めら得るタイピングを強いられるデジタルキャンパス環境であったため、ほとんどの場合、考えたこと、考えた言葉と指先への入力が直結している状態で、キーボードを無心にたたくような、ちょっと端から見たら気味が悪いような状態で、文字入力をしていた。
そのある種の訓練の結果、人の話を聞きながら、それをまとめてリアルタイムに要約文章を作るという能力を身につけることができたと言っても過言ではない。プレゼンテーションやディスカッションに対してリアルタイムで字幕を付ける、と言った自分なりにこの能力を生かす方法を探しているけれど、別に生かされなくても良いような能力でもある。
そんな僕がこのソフトに飛びつかないわけがない。TypeTrace。自分のタイピングを記録して、それを再生することができるソフトウエアである。どういうスピードで文字を打ち、どこのタイミングで考えたり、文章を推敲したりしているか、ということが如実に記録され、再生することができるのだ。
いままさにこの文章を書いている様子を記録してみているのだが、まあ自分で見ていても気持ち悪いモノだ。指がどのように動いているか、そしてどのようにして文字が変換され、文章が組み立てられていくか。人並みに早いキータイプができるとは思っていたけれど、考えているタイミングを見ると、ほとんど先読みしながら指に情報が伝えられているような感覚であることに気づかされる。
これは端から見ていて、確かに気持ち悪いわけだ。
入力した様子を再生してみると、要するにルパン三世のタイトルを表示するタイプライターみたいな画面効果で、文字が次々に生み出されていく様子に立ち会うことができる。さらに面白いのは、その文字のフォントサイズを可変させながら表示してくれる「エフェクトモード」だ。まだどういうアルゴリズムなのか分からないけれど、強調されるテキストの箇所がなんとも自分に響いてきて面白い。
ちなみに、残念ながらこのソフトは僕のタイピングにはフィットしないこともわかった。僕のタイピングは、とりあえず読点区切りまで文章を打ち切って変換をすると言うスタイルで、ATOKのおかげで句読点が変換の合図になってくれる。ほとんどスペースキーを使って変換をしない。
この「エフェクトモード」のアルゴリズムでは、一文全体がどんどんサイズアップしてしまって、単語単位で強調されるわけではないのだ。
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松 村 太 郎
TARO MATSUMURA
UPPERWESTSTUDIO
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
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