トーキョーは桜の開花がなされたけれど、開花しているのは桜ばかりではない。道ばたに植えられているいろんな花々が一斉に花開き始める。それが嵐の雨の夜が明けた朝だったりすると、なんだか感動しちゃいますよね。ぱんぱんにふくらんで、いよいよ緑の堅いつぼみもこらえきれなくなってきて。いよいよ花開いて、誇らしげにその美しい色を見せてくれるはずだ。
表現欲求の話をするときに、僕はよくコップの中の水のたとえ話をする。
何かを誰かに伝えたい、そういう思いがコップの中にどんどんたまってきて、いよいよ表面張力が働くまでにふくらんできて。けれどもそこではなかなか実を結ばないと思っている。そこにあと1滴、表面にこぼれてコップの外壁を一筋の小さな滝がこぼれ始める瞬間、この瞬間まで煮詰めて煮詰めて、高まって高まって、やっと実を結ぶモノではないか、と思っている。
逆に言えば、いくら表現欲求がある、といっても、それだけのことを思い切り考えて考え抜いた結果でなければ、なかなか伝わらないモノだ、そういう感覚で何かヒトに物事を伝えるべきだ、と思っている。
もちろんやり方はいろいろあって、コップに注ぐ水を増やすと、すぐに溢れる。つまり、時間も気持ちも存分に注ぎ込んで打ち込む、ということだ。ただ、そういう激しい努力だけでないかもしれない。
もっと小さなコップを持てば、すぐに溢れる。あるいは、氷を入れておけば、注ぐ量は少なくなる一方で、中身をクールに保つことができるだろう。どうやって小さなコップを作るのか、氷を調達してくるのか、このあたりは自分で発見すべき、表現欲求を結実させるための手法の部分になるのだろう。
比喩の話ばかりになってしまったけれど、この花がちょっと見えそうなつぼみを見ていると、なんだか自分の事じゃないのにワクワクしてくるから、春って言う季節は好きだ。
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松 村 太 郎
TARO MATSUMURA
UPPERWESTSTUDIO
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
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