
先週はアサヒビールを訪問した「ムラサワ・レター」、週末のアップデートは食糧問題をテーマに制作しました。
日本の食糧自給率の低さは言われているとおりだが、イギリスは、1965年に3割強だった自給率を現在は70%以上まで回復しているそうだ。一方の日本はその全く逆の動きをして3割台に落ち込んでしまった現状がある。つまり自国ではなく海外からの輸入に頼っている日本の食卓は、海外で取引される食糧価格の影響を非常に受ける状態にある。
ここまではいわゆる食糧問題の前段なのだが、村沢さんはバイオエタノール問題の政策に対する問題点と批判的な議論を紹介している。
現在短期的にはサブプライムローンから投機マネーが原油と食糧市場へと向いているために、食糧価格の上昇を招いているが、長期トレンドとしても、発展途上国の食文化の変化とバイオエタノール推進によって、すぐに価格が下がることは見込めない、と指摘している。
思えば、2008年5月に155円以上になったレギュラーガソリンも、2008年6月1日からは170円以上に値上げされてしまったではないか。この上昇ペースが、食料品に対しても転嫁されていくことになると思うと、ちょっとぞっとしてこないだろうか?
「自動車を走らせるか、食べるか?」とは、村沢さんが紹介していたカタールの石油相の言葉。バイオエタノールは人間が食べる、もしくは人間が食べるために育てている家畜のエサになっているトウモロコシなどを原料として使うため、そのような言葉が出てきた。
アメリカとブラジルがもっともバイオエタノールに熱心で、小泉元首相も今年になって宮古島でバイオエタノールのアピールをしている。アメリカとしてはアラブ諸国に頼らない代替燃料を開発することが急務であるとの認識だったが、チョイスした代替燃料が悪かったように思える。
もちろん既存の自動車産業との親和性を考えれば、バイオエタノール燃料の方が有利ではあるが、生成過程のエネルギー消費から考えるエネルギー効率の問題、そしてCO2排出ゼロを目指すときにバイオエタノールに対する代替燃料が必要になることがわかっている現実を考えると、やはり良いチョイスとは言えないと僕も思う。
なにより、ヒトとクルマが食糧を奪い合う時代になっていることへのショックを隠しきれない点もまた、暗い影を落としている気がする。
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松 村 太 郎
TARO MATSUMURA
UPPERWESTSTUDIO
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)
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