COLUMN

ソラマド x SOLiVE24 - Weathernews's UGC, Timeline, Grid, and 24h TV

by TARO MATSUMURA - 2009.04.23 13:21

 ウェザーニューズがデスクトップアプリに進出した。ソラマドというAdobe AIRを使った文字通り空のリアルタイム写真を表示するアプリと、そこで放送される24時間生放送のテレビ番組SOLiVE24の組み合わせだ。

 ウェザーニューズはこれまで、カメラ付きケータイを使って、会員から身の回りの気象状況や感想を集める仕組みを作り上げてきた。ゲリラ雷雨や10分天気予報などの先進的な情報提供は、気象庁からのデータだけでなく、UGCが不可欠だった。これをモバイルからデスクトップに適用しよう、というのが今回の取り組みである。

 AIRを活用したアプリケーションの機能は、7つの窓に割り当てられる地方から届く会員からのウェザーリポートを写真とコメントで見られる。季節によって夕日の時刻が違う日本列島は、夕刻にソラマドを眺めていると、だんだん夕日の映像が移り変わっていく様子が分かる。桜の咲き具合も分かる。「美しい日本の四季を感じられれば」とウェザーニューズ取締役の石橋知博氏は語る。

 また各地方と生放送番組にはチャットルームが流れていて、Twitterのように、天気を話題にリアルタイムコミュニケーションを展開できるようにしている。ウェザーニューズの森下良治氏によると「昨今のリアルタイム系のコミュニケーションの動きも見ている。自治体などでもそうだが、普段のコミュニケーションが何かあったときに生かせるようにしておきたい」と語る。

 『いつもの天気を、もしもの天気に』という森下氏のキーワードは印象的だった。

 このチャットは、24時間放送「SOLiVE24」の番組とも連動する。この24時間番組を演出するのが、フジテレビジョン情報制作局情報企画部 福原伸治氏。番組のキーワードは「参加型メディア」「共感型メディア」「トランスメディア」「24時間ライブメディア」の4つ。特に参加型・共感型で24時間ライブメディアというのはなかなか例がないのではないか、と指摘する。

「天気にまつわる緊急時に、トランスメディア、放送や通信のチャットなどをまたいで特番対応が出来る点で、威力を発揮することが出来るのではないか。テレビ的な発想をせず、テレビをグレードダウンするものにはしない、トランスメディアに即したコンテンツとは何か、徹底的に考えた。とはいっても、テレビの美術や技術や演出、生放送といったテレビ的なクオリティの高いモノを入れていく」(福原氏)

 プロダクションとしてのテレビ局の可能性を模索する点にも触れた。プロダクションとしてテレビ局が映像コンテンツを作っていく、そのときに、ローコストでミニマムな制作に挑戦するそうだ。

 また森下氏は、フジテレビの本放送ですぐに連動することはないとしながらも、「放送側、通信側のサービスをどう組み合わせて新しいメディア作りをするか。この点を一緒に作っていければと思っている」と言う。参加型、共感型、トランスメディアと言った、今後のメディアの主流となる形を探す取り組みとして「プロトタイプになるのではないか」(福原氏)と期待を寄せている。

 そしてもう1つ。ウェザーニューズは人をグリッドとして情報作りをやってきたが、コンピューターもグリッドでまとめる取り組みもスタートする。このAIRアプリケーションは、グリッドコンピューティングを実現する「Climatic Simulator」と名付けられた仕組みが組み込まれている。

「社内で元々、グリッドを使ってきました。気象に関する数値予報モデルを細かい部分の計算に分解した上で、個々のパソコンで実施する仕組みになっています」とウェザーニューズの西祐一郎氏は説明する。

 10年後の桜の開花予報はどうなるか、といった規模の大きな気候変動から予測していくとしている。ウェザーニューズの坂田真一氏は次のように期待を寄せる。

「しばらくグリッド・コンピューティングという言葉が聞かれなくなっていましたが、せっかくアプリケーションをデスクトップに入れるので、そのパワーをお借りしてはどうか、という取り組みです。元は直近の天気に関する分析をするまでには至らないが、将来的には気象モデルをグリッドで回す、と言うところまでいければと思っています。あるいは、ゲリラ雷雨のような局地的な天気を、そのエリアの人たちが計算する、という事も出来るかもしれない」(坂田氏)

 気象の数値モデルの計算の地消地産?自給自足?というモデルが成り立つかもしれない。

 天気は人が気にする、気にしないに関わらず、タイムラインを流れ続けている。その中で気象現象が起きていて、晴れて美しい青空が見られたり、夕日を見せてくれたり、雨が降ったり台風が起きたりすることで、人との関わりが生まれる。

 常に動き続けているモノを、「次の人のために」人が手脇して見張る、と言う点をウェザーニューズは作ってきた。

「今までの気象予測は、科学的な観測から作る数値モデルから入ってくるが、昨年のゲリラ雷雨はその場所にいる人たちが危ない、と思うことから写真や観察から始まって、80%の予測精度を出すことが出来た(ゲリラ雷雨防衛隊)。メディアの発展で、新しいやり方が出てきた」(石橋氏)

 人間の観測というアナログなモノを、いかにデジタルに直してフィードバックするか。その方法の中に、人間の体幹が含まれている点が、やっぱりどうしても面白いところだ。今までケータイで作られ消費されてきた情報にPCも加わってきた。

 気象学の面でもコミュニケーションのカルチャーの面でも、ますます目が離せないメディアになってきた。

このエントリーを含むはてなブックマーク twitterでつぶやく deliciousにブックマーク

Twitter Update
    follow me on Twitter
    Trackback
    • URL:
      http://upwest.org/mt/mt-tb.cgi/9865