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EVタクシーに乗ってみた(六本木ヒルズ→渋谷)
by TARO MATSUMURA - 2010.05.26 02:37

月曜日に六本木ヒルズから渋谷までどうしても急いでいてタクシーに乗ろうとしたら、見慣れない白と青のカラーリングの小型SUV型タクシーを発見したので、それに乗ってみた。なんと、日産デュアリスをEV化したタクシーが試験的に配備されて実験をしているそうだ。
この実験は、経済産業省、ベタープレイス・ジャパン、日本交通が行っている実験(実験の紹介サイト)。ベタープレイスは2008年1月に、イスラエルとルノー日産との三者の提携を交わして電気自動車インフラ構築のモデルを作り上げたが、EVタクシーのプロジェクトは東京が選ばれている。
さて、このEVデュアリスは、車体の底面にバッテリーを積んでいる。戦闘機のミサイル搭載技術を使って、確実に装着され、交換可能化していると言うから驚きだ。そしてだいたいフル充電のバッテリーで80km程度走行することができ、残量が少なくなると虎ノ門にある交換ステーションでフル充電されたモノと交換するという。
六本木から渋谷までの間、日本交通の運転手さんにずっと説明を聞いていた。とにかく詳しい方で、クルマの性能面やタクシーとしての実用性について教えてくれた。
まずクルマとしての乗り心地だが、本当に静かだ。路面のショックを拾って不快な振動があるのはベースのクルマの性能だろう。加速、減速も振動はなく、モーターのいけ好かない音がする以外はタクシーとしては申し分がない。運転手さんによると、プリウスより加速は劣るが、フロントが軽いため回頭性は高く、実用性としては全く問題ないとのこと。ただ、坂道発進だけは弱々しくつらい、と付け加えていた。
次にタクシーの戦力としての指摘だが、タクシードライバーは1日に300〜350kmほど走行するという。しかしこのEVタクシーは80kmしか走れないため、40km走ったら虎ノ門までの帰り道を意識しなければならない。もしフルに走ろうとしたら1日に4回以上はバッテリー交換をしなければならず、しかも常に虎ノ門周辺で営業しなければならなくなってしまう。
もちろん実験なので、今後バッテリー交換のステーションが増えれば問題ないのだが、かなり計画的な運行を意識しなければ、効率的な営業運転ができない点は、問題だ。もちろん今後の技術の向上で航続距離が伸びていけば良いわけだ。

今回のベタープレイスのEVタクシーは3台都内で稼働しているが、バッテリー残量や車両の状況、トラブルなどはiPhoneを通じて集中管理されている。タクシーのダッシュボードには1台のiPhoneが取り付けられており、自車と他の2台のEVタクシーの電池残量や状況が表示されている。トラブルはセンターでモニターしており、走行中に気づかないことも含めて、何か問題があれば知らせてくれる仕組み。なかなかユニークだ。
さて最後に運転手さんに実際のところ、どうですかね?という漠然とした質問をしてみた。
「確かにまだまだ発展途上の技術で、しかもインフラが必要なのですぐに普及するモノではないし、やはり航続距離が短い点で、商用車も家庭用のクルマとしても使い勝手が悪い点は否めません。しかし、クルマから個別にCO2を出さないという点では、確実に環境問題に貢献するクルマであることは間違いありません。
トレンドオフした技術が普及した国では、新しい技術への移行が遅く、世界の流れに取り残されることがあります。日本もハイブリッドが普及しつつある国なので、電気自動車への取り組みは遅れが目立つようになると思います。今回の取り組みが少しでも、助けになれば、と思うのですが」
トヨタのテスラとの提携の話にも「そうきたか、と思わされました」と盛り上がったし、電気自動車を運転している運転手さんと、電気自動車に乗りながら、電気自動車について話し考える、とても充実した時間だった。興味がある方は、六本木ヒルズ・森タワーB1Fのタクシー乗り場で、EVタクシーを探してみてください。
Author
松村太郎 Taro Matsumura
ジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ビジネスブレイクスルー大学講師。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。近著に『タブレット革命』『スマートフォン新時代』など。 read more & contact
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