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Pocket Bell - 静かなる終焉

by TARO MATSUMURA - 2005.04.27 12:33

 DoCoMoのポケットベルサービス「クイックキャスト」が、2007年3月31日で終了することが発表された。実は1967年7月からサービスがスタートしているとのことで、1996年6月には649万件あまりに達していたという。現在は29万件まで落ち込んでいる。終了の理由は言うまでもなく、ポケベル→PHS・ケータイといった他のモバイルメディアの登場と普及。

 ポケベルそのものにそこまでの思い入れはないけれど、DoCoMoがPHSをやめるのとは少し違う印象を受けた。DoCoMoがPHSをやめてもWILLCOMがその方式を進化させてサービスが続いていくからだろうか。

・CNET Japan: NTTドコモ、ポケベルサービスを終了


 昨日SFCケータイラボのミーティングで議論に上がってきた内容に、「ちょうど僕の世代周辺、1978〜1980年生まれの人たちは、ポケットベル、PHS、ケータイといったモバイルメディアの勢力が拮抗していて、ある程度自由に選択できるという中学・高校生活を送っていた」というものがあった。

 つまり料金的なモノもPHSが少し安かったかな、と言う感覚はあるモノの、ある程度同じくらいであったし、周りの友人に何が多く普及しているかで、同じ学校の中の同じクラスの中であっても、通信メディアのスタンダードが違う、と言うマーブル模様を呈していたというのだ。

 僕はポケベルそのものを契約したことはなかったけれど、中学の頃から友達のポケベルに、東急東横線渋谷駅の中央改札の前の公衆電話、ベル打ち公衆電話のメッカみたいな場所ですね、ここからメッセージを入れたりしていたモノだった。

 NTTパーソナルのPHSを持つようになってからは、ポケットベル・DDIポケットやアステルのPHSに向けてショートメッセージを送るようになっていたが、端末側で送りやすいような配慮がなされていたのでNTTパーソナルのPHSの友人によくメッセージを送るようになった。

 メッセージセンターに電話をかけて、そこでリングトーン(プッシュ音)を使って文字を打ち込んでいく。「*2*2」からスタートして、「3263048114224452129385889513」と打ち込めば、相手には「シブヤエキニイルヨ タロウ」と伝わるわけだ。

 e-mailベースでシステムが相互互換性を保ってくれる現在とは違い、メッセージセンターに繋いで文字を打つというシステムへの慣れによって、お互いのコミュニケーションの相互互換性を保つようにする。だからこそ、ちょっとでも送りやすい仕組みがキャリア内で確立されれば、キャリアが友人を規定するようになるし、仲の良い友人間でキャリアを揃えようとするわけだ。

 さて今気付いたことだが、上の文「シブヤエキニイルヨ タロウ」をパソコンのキーボードから数字で打ち込んだのだが、全く頭が働かなくてものすごい時間がかかってしまった。試しにケータイのダイアルボタンでやってみたら、10秒足らずで入力が終わってしまうのに、デバイスの違いで頭が「数字→カナの変換モード」にならないわけだ。

 逆に言えば、よくもまあダイアルボタンから50音と数字とアルファベットを入力する生活を送ってきたものだ、と今さら驚かされる。この50音→数字の翻訳脳みそを育てたのがポケベルだったわけだ。多分今の中高生はベル打ちではなく普通の50音の入力方式が板に付いているだろうし、絵文字を使った表現なんかもあるのだろう。

 そういうコミュニケーション手段によって世代や世相を斬ることが出来るようになったきっかけの存在が僕にとってのポケットベルであった。それが終わってしまうと言うニュースは、敢えてポケベルを選ばずにPHSから入り、数ヶ月でケータイに乗り換えて8年もDoCoMoを使っている自分を振り返ることになった。

 CNETで新たにケータイのコラムを始めることになるが、そういうモバイルコミュニケーションのスタンダードが形成される時期に、そのせめぎ合いの中で振る舞ってきたという自分の世代を振り返りながら、現在・これからのケータイ世代を俯瞰して行ければと思った。

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