COLUMN

Glocom Forum - ネットユーザーの思惑

by TARO MATSUMURA - 2005.08.24 11:15

 Glocom Forumの「情報社会と合意形成」のセッションより。マスメディアではなく、今度はネットジャーナリストとネットユーザーの思惑について。ちょうど自分、自分たちのことを考える機会として聞いていたし、自分が今後どんな振る舞いをしていくことになるのかを占う事にも繋がる議論だったので、僕としては面白く聴かせてもらった。

・tarosite.net: Glocom Forum - 情報社会と合意形成セッションログ


ネットジャーナリストの楽観論・現実・悲観論

 ネットジャーナリストの思惑は3つのポジションが複雑に存在していると鈴木さんが解説する。

 まず楽観論としては、ブログは草の根メディアで民主主義の担い手がネット言論を通じて生まれるというもの。これは僕の中では、アメリカでもこういった機運が高まって一旦は挫折に追いやられるという経緯があったと考えている。しかし色々方法やプレイヤーがかわりながら、アメリカではこの楽観論のシナリオも表面上は実現しそうになっている。

 現実論は、例えばブログをジャーナリズムと捉えるならば、続けていくだけのインセンティブがいかに書き手に渡っていくか、書き手に何の得があるのか、と言う課題の解決が求められる。メディアが個人の手に移るというシフトは起こり個人の立場というものがネット上で成立してくるし、情報に対して個人が自由にコメントをしたり編集を加えるようになる。しかしこれがマスメディアが握る報道軒に対して、どれだけの力を発揮するのかが不透明だ。

 そして悲観論としては、ネットジャーナリストと言うが、実際はマスメディアのリソースを使って論説委員ごっこをしているだけではないか、という否定的な見方。ネットジャーナリストがどれだけの一次情報を作り出すことに取り組んでいるのかという問題だ。情報の伝搬に色づけしていくだけではネット固有のジャーナリストと言うには足りないという意見には僕も賛成である。

 メッセンジャーとスカイプで会場の議論に参加していたR30さんは「自分は趣味としてのジャーナリズムを実践している」とコメントした。つまりマスメディアのかわりになるような存在を目指すのではなく、ジャーナリストという趣味を実現する手段が生まれているという指摘である。確かにこれはインターネットの最も基本的な部分、個人だとしても情報を発信することが出来るという点がさらに身近なものになっている1つの例だ。

ネットユーザーの思惑

 さてインターネットを利用する人の思惑の議論。現象としては、利用者の増大でによって繰り返される光景があると鈴木氏が指摘する。「パソコン通信やインターネットが使えるようになった初期に見られたマナーの指摘やフレーミングが、はてなやmixiで起きている。はてなでリファーを返す礼儀、mixiで足跡を踏み返す挨拶、マーキングのような儀礼的trackbackなど、これまでの常識が通じなくなっている」(鈴木氏)。

 僕が思うに、確かにtrackbackは、自分向けのリンクがないのにtrackbackが送られてきて、意味を解釈するのに困惑することが多々ある。僕が送るtrackbackと、今現在多く流通するtrackbackの前提や意味が違うからだ。ただtrackbackに関しては、ここで新旧ユーザーのマナー対決をしても仕方ないと思うので、システム側やユーザーの運用側に多様性を持たせながら、まだ完全に決まっているわけではないtrackbackの使い方を模索するプロセスでも良いと思っている。

 まだまだ混沌としている状況である、と言う解釈は別として、それが許されないシチュエーションにもなりつつある。ここ最近、ミュージカルバトンやラブバトンといった、テーマ性を持った不幸の手紙が流通するようになった。書くネタが枯渇しがちなブログユーザーに取って、格好のテーマである一方で、ブログで取り沙汰されるようになったのが、そこに書かれている内容ではなくて、どれだけつながりを持っているか、という問題になってきているように思われる。

 つまり、ネットジャーナリストの思惑とネットユーザーの思惑とでポジションを分けて議論された理由として、ネットジャーナリストは内容を重視するが、ネットユーザーはつながりを寄り重視するようになっているからだとまとめることができる。つまり「大多数のブログからジャーナリズムの文脈が失われていることを意味する」(鈴木氏)ということだ。

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