COLUMN
Mobile Twitter Hacks 〜ヒトコトで変わる場・学び・ジャーナリズム〜
by TARO MATSUMURA - 2009.07.03 15:18
先週の金曜日、6月26日に五反田で開催された、「KNN presents Twitter Night 2 - Twitterビジネスの可能性とTwitter端末としてのiPhone 3GSの魅力!」で、「Mobile Twitter Hacks 〜ヒトコトで変わる場・学び・ジャーナリズム〜」というタイトルの講演をしてきました。
まとめる時間がなかったことと、ちょっと自分の中で寝かせたかったこと、当日本田直之さんの講演の後のタクシーの中でまとめたスライドは公開しても何が何だか、と言う状態だったので、1枚に作り直しての公開となりました。ということで、トピックを少しまとめていきたいと思います。
R25
枕の話は、このイベントの前日の木曜日に、東京の待ちの中でR25を探した時のストーリーだった。
その週の号には小西康陽さんのロングインタビューが掲載されているというので、読みたかった。僕は普段R25に記事は書くけれど、なかなかピックするチャンスがなかった。行動範囲にラックがないか、目に入るときには空になっていたことが多かったのだ。
本当に分からなかったので、Twitterで西新橋→飯田橋→日比谷→三田のルートでR25をゲットできる場所ってどこだろう、と問いかけてみた。すると、「ウェブで読めますよ!」(そうだったのか!)「ニューヨーカーズカフェにあります!」「日比谷駅の三田線と日比谷線の間の通路にラックがあります」という情報が集まってきた。めでたく、R25をゲットし、三田の帰りの浅草線で読むことが出来た。
この情報が集まってくるまで、タイムラインで約15分。日比谷駅を通過するまでには2時間ほど合ったため、日比谷駅の乗り換えの際にピックする、と言う行動を十分に組み込める段階で、地域情報を得ることが出来たのだ。
5min. Made / UGC Eco System / ReTweet
MacFanの取材でJoiさんにインタビューしたときに、彼も似たようなことを言っていた。
「自分のTwitterのネットワークは(当時)9000人を超えた当たりだが、これがメーリングリストだとどうなるだろう。良いプロジェクト管理ソフトはないか?と聞きたいとき、有用な情報の200通以外は、知らない、という返事が来る。しかも、すぐにくるメールもあれば、1日後、1週間後、1ヶ月後に渡ってばらばらとメールが帰ってくる。Twitterは5分で有用な返事が集まる。5分で来なければ、1時間後も、1日後も返事は来ないのだ」(伊藤穣一氏)
つまり情報収集や情報共有、コミュニケーションの手段としてTwitterをとらえたとき、メールやブログのような反応が返って着うる時間的な広がりに比べて、Twitterは非常に短い時間しか情報が生きていないことになる。
そこでJoiさんは、もし掘り下げたいTwitterでの議論をBlogにポストすることを薦めている。5分しか生息していないがそこにめがけて集まってきた情報をBlogにまとめることによって、tarckbackやコメントを含めたBlogなりのコミュニケーション手段と検索エンジンによって、その議論を展開していくことが出来る。
ある意味、TwittersphereからBlogosphereへと、情報を受け渡していく。もしそのBlog上の議論が活発化すれば、再びTwitterに戻ってくるかもしれない。こうして、UGCのエコシステムを、時間的な特性を生かして構築していくことが出来るようになってきた。Twitter APIを活用する各種サービスによって、あまり意識せずにsphere転換も出来るようになっているのが現状だろう。
ReTweet / Twitterはストリートライブ by 小川浩さん
気になったのは、Joiさんに9000人のフォロワーがいるという部分。僕も含めて、そんなに沢山のフォロワーはいないし、そんなに沢山フォローしてもいない。こういう人は情報収集や共有の手段としてうまく働かないのではないか? そんな質問に対して、Joiさんは「ReTweet」を活用すればいい、と説明する。
良い発言や良い疑問、質問はReTweetされて広がっていく。その議論を追いかけていくことによって、自分のネットワーク以上の情報を得ていくことが可能になると言う。事実、昨日のSTUDIO VOICE休刊の話題も、ReTweetが繰り返されて広がり、Twitterのタイムライン上で話題になり、関係者への事実確認がタイムラインへ報告されるまでになった。最初につぶやいた人が果たして、9000人のネットワークを持っていたか?
そんな現象を、モディファイの小川浩さんは「Twitterはストリートライブ」と表現する。mixiをカラオケボックスに例えて、曲を選びながら適当に拍手をくれる心地よい空間か、Twitterのように発言が良ければ振り向いてもらえてが可能性も広がるストリートライブか。もちろんカラオケも楽しいし好きだけれど、そろそろストリートライブをやってもいいんじゃないか、と言うわけだ。
ReTweetを言い当てている面白い表現だと思う。別に毎日ストリートライブを展開するほど気合いを入れなくてもいいとは思うけれど、ふとした瞬間に、「ヒトコト」に力を込めることを意識してもいいのではないか、と思う。
7 reply, 7 days
このBlogでもお知らせしたけれど、NOBI-TARO PODCASTと津田さんのイベントを6月17日に開催した。
このイベントには当初35人というキャパだったが、会場の融通も頂いて、50人近くの方にご来場頂いた。このイベントのきっかけは、ちょうど1週間前に、こういうイベントをやったら面白そう!というつぶやきに、7人ほどの方から「面白そう!」という賛同を頂いて、1週間で企画・実施にまでこぎ着けたイベントだった。
7日間でイベントが出来るのはTwitterだから、と言うわけでもないとは思うけれど、やろうと思い立った人のモチベーションに瞬間的に着火してくれる装置として、Twitterは今までになかったメディアなんじゃないか、と思う。それこそ先ほど触れた、5分間のリプライで、自分の考えに賛同してくれる人がいること自体がうれしいし、じゃあやろう、と背中をすぐに押してくれて、行動が起きる。
確かにTwitterはフォローする、されるという緩い関係性の上で日常的なコミュニケーションをスルーしながら取り合う、と言う微妙なメディアなんだけれど、スルーが前提だからこそリプライが集まったときのパワーの感じ方があるのかもしれない、とぼそぼそ考察してみました。
これは、ノマドの話で「アイディアを遊牧させる」と言う話をずっと考えてきているけれど、まさに自分で考えた瞬間にTwitterに話してみて、そのアイディアがかわいがられたり、批判されたり、提案付きで帰ってきたりする様子がTwitterのコミュニケーションには存在しているように思える。
より行動に近いメディアとしてTwitterを見直した瞬間である。
8:160
続いて、Twitterを活用した授業のと中継かというか、散文的な気づきについて触れた。Twitterを学生全員に使ってもらうことのハードルの高さ、コミュニケーションと授業をマージするトライ・アンド・エラーなど、様々な不透明なことが沢山存在しているけれど1つ明確になってきた話がある。それが、8:160という話だ。
僕の授業は約130人ほどが履修していて、毎回Twitterで課題を出してもらう。その課題は、Twiccoを通じて、授業を履修している学生のタイムラインにも流れる。そして授業中には2〜3つの質問をTwitter上で答えてもらって、教室の中でそれぞれが持っている意見をレビューしていく。そんな流れで毎回の授業が進む。
90分間の授業でもし時間をフルに使って学生に発言してもらおうとすると、どう頑張っても8人が限界じゃないかと思う。授業のヘッダーとフッターは今日のテーマとちょっとした前提知識を前置きにして、最後はまとめと次週の予定、課題の発表が必要。どう考えても合計で20分くらいは欲しい。
残りの70分間を学生とのインタラクションに充てて、それぞれにしっかりと意見を述べてもらい、それに対して担当教員や学生間で質問をしたりすると、あっという間に5分〜10分はたってしまう。闇雲にみんなに話を聞けばいいか、と言うわけでもないので、関連する意見や反対意見をピックアップして話をつないでいくと、やっぱり8人出来ればいい方じゃないか、と思う。もっとうまい先生はいらっしゃると思うけれども。
一方、Twitterの授業では、教室という場にまず最初の課題が出されていて、授業の途中の質問を2回すると、合計で約160個の学生の意見が場に出されることになる。もちろん全員が課題を出しているワケじゃないし、ぱっと質問を投げたときに全員が答えられるわけでもない。それでも、約20倍の学生の意見が教室に出され、学生同士が目にすることになるのだ。
沢山の意見が出てくればそれでいいか、と言うわけではないけれど、ネットやメディアみたいに今現在の事象を扱うときには、用意してきたコンテンツと、学生たちの日常生活をリミックスしながら考えていく授業構成が実現できた方が、しっくりくるように感じている。
「Twitterはファシリテーション」 by 津田大介さん
6月17日のイベントの後の飲み会で、津田さんと少し話をしたんだけれど「ライブ中継は修行だ」という貴重な言葉が印象的だった。それと同時に、テキストによる場や議論のファシリテーションになるのではないか、という指摘も、1つの気づきだった。
たぶんTwitterを使った授業に関しても、みんなにつぶやいてもらい、それをライブに編集しながら授業進行するというファシリテーションの世界なんじゃないか、と思い始めた。いやまさしく修行が必要な領域ではあるんだけれども。先ほどの授業の話も同様で、Twitterで集まってくる20倍もの学生の意見をいかにファシリテートできるか、という修行が必要と言うことだ。
これが出来るようになると、議論はリアルな教室の上に置かれたレイヤードのネットコミュニケーションをベースに行われるようになり、そこに流れる情報を参照しながら場を薦めることが出来るようになる(この時点ですでにハードル高い)。そして、教室という場がリアルに媒介しなくても、授業が出来るようにならないか、というアイディアへ行く。
おそらくリアルな場でのファシリテーションがあった上でリアルな場を欠落させるという手はずを踏むことになるので、勝算はややあるんだけれど、Twitterのコミュニケーションって基本的にリアルな場がなくバーチャルなレイヤーでのつぶやきコミュニケーションをしようとするので、ちょっと難しい部分があるのだろうか。
確かにリアルなコミュニケーションがある人がTwitterのタイムラインにいて、つぶやきを見たりリプライをやりとりしているとご無沙汰していてもあまり久しぶりにあった感覚がしなかったりするのだが、初めてお会いする人と初めてお会いした感覚がしない、と言うようになるまでには結構やはり「修行が必要」だろうか。
ソーシャルとは一人でやらないこと
さて、Twitter Night 2で1つメッセージとして伝えたかったのは、ソーシャルメディアを使うときは、なるべく1人でやらないこと。イベントをするにしても、1人で背負わず、みんなでやるように心がけることが大切ではないか、と言う点だ。オープン、クローズは別にして。
もちろんTwitterは自分のつぶやきであって、備忘録的に使ったりすることもあれば、何かの記録として残す使い方だってあるし、相当軽くて便利な記録手段であることは間違いない。しかしそこに何かプラスして、何らかの活動参加してみたり、軽く誰かの役に立ってみたり、逆に誰かに支えられていることを意識する経験というモノもあっていいのではないだろうか。
Twitterは、その誰かの役に立つ経験、誰かに支えられていることを意識する経験が身近に詰まっているメディアじゃないか、ととらえている。ぜひ多くの人に、これらの経験に触れてもらった上で、「一人でやらないこと」を感じてもらえると、なにか変化が起きるなじゃないか、と期待している。
表現、PR、Twitter活用
一応、Twitter Night 2に「ビジネス」という言葉が入っているので、Microsoft Office for Macの「ヒトコト」プロジェクト、パラマウントベッドのSmartSleepLibraryのTwitter活用についても触れた。
前者はTwitterというつぶやきメディア時代の表現として現代の格言・名言を紡ぎ出す活動を、後者は眠りに関するシンクタンクをウェブに設置してその最新情報を共有していくメディアとしてのTwitter活用をしている。いずれもこれからまだまだ展開予定ですので、ぜひぜひお見知りおきを。
kengoさんにお会いできた!
ということで、僕の昨今のTwitter事情をまとめて話したのですが、実は会場には、Going my wayのkengoさんが登壇者としていらしていた。実は、2002〜2003年ごろからBlog上でkengoさんを存じ上げていて、trackbackやコメントなどでのコミュニケーションも交わしていたが、2009年6月末、やっとリアルにお会いすることが出来た。何年越しなんだろう、6〜7年も知っていて、会えない人っていうのも珍しいんですが。
今回主催してくださったKNN神田さんに感謝すると共に、Blogでもmixiでもお会いできなかったkengoさんに合う事が出来たTwitterに感謝。
Author
松村太郎 Taro Matsumura
ジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ビジネスブレイクスルー大学講師。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。近著に『タブレット革命』『スマートフォン新時代』など。 read more & contact
Related Article
Trackback
- URL:
http://upwest.org/mt/mt-tb.cgi/9979
