COLUMN
ダイアルキーに触れなくなってきた昨今、電話番号の教え
by TARO MATSUMURA - 2009.08.18 22:47
電話と言えば音声通話が当たり前であり、これがなければ始まらない、という機能であった。しかしメールやウェブが使えるようになり、「ケータイ」と略されるようになった携帯電話では、その地位も怪しくなってきた。
iPhoneを主のケータイとして使っている僕は、最近気づいたことがある。ダイアルキーを見ていない、ということだ。タッチパネルなのであらかじめ用意されたダイアルキーはなく、かかってきた電話を取る時、電話帳から選んで電話をかける時でも、ダイアルキーが露出していないので見るチャンスは皆無だ。
そしてiPhone 3GSになってから意外と使えるのが音声コントロール。「松村太郎のiPhoneに電話をかける」と言うと、僕の電話帳コンタクトのiPhoneの番号に電話をかけてくれる。画面すら見ずにイヤホンだけで通話の処理を済ませることも多々ある。
電話番号を知らない店の場合も、iPhoneのMapアプリから店名を調べるとたいてい表示されるため、そのままダイアルしつつ、電話帳に登録してしまう。このあたりはi-modeなどのレストランガイドでも当然のように出来るし、iコンシェルの電話帳補完機能を使えば、番号だけ登録するだけで店の名前や住所などを補完してくれる。後者の方がスマートに思える。
日本のケータイはダイアルキーが露出していることが基本で、待ち受け時にダイアルボタンを押せばすぐに番号入力のモードに入るわかりやすさがある。メーカーによっては、入力した数字から電卓などの他の機能へ引き継ぐこともできる。まず数字を入力することが行動のきっかけ、というのは電話らしいインターフェイスだと思う。
一方のiPhoneは、他の海外勢のスマートフォン全般と同じように、電話機能がインターフェイス上での最優先ではない、と見ることが出来る。たいていの人はDockの4つのアイコンの1つにセレクトしている電話アイコンをタッチして初めて電話機能の操作となり、しかもダイアルキーを出すためには左から4つめの「キーパッド」をタッチしなければならない。
ケータイではダイアルキーを使って文字入力をするのでよく見ていると思うし、iPhoneにも日本のダイアルキー風のテンキーが用意されているが、僕は結局iPhoneでフルキーボードから文字入力をしているので、やはりダイアルキーを使わない生活に終始している感じだ。
アドレス交換の時も名刺を頂いたりメモを頂いたら後でMacのアドレスブックに入力するし、ケータイの人は赤外線やIC通信でアドレス交換をしているので、やはりテンキー入力は介さない。最も、電話番号だけなら「ワン切り」で番号を伝えてもらうこともできるわけだ。
もちろん必要な番号なら電話帳に登録して名前にデコードする。こうなると普段のコミュニケーションにおいて、ダイアルキーどころか電話番号すら意識することも怪しくなってくる。
では電話番号はもういらないのだろうか? 通話の技術的な問題はさておき、ユーザーが気軽に教えられるかどうかも含めて、すぐにはいらなくならないと思っている。
Skypeはテキストで音声通話を実現するし、Twitterは@ユーザー名で人とコミュニケーションを取る。みれば誰だか想起しやすいいずれも顕名性のあるIDであり、数字の羅列とは違う意味を持って取得しているものだ。
番号とIDだと、後者の方が自分に近く、コード化されていない自分を表すものであるため、誰彼構わず教えるのは抵抗感がないだろうか? その抵抗間に対処しているのが電話番号と捉えれば、ウェブのサービスに対する電話番号の教えを生かすチャンスがありそうだ。
ありがたいことにTwitterのフォロワー数が36000を超え、僕自身のつぶやきもそろそろ10000に近づいて来た。かたや見なくなった電話番号のことを思い出すと、電話番号が与えてくれていたちょっとした安心感に気づかされる。
そこに気づくと、それまではかける側が圧倒的に有利だった電話のコミュニケーションが、受信側で選択するようになった流れの先に続くモノへと考えを進めることができそうな気がするのだ。
iPhoneから送信
Author
松村太郎 Taro Matsumura
ジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ビジネスブレイクスルー大学講師。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。近著に『タブレット革命』『スマートフォン新時代』など。 read more & contact
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