TAROSITE.NET: COLUMN
今週のブログのまとめ(SFC)
by TARO MATSUMURA @taromatsumura 2003.05.04 02:45
ゴールデンウィークに突入したものの、がぜん動きが活発になってきたSFCにおけるウェブログ関連の動き。いくつかキーになることもあると思うので、その辺りをまとめておきたいと思う。週の最後、CNETの山岸さんのウェブログに取り上げられていました。
「SFCのブログ最新動向に関しては以下の3つのサイトがとっかかりになる」だなんて、恐縮です。
■ ウェブ日記とウェブログ
僕はこのウェブログの他に、Moblog+ウェブ日記として「E-NIKKI」をつけている。これは7年目になった僕のtarosite.netでは、当初からウェブ日記である「E-NIKKI」(えにっき、いーにっき、どちらでも)は継続して行くという方向性がもともとある。そこに研究用の情報収集やアウトプットとして「DOCUMENTATION」というページを作って、ウェブログで文書管理を始めたわけです。それがこの「BLOG」になっていると言う系譜。サブタイトルが「my library」になっているくらいだから。このためウェブ日記とウェブログは分けて捉えていて、自分の中での役割も「趣味」「仕事/研究」ときちんと決まっているのだ。
先日、E-NIKKIもMovable Typeでの管理に移行した。今まで1日1本だったんだけれど、ウェブログの流儀と言うべきか、1日何本もアップするようになった。ただウェブ上のどこかのリンクがあると言うよりは、自分の行動に関するコメントの記録。カメラ付きケータイによって、頻繁に写真を撮るようになったことも、その更新回数を支えているような気がする。一方で、今まであったような邪推の文章が減った、とも言われた。一長一短ですね。
今SFCのブロガーの間では、あえてウェブ日記とウェブログをどう区別するか、という議論が続いている。日記は日記、ウェブログはウェブログ、と言うカタチで分離して、ウェブログとしての情報の純度を高めるべきだという方向性。自分のスクラップブックを公開するんだから、いいスクラップブックを見せっこした方がいいんじゃないか、と言う考え方だ。
他方、ウェブ日記とウェブログは一緒にしちゃってもいいんじゃないか、と言う意見。ウェブログに情報を載せる時には必ずその人の好みや属性によって情報の取捨選択をしている。そこに日記的な要素が入ったとしても、多少の人間臭さが増すだけで純度云々には関係ないんじゃないか、という意見である。MovableTypeの場合はカテゴリの分類も出来るから、それを利用すれば問題はさらに小さくなる。
もろもろ鑑みた結果、SFCにおいては「ウェブログツールの日記的利用」が一番やりやすいスタイルなんじゃないか、と思った。単純に考えて、いくつも書くところがあったら絶対にどちらかもしくは両方書かなくなってしまうからだ。学生一人一人がつけていくとしたら、やっぱり研究ばっかりじゃなくて趣味や日常も含めたことをログしていく方がいいと思う。
SFCの大学生ってもちろん文献読みでの勉強もするんだけれど、「体験的な学習」が重要視されているようにも思える。その場合、日常生活も含めて研究にフィードバックされることが多い。だとすれば、趣味や日常だって研究に全く関係ないとは言えない。そう考えると、SFCの個人のウェブにおける「ウェブログツールの日記的利用」はキャンパスのスタイルにとてもフィットした使い方になっているのではないか。
SFCの日記文化を眺めていると、こうも考えられる。クローズド<オープンという観点から言うと、ウェブ日記<ウェブログとなるのは明白だが、ウェブ上にパブリッシュされていると言う点ではどちらも同じことだ。ではどこが違うのか。それはやはり情報の有用性にかかってくるのではないか、と思う。自分の情報収集や記録としてやっている前提でウェブ日記をとらえたときに、極端な話、自分しか見ないのは日記であって、いろいろな人から参照されているのはウェブログになるのだ。つまりウェブ日記かウェブログかを決めるのは、書いている本人以上に見にくる人だ、ということだ。そうだとすれば、あんまり言葉の定義にこだわる必要がないですよね。
■ ゼミでの利用
ウェブログプロジェクトをスタートさせた当初から、ウェブログのゼミでの共有はキャンパス内における情報環境を引っくり返すような変化が期待できると思っていた。研究室ごとにウェブログを持っていて、ある程度テーマが色濃く出ている状態で情報が蓄積されて行く。いざ他の研究室や学生が情報を欲している時、「このテーマだったらあの研究室だ」と情報を探しに行くと、すぐに欲しい情報が見つかるような環境が、デジタル化されたキャンパスの一つの利点になりうると思うのだ。既に10年経つSFCでは、そういうデータベースや知識ベースはおろか、隣の研究室でやっていることすらよく分からない、という縦割り状態。これはなんとか変革したいところである。
SFCの研究室で共有されているウェブログといったら、熊坂研究室: network styly *、小檜山研究室: cafeblog、安村研究室などである。これらは、学生からウェブログの有用性を感じてスタートさせているものが多い。その流れの中で、加藤文俊先生の研究会「<場>のチカラ」プロジェクトのウェブログは、加藤先生がウェブログによるコミュニケーション周辺の可能性から設置したウェブログである。加藤先生本人のウェブログ上でのコメントに、
「編集権」をめぐるコミュニケーション(場合によってはまさにこの編集権をめぐる競争・闘争)があって、その過程でグループが共有する知(というか文化?のようなもの)が生まれるような気がします。それが興味ぶかい。
つまり: プロジェクトの文化は、(プロジェクトや〈場〉について語る際のテキストの)「編集権」をめぐるコミュニケーションの所産として理解できる。 ということです。blogのアーカイブをあとで分析できれば、プロジェクトの文化(これはボキャブラリーなどもふくみます)が生成されていく過程を見ることができるかもしれません。
とある。グループ内での知のマネジメントを元にしたコミュニケーションの様が展開されるのではないか、という指摘は面白い。<場>のチカラ以外の既に運用されている研究室ウェブログは、やはり設置した人と賛同者がモデレータ役として書き込んでいる状態が続いているが、<場>のチカラではゼミ内で分散しているプロジェクトごとの情報を蓄積したり共有したりするツールとして扱うため、他のウェブログとは違う動きを見せる可能性もある。
今週は熊坂学部長のウェブログ、加藤先生のウェブログなど、先生方のウェブログが増えた1週間でもあった。キャンパス内でのウェブログ環境が面白くなるには、絶対先生方がウェブログをはじめることだと思う。こういう見方も変だけど、先生って一挙一動が研究に関係していそうだ、といっても過言じゃない気がしてくるから。
今後も、この記事でトピックを中心に、読み解いて行きたいと思う。
■ コメント
ただ、ネットで公表するということは、大学外の人間にも読まれる訳で、その辺でトラブルが起きなければいいですね。研究事象によっては、メーリングリストのような閉鎖性の保てる場所のほうが良い時もありそう。
ネット上で公表することに関しては非常に議論が多く交わされています。例えば新しい技術なら、完成するまで情報を隠しておくことがこれまでの常でした。しかしここでインターネットの世間で言われていた「情報を初めに出した人が尊重される」という状況が果たして通用するのか、というチャレンジをしても良いのでは、という方向で進んでいます。
研究メモの類も、クローズではなくオープンにすることで、キャンパス内外からの情報集積を受けて研究が加速する例もあり、ウェブログがこの役割を果たすかも知れない、という予想を検証したいと思っています。 またご指摘の通り、先生方こそキャンパス内でウェブログをして欲しいという思いもあります。