COLUMN

sfcnoteで結実しそうなデジタルキャンパス

by TARO MATSUMURA - 2009.10.23 00:44

 SFCではノートを共有するsfcnoteが、今週のTwitterの話題になっている。授業のノートをTwitter上に付けて、教室名のハッシュタグでまとめていく、というアイディアは、Twitterで行われてきたライブ中継のカルチャーと、場にいる人全員がTwitterアカウントを持っている、という特殊環境がバックグラウンドにある。

 まず目から鱗だったのは、時間と教室名が分かれば、授業名が分かる、と言う大学特有の場所と時間が持つ意味を上手に活用している点。

 これはTwitterを普段使っているとなかなか気づかないことだ。同じタイムテーブルで複数の場所で、常にイベントが起きているのが大学のキャンパス。金曜日の夜にたまたまいくつかのイベントが重なった、というネット界隈のイベント特異日とは訳が違う状態が起きている。

 SFCで802.11bの無線が敷設され、無線LANカードをみんなが持ち始めたのは、たぶん2000年ごろだっただろうか。ちょうどi-modeが始まった1年後。世の中でメールやウェブをケータイから使い始めた時、SFCでは授業中にノートパソコンを広げて、フルサイズのネットにアクセスするようになった。

 SFC★MODEは、2000年に登場したキャンパス向け口コミネットコミュニティで、授業の時間割を設定すると、履修者同士で課題情報を交換するなどの口コミコミュニケーションが出来る仕組みを提供しはじめた。

 キャンパス内の口コミを、授業という学生にとってリーズナブルな形で束ねたバーチャルな教室がそこに詰め込まれていた、と言う感覚。授業SA/TAもアシスタントをしていない授業用に使っているため、自ずとオフィシャルな情報が書き込まれる事もあった。こうして2004年頃まで、約4500人が使う授業インフラに成長した。

 情報を集約する場所を作ったのがSFC★MODEだとしたら、sfcnoteは分散系の情報を串刺しにする、と言うアプローチになる。しかも、今だけ、ここだけの情報をアーカイブして利用可能にし、それを次世代の『ノート』として見せるアイディアは、とても生き生きとしたものを感じる。

 SFCのデジタルキャンパスの過程を見てみると、高度化した情報端末がパーソナル化し、ネットインフラのモバイル化も進み、統合系のコミュニティから分散系のコミュニケーションへと分化していった。一方で、パーソナルなツールから大量な情報が発せられるようになり、情報量が質へと変わろうとしている。

 この瞬間がsfcnoteなのではないか。ウェザーニューズがゲリラ雷雨を的中させるようになったような興奮を、今日実際のSFCのキャンパスに身を置いて体験してきた。ちなみにウェザーニューズについては、書きたいエントリーがあるので後ほど。

 しかし、sfcnote、課題ある。

 現状のsfcnoteの内容を見ていると、お世辞にもノートとして機能しそうな集約にはなっていない。これはTwitterのライブ中継を心得ている学生がいないか、少ないからかもしれないが、90分一定のクオリティでTwitterに書き込み続けるのはなかなか大変な作業だ。きっとすぐに慣れるだろうけれど。

 そして現在のTwitter中継の問題点と共通だが、中継をみんなで頑張るあまり、自分の意見をタイムラインに織り交ぜる人がいなければ。その場にいなくてもしれる情報ではなく、その場にいなきゃ情報が作られない点はもったいない。腕利きがSAになってリアルタイム中継するのか、学生が自主的に役割分担するのか、と言う点も興味がある。

 そうなってくると、授業の中身も問題だ。座学的な授業は、sfcnoteで十分に伝えきることが出来るようになってくる。そうした時、授業の中身は、これまで通りのものでいいのだろうか。もっと別の90分の使い方がないか。それが中継されて、毎年違う90分にならないだろうか。

 最後にもう一つ。

 SFCではSFC GLOBAL CAMPUSという授業資料と動画が公開されているプロジェクトがある。sfcnoteとSFC GCが連携すると、これは凄いことが起きるんじゃないか、と思うのだ。

 ビデオ収録にはその場にいた学生の意見は、発言しない限り反映されない。しかし、ライブに収録された映像とsfcnoteは同じタイムラインの上で記録されている。つまり、マージすれば、授業のニコ動をライブ収録できるわけだ。後から見る人も動画のタイムライン上にノートを追加できたり、良い発言をふぁぼったりRTしたり。

 こんな仕組みが出来上がった時が、sfcnoteの完成なんじゃないだろうか。ハードルが高いかもしれないけれど。


Author

松村太郎 Taro Matsumura

Taro's Portraitジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ビジネスブレイクスルー大学講師。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。近著に『タブレット革命』『スマートフォン新時代』など。 read more & contact

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