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明日を生きるための物語論 - 広告 2011年10月号


by TARO MATSUMURA @taromatsumura 2011.09.20 14:08

明日を生きるための物語論 - 広告 2011年10月 今月出ている雑誌『広告』は僕が2011年に入ってずっとこだわっているテーマについての特集だった。ストーリーがとても大切だ、と言うことをずっと考えて来ているんだけれども、このテーマについてたくさんの寄稿やインタビューで構成されている。

 この中でまず印象に残っているのは、P54に載っている一橋大学大学院教授の楠木建さんの文章にある「ストーリーづくりに必要なのはanalysis(分析)ではなく、stynthesis(統合)の発想です」という部分だ。どのようにストーリーを作り、それを生活や経営、コミュニケーションに適用していくかのヒントとして、とても重要な部分だと思った。

 分析については、本当に便利な時代になっている。例えばケータイやスマートフォンを考えれば、人が何時何分にどこでなんのアプリを遊んだか、と言う情報だって取ることができるし、どんな色のアイテムが売れるかどうかはリアルタイムで分かる。空の写メールを集めれば、その現場がどのような気象状況になっているのかを大量に集めて分析することが出来るようになる。

 おそらく効率化しようとしたら、プロセスの1つずつを分析・最適化して行けば良いし、どこが良くて、どこが悪いのかも分析しやすい。あるいは分析が必要な場面もたくさんある。しかし、ある一点をサンプルとして取って分析をかけたとしても、ストーリーを生み出すことはできないという話である。

 また楠木さんは「ストーリー作りはスキルではなく、センスだ」と指摘する。テクニックやノウハウはたくさん世の中にあふれているが、経営者がそういったテクニックに頼り続けるのは幼稚だと指摘している。そしてこの文章のタイトルは「ここの強いストーリーが社会を動かす原動力になる」というものだった。

 1つ思うのは、ソーシャルメディア全盛で、ストーリー自体は世の中の目に触れるところにあふれ続けているけれど、じゃあ「強いストーリー」にあふれているか、社会を動かす原動力になっているかどうか、と言われると、もう少し時間と成熟が必要だと感じている。掃いて捨てるような安っぽいストーリーでは、多分世の中は変わらないし、自分のストーリーに「いいね」レベルの共感が得られたところで、それはそれ、と言うことなのだろう。

 では「センス」と言われると、自分はどうやってそれを養えば良いのだろうと考え込んでしまう。おそらく最も重要なのは経験で、経験がなければストーリーに統合するセンスを磨くこともできないのだろうと思うが、時間は限られている。その経験を1人でストーリー化するよりは、複数の人たちでストーリー化した方がよっぽど早い。ソーシャルの使いどころはここだ。「いいね」を押してもらって終わらせるにはもったいない。

 あるいは、便利な言葉があるとしたら、「イシュー」あるいは「アジェンダ」。これにめがけて考える、動く、伝える、議論する、のプロセスでトライ&エラーを繰り返していくしかないのだろうと思う。正直、あまり近道がある話ではない気がしているのだ。


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