IDEA

気象リテラシー

by TARO MATSUMURA - 2009.11.26 03:25

Tree

 今日Twitterで出会った言葉「気象リテラシー」。もともと気象に興味があったんですが、こういう言い回しをしたことがなかったのでとても新鮮だった。

 嘉悦大学の授業で、ウェザーニューズの上山さんにゲストスピーチをして頂いたログの記事について、@katoyoriさんからコメントを頂いたのですが、@katoyoriさんのTwitterプロフィールに、この「気象リテラシー」という言葉があった。

 気象の読み書きそろばん、と言われてもイマイチ何のことだか分からないかもしれないけれど、例えば高層天気図が読めるだとか、高気圧・低気圧・台風・前線の意味や動き方が分かるとか、そういうこと以上に、もっと体感的な気象への理解も含まれるだろう。むしろそこが出発点かもしれない。

 たぶん日本人の多くは春夏秋冬の存在を知っているし、地域と季節で大まかな気候区分を、少なくとも自分がいる地域に関しては把握している人が多いのではないだろうか。夕焼けなら明日は晴れ、朝焼けなら雨。猫が、アリが、という動物の動きや、腰や関節の痛みで天気を測れる人もいる。

 気象への体感的な理解は、防災や減災にも直結する。台風が来ている時は高潮が起きやすい、豪雨と河川や地盤の関係、地震など他の要素との兼ね合いなど、様々な知識も、体験や体感に基づいたモノだと非常に強く学び取ることになるのではないだろうか。

 こういった体感を気象予測に役立てているのがウェザーニューズだ、と言う話は再三触れてきているが、もしかしたら世界で最も気象リテラシーが高いユーザーを、ケータイの会員サービスで囲い込んでいると言えるかもしれない。

 彼らは「感測」によって日々の気象の変化、気候の変化を体験し、レポートしている日常がある。そこに台風やゲリラ雷雨などの激しい現象が現れた時、彼らのセンサーはさらに研ぎ澄まされ、場合によっては気象庁がサイエンスやコンピューターを駆使しても放棄していた予測を、ソーシャルパワーによって実現する瞬間すらある。

 一方、気象庁とウェザーニューズの間には、台風情報に関する論争がある。台風18号の進路に関して、防災情報の一元化を徹底したい気象庁と、正しい情報を発生直後に伝えたいウェザーニューズとの間で、考えに相違がある。

 ウェザーニューズが発表したのは、(僕が思うに今回は気象庁より正確だと思うが)独自解析による事後の進路であって、法律で気象庁に一元化されている台風の進路予想の発表ではない「事後情報である」にもかかわらず、ウェザーニューズは気象庁から口頭注意を受けており、これに対する上申書提出のリリースと根拠も出している

 事の行方はとにかくとして、この論争が起きていること自体が、気象リテラシーに差があることを意味しているのではないだろうか。

 気象情報に対して日頃親しんでいない人にとっては、台風の進路予想はおろか、明日の天気がテレビ局やサービスによって微妙に違う事に対しても、煩わしさを感じるかもしれない。

 一方でウェザーニューズの会員は、日頃から台風の進路予想に関して、気象庁進路予報に加えて、米軍合同台風警報センターとウェザーニューズの3つの進路予想を参照しながら、台風の動きを見張ることが出来る。ケータイの画面で、台風が発生している時はいつでも、だ。

 会員が、何らかの意志決定に採用する気象情報を自分で選ぶことができるようになっており、雨に降られないことから命を守るところまで、リスク管理への問題意識が高まっている。この問題意識の高まりや気象リテラシーを作っているのは、左記にも述べたとおり、毎日空を見て、体感する習慣に基づいている。

 気象の側面だけでなく、ソーシャルメディア、モバイルといった広い分野にとって興味深い事が起きている一方で、気象学会に参加している@mehoriさんによると、「気象リテラシーは専門家の間での扱いが冷たい」(Tweetへのリンク)そうだ。

 気象リテラシーに関して、引き続き考えていきたいが、「気象リテラシーの明確な領域」「習得の仕方」「科学的、社会的な意義」「教育の現場」「ソーシャル、モバイル、ウェブとの関係」というテーマが存在しているのではないか、と考えている。


Author

松村太郎 Taro Matsumura

Taro's Portraitジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ビジネスブレイクスルー大学講師。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。近著に『タブレット革命』『スマートフォン新時代』など。 read more & contact

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