COLUMN | iPhonestock

相手を増やせ! - FaceTimeに対応したiPod touchと「iTunesアカウント」戦略

by TARO MATSUMURA - 2010.09.02 16:36

iPod touch with FaceTime

 9月1日のApple Press Eventで僕にとって一番印象的だったのはiPod touchがFaceTimeに対応したときの「テレビ電話のかけ方」だった。その話をする前に、とにかく薄く、長時間電池が持ち、HDポケットムービー市場を駆逐し、そして品薄になりそうなRetina Displayを採用した新しいiPod touchはかなりイケてる点を強調しておこう。

iPod touch with FaceTime iPod touch with FaceTime

 さて、iPod touchはiOSデバイスで、HDR写真やHDビデオ撮影&iMovieによる編集に対応するが、やはりFaceTime対応が大きなトピックだ。iPhoneでは電話をかけてFaceTimeに移行したり、直接FaceTimeでコールしたりすることが出来るが、当然のように電話番号を持っていないiPod touchは音声通話を確立したり電話番号でFaceTimeをコールすることは出来ない。

 FaceTimeで使うのは、メールアドレス、しかもiTunesアカウントに登録されているメールアドレスと照合してコールする仕組みになっているそうだ。iOSデバイス自体はApp StoreやiTunes StoreでiTunesアカウントのログインすることになるため、そのデバイスのiTunesアカウント=メールアドレスが何かは分かっている。これを頼りにコールをかけることになる。

iPod touchのFaceTimeデモ

FaceTimeの相手を増やし、ゆくゆくはiTunesアカウントの重要性を高める戦略

 その逆のiPod touchからiPhoneへのFaceTimeの場合は電話番号を選べばいいし、iPhoneからiPod touchへのFaceTimeは、電話帳のFaceTimeボタンを押したときに該当するメールアドレスを選べばよい。もちろんお互いWi-Fi環境にいることが前提なんだけれども。この対応は、日本のFOMAのテレビ電話の教訓はさることながら、一般的なネットワークの外部性の問題を解決することになりそうだ。

 Steve JobsはiPod touchについて、アメリカでもワールドワイドでも50%以上のシェアを誇るナンバー1のポータブルゲーム機である点を強調していた。そんな端末がFaceTimeの相手になっていくわけだから、相手は十分に稼いでいくことが出来そうだ。そして、iTunesアカウントでログインしているiChatと通話が出来ない方が不自然になってくるし、iPadでもやはりFaceTimeが出来るようにするのが当然の流れと言えるのではないだろうか。

 またFaceTimeに限らず、iTunesアカウントたるメールアドレスはPingやGame Centerなどのソーシャルな機能に使われていく過程の中で、Appleがソーシャル分野に参入していくことになる。キーはGmail+dropboxに完全にお株を奪われているMobileMeではなく、クレジットカードのアカウントを世界中で1億6000万件握っているiTunesアカウント。

 でもそういう握り方、囲い込み方って、モダンではないですよね。理想でビジネスは出来ませんが…。



Author

松村太郎 Taro Matsumura

Taro's Portraitジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ビジネスブレイクスルー大学講師。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。近著に『タブレット革命』『スマートフォン新時代』など。 read more & contact

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