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iPad: ビジネス業界だって、iPadが欲しい

by TARO MATSUMURA - 2010.03.28 09:51
iPad

 iPadって欲しいの?「そんな疑問は愚問だ!」「欲しいに決まってるじゃないか!」という気持ちを抑えて。個人とビジネス利用の両面から考えて、iPadは生活や仕事に導入すると何がよいのか、投資価値はどうなのか、と言う話だ。iPhoneを参考にしても良いのだろうか、と言う点も含めて、考えたいわけだ。

 日本のiPhoneの普及の仕方とアメリカのiPhoneの普及の仕方には若干のズレがある。まず熱狂的なファンが飛びつく構図は日米共通のようだったが、そこから先の拡がり方が違った。

 アメリカでiPhoneを使っている様子を見ていると、特に東海岸では、自分への投資という位置づけが強い。これはiPhoneに限らずスマートフォン全般を通じて同じなのだが、通話とSMSしか出来ないケータイからだいぶ高めの月$60〜$80の費用を払ってiPhoneにしているユーザーは、仕事や学習、生活の情報にまつわる部分の効率化、時間短縮など、目に見えた投資効果を狙いに行っている。プラスの投資だ。

 一方日本では、ケータイでもそうなのだけれど、マイナスからゼロへの情報負債返済のような感覚だ。ケータイでも、コミュニケーションに乗り遅れないため、持っているのが当たり前だから、子どもを守るため(これはちょっと意味合いが違うかもしれないけれど)といったマイナス要因をつぶすように、毎月のケータイ料金を払っているように感じる。iPhoneが学生に広まる時にも「これがないと就職活動に差し支える!」というフックだ。

 もちろんポジティブな投資としてiPhoneを選ぶ動きはちゃんとある点は付記しておくけれども。

 では、iPadは、どんな投資対象として選ぶことができるのだろうか。Business Weekに「Businesses Want Apple's iPad, Too」という記事が掲載された。

 例えばアイディアやフローチャートを会議中に書くんじゃないか、というコメントが紹介されていたり、ビジネスでのタブレット使用でウェブブラウズに68%やメールの読み書きに44%という利用意向が示されている。「2〜3年後には全てのブリーフケースに1台ずつ入るんじゃないか」と調査会社のChangeWave副社長Paul Carton氏は指摘しているという。

 また記事の中では、医療と教育の専門家や学生が、iPadの最大の市場を形成する点を指摘している。Wolf at Needham & Co.の社内の調査では、ヘルスケア関連で働く178人のうちの30%がタブレット型デバイスを買うと答えた。またGorge Fox大学では、入学時に新入生がMacBookに加えてiPadを選ぶことができるようにした。

 この動きは日本でも起きそうだ。iPadに限らずだが、医療業界では、電子カルテがこれから推し進められる中で、タブレット型端末に対して熱い視線が注がれており、もともとMacを使っているユーザーが多い同業界でiPadが指示されたり、アプリ開発によって環境やシステムに最適化される事も考えられる。医者側だけでなく、患者が持ち歩く電子カルテデバイスとしての可能性だってある。

 教育業界については、大学生がiPadだけで全てを済ますことだけは避けて欲しい。クリエイティブ作業など情報を作るデバイス・環境としてまだiPadは不十分だからだ。しかし日頃の情報端末としての利用は、iPhone以上、PC以上になる可能性だってあり得る。対面コミュニケーションでのコラボレーション・デバイスとしての可能性を買ってのことだ。

 東京大学とベネッセが共同研究を進めるBEATでは、5月末のイベントでiPadの教育活用について触れるが、ここで20台のiPadを利用して、ソーシャルイノベーションと教育の可能性について考えていくという。3月28日には、「iのある教育と学習」というイベントで、iPhone/iPadの教育活用についての議論が展開される(Twitter: #i4edu)が、ここでもiPadの位置づけなどが語られるだろう。

 リビングルームに加えて、教育や医療の市場が先行するのはAppleのブランディングとしても望ましいことじゃないか。それを汎用的に広げていくアプリとしてのiWorkをApple自身が用意し、またEvernoteなどのアプリケーションが充実していくことになる。

 iPadは、iPhoneとは少し違うスキマ市場を狙うような形で拡がりを見せそうだ。


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Author

松村太郎 Taro Matsumura

Taro's Portraitジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ビジネスブレイクスルー大学講師。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。スマートフォンに特化した活動型メディアAppetizer.jp編集長。 read more & contact

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