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Keitai Society Basics


by TARO MATSUMURA @taromatsumura 2004.11.30 11:38

 ケータイラボが行うORFのセッションをまとめていく。セッションは熊坂賢次・環境情報学部長を司会に、榎啓一・NTTドコモ常務取締役、伊藤瑞子・南カリフォルニア大学Teaching Fellow、国領二郎・環境情報学部教授、加藤文俊・環境情報学部助教授というパネラーの面々が並んだ。「ビジネスからパブリックデザインまで」という副題が付いたこのセッションで展開された議論は、ケータイのポジショニングと新たな可能性についてだった。このエントリーでは前半のケータイのポジショニングについて触れていきたい。

ケータイ社会への問題提起

 「このセッション中では、あえてマナーモードはやめましょう。皆さんマナーモードを解除してください」という、後援会やセッションでは異例ともいえるアナウンスから、このセッションがスタートした。この普段とは逆の、聞き慣れない注意事項を言ったのは熊坂先生。ケータイが悪者だ、という現在の社会の風潮に対して、この場だけでも疑問を唱えて、それと逆行してみる試みをしようという趣旨だった。

 「なぜこのような場では電源を切らなければならないのか。ケータイの社会的な影響を調べていきたいと考えているが、現状では社会での暗黙知としての約束事に、皆が静かに対応している。しかしその約束事はいつまで通用するのか。あるいはこういう場でケータイがなったら、自分は、周りの人は、どのような対応や反応をするのか。現在の約束事を壊すような実験をしたいし、議論にもラディカルな参加を」(熊坂)


榎さんのプレゼンテーション

 続いて問題提起として、榎さんからDoCoMoを中心としたケータイ産業の現状についての、いわゆるおあつらえ向けのビジネスについてのプレゼンテーションが行われた。「ケータイラボと言う存在と、そこへドコモがお金を出していることすら知らなかった」とショッキングでもあり、そんなもんだという諦めすら覚える発言にはちょっとびっくりしたが、ええ、まあそんなもんですね、企業との共同研究なんて。

 「日本のケータイ市場はまもなく飽和する。現在8500万加入に達しており、普及率は70%ほどだ。超高齢の方と赤ちゃんを除けば、ほぼ全ての日本人が持っている計算になる。コンサートでアナウンスされる「マナーモード」への呼びかけも、こうしたほぼ全ての人が持っている前提の元になされている。今までのモデルでの成長が見込めるわけではないので、商売上はつらい」(榎)

 またビジネスのサイズについては、1人当たり毎月約7000円、年間約10万円が入ってくるため、約5000万加入だとすればDoCoMoの収入は約5兆円になる、と計算方法を披露しながら、その内訳についても紹介してくれた。日本のケータイ市場は8〜9兆円で、売り上げもこれ以上は伸びないのではないか。

 「デジタルコンテンツはDoCoMoで大公開週を行っている範囲では年間1500億円。勝手サイトや物販など、把握していない範囲でさらに数千億円。さらに株ともなると、数兆円がケータイでトレードされている。もはや買えないモノはないし、売ってないモノはない。ビル・ゲイツにi-modeは作れなかった。シリコンバレーにコギャルはいなかったからで、ケータイはきわめてドメスティックな産業。しかし様々な形で輸出して、世界でビジネスができるモノだとも考えている」(榎)


パーソナル、ドメスティック

 この最後の言葉に反応したのが伊藤先生。「ビル・ゲイツにi-modeが作れなかった、というのは面白い。今アメリカではソーシャル・ソフトウエアが人気になっている。それはblogであり、SNSであり。一方ケータイによってそのパーソナル性を追求しているのが日本だ。アメリカのソーシャル・ソフトウエアが日本のケータイのパーソナル性と融合すると、とても面白い世界に発展すると思う」(伊藤)

 国領先生も続ける。「日本のケータイのグローバル性にはとても興味がある。現状、アメリカはアメリカだし、日本は日本だ。アジアはどちらへ行くのか。やはりどちらとも違う世界だ、と言う認識もあり得る。パーソナルなモノとしてのケータイは、その使われ方の違いというモノがとても大きく出てくる」(国領)

 「そして、DoCoMoとしてはどのようにして違いを作りながら普及させていくのか? またもう1点は、新しい可能性について考えたい。本当に市場は飽和してしまったのか。現在のe-コマースの数字をどう読み解くのか。私はまだまだ小さい一部だと思っていて、もっとねらえるのではないだろうか」(国領)

 「狭い意味での通信は飽和してしまうと思う。Java / FeliCaを載せていく現在、ケータイを使った産業は増えていくし、小売業の変化や変革が起きてくる。それにDoCoMoがコミットできるか? そのパイを取ることができるかが勝負だと考えていて、それ次第ではおっしゃる通り、もっと狙えると思う。」(榎)

 そして榎さんは、世界中の人60億人がケータイについて同じように使うのではないか、と言う考えを披露した。「ホットコミュニケーションではなく、ケータイではワームコミュニケーションが展開される。お互いのコンテクストを無視していきなり送りつけられてくる。無視したければ無視しても良いが、多くの場合そのコミュニケーションは密に展開される。これからは世界中を股にかけた世代間の格差が出てくるモノとして捉えている」(榎さん)


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