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TAROSITE.NET: REVIEW

もはやカメラ付きケータイではなく、ケータイ付きカメラ - SoftBank 910SH


by TARO MATSUMURA @taromatsumura 2007.02.25 15:24

5 mega pixel camera - SoftBank 910SH #08

 ケータイを語るとき、通話とメールのアピールは影を潜め、ブラウザ、ミュージックプレーヤー、計算機といった電子機器を飲み込んできた。さらには手帖やおサイフといったモノまでも。ケータイは身の回りの様々なモノを飲み込んだ、都市生活のサバイバルナイフと言うべき存在になりつつあるが、その口火を切ったのはカメラだった。しかし910SHを見ると、飲み込まれたのはむしろケータイかもしれない、と思わされる面白さがある。


SoftBank 910SH #10
ケータイとしては重量級

 SoftBank 910SHは、サイズ50mm×106mm、厚さ24mm、重さ約139gと、数字の上ではハイスペックな端末の中では大柄ではないかもしれない。しかし昨今のスキニーブームに乗っかった薄型端末が多くお目見えしている中ではやはり重量級ボディを持つ端末に見えてくる。しかし細かくデザインを見ていくと、重圧感ではなく重厚感のあるデザインにまとめられている点は持つ人の満足度を高めてくれる。

 その象徴とも言うべきは、随所にちりばめられているメタリックなデザイン。手元にあるのはブラックであったが、この端末で強調すべきカメラ周辺から端末全体を落ち着いた雰囲気で彩っている。

 端末を閉じた状態で机の上に置くと、メインディスプレイの裏のサブディスプレイが目に止まる。視認性が良いカラー液晶の周りをメタルな部材が取り囲み、サブディスプレイの上端に近い部分にボタンが、ヒンジに近い部分に着信等を知らせるLEDが仕込まれている。

 端末側面も、テンキー側のボディはメタリック。右側面にはカメラのシャッター、ズームやメニュー操作のためのシーソーボタン、決定ボタン、メニューボタン、サークルトーク(PTT)ボタンが配置される。左側面はmicroSDスロット、イヤホンマイク端子が配置され、その脇に小さく910SHと書かれているのが小気味良い。

 そしていよいよ背面のカメラだ。裏返すと右端に角が落とされた大きなメタリックのパーツが盛り上がっており、カメラがどっしりと構える。そのすぐ右側にはフォトライトが配置され、「5.0 MEGA PIXEL」の文字が誇らしい。とはいえ、あえてスペックをボディに書かなくても良さそうなくらい、きちんとこの端末のアイデンティティがデザインで示されている。背面にはカメラ、フォトライトの他にFeliCa読み取り部が備わっている。背面パネルはカメラの部分以外の全体がカバーとなっている珍しいデザインだ。

 ケータイとしては大柄な部類に入るかもしれない。しかし後に紹介するデジタルカメラの機能を鑑みて、ケータイとデジカメを2つ持つことを考えるとどうだろう。どんなに薄型のケータイと小型のデジカメを揃えても、910SH 1台よりスマートにはならないだろう。そこが、このケータイの価値にもつながってくる点だ。

Normal - SoftBank 910SH #26
国際ローミングとワンセグとGPS以外は全て使える

 カメラの話しに行く前に、ケータイとしての910SHを観てみよう。910SHのスペックを見ると、搭載されていないモノを探す方が早いかもしれない。それは国際ローミング機能、ワンセグ機能、GPS機能である。この端末最大の特徴であるケータイカメラは500万画素CCDに、光学3倍ズーム付きオートフォーカスが組み合わせられており、国内のケータイではトップの性能を誇る。この画像は50MBの本体メモリよりは1GBまで対応し、価格も安いmicroSDカードに保存する使い方をオススメする。

 500万画素のカメラを搭載する端末であるため、ディスプレイも高品位のモノが組み合わせてある。シャープではおなじみの二軸回転ヒンジが採用されているが、ディスプレイの回転と端末の開閉の可動部は分離されているため、この手の動きをする端末で不安になりそうなヒンジ部の強度の剛性感は高い。もちろんディスプレイを回転させればカメラが起動し、横型に持ち替えて端末サイドのシャッターキーで操作する流儀もおなじみのモノだ。

 ディスプレイは、画角こそ縦長3:4であるが、480×640ピクセルのVGAディスプレイを搭載し、高精細表示が可能で、細かいピント合わせや写真の拡大表示をする際に威力を発揮する他、文字表示などの局面でもこれまでと違った環境は魅力的だ。ただワンセグ端末ではないせいか、ディスプレイのサイズは2.4インチと高性能機種にしてはやや小さな部類に入っている。

 搭載されていない機能を探す方が早いというだけあり、ソフトバンクモバイルの最新サービス群には全て対応している。

 「Yahoo!ケータイ」をポータルサイトとしたケータイインターネットサービス、My Yahoo!利用に便利なアプリ「Yahoo! mocoa」、情報配信サービス「ライブモニター」、他社ケータイにもデコメールとして送信可能な「アレンジメール」に対応している。またBluetoothを利用した「ちかチャット」・「ちかゲーム」、Push To Talkとステータス表示サービスを組み合わせた「サークルトーク&ホットステータス」といった新しい通信機能にも対応する。

 また最近のシャープ端末に共通する特徴として、「カスタモ」と呼ばれるサービスが利用できる。これはケータイの着せ替え機能である。待ち受け画面やメニュー画面、アイコン、着信グラフィックス、着信音などを一括してダウンロード・設定することができ、キャラクターのテーマやスポーツ、エンターテインメント、動物や自然、クリエイター作品といったジャンルの豊富なデザインを選ぶことができる。ハイスペックながら、ケータイを楽しむ機能も盛り込まれている点がシャープらしい。


Magazine Stand
これぞケータイ最高画質

 910SHの最大の特徴は、冒頭でも紹介したとおり500万画素オートフォーカスCCDと光学3倍ズームに対応したパワフルなスペックのカメラである。ディスプレイを開いて回転させ、再び端末を閉じるとカメラが起動する二軸回転ヒンジはシャープ端末ではおなじみのモノだ。まず驚くのが、ファインダー代わりになっている液晶ディスプレイの追従性の良さ。急なパンでもしっかりと画像がついてきて、クリアでスムーズなプレビューが得られる。

 ディスプレイをターンさせて閉じているデジカメスタイルの場合、撮影画像は横長に、ケータイを普段開いたままの格好で撮影するいわゆる写メールスタイル、ケータイスタイルの場合は縦長に、それぞれ自動的に回転して保存する機能が備わっている。最近のデジタルカメラにはセンサーが入っていて、どちらの向きで撮影されたかで記録する向きを変えている。GPSと共に省略された6軸センサーが入っていれば、自由なスタイルで撮影するだけで縦型、横型の保存することができたのではないか。それでも撮影スタイルに応じて画面で観た通りに記録される使い勝手はとても良い。

 ケータイのカメラとして画素数以上に興味深かったのがISO感度を設定できる点だ。ISO感度は100が標準で、数字が上がると光を取り入れる量が増え、明るくなる。写真の明るさはこのISO感度と絞りとシャッタースピードの関係で決まる。この際絞りは置いておいて、ISO感度が高ければ、シャッタースピードが早くても明るい写真が撮れるようになる。つまり、暗いところで手ぶれを防げる。しかしISO感度を上げるとノイズが増える。

 これまでケータイのカメラで感度調節に対応している端末はほぼ皆無だった。通常のモードとナイトモードで感度が変わる程度で、個別の設定画面が登場したのはこの910SHがカメラ付きケータイではなくカメラ・ケータイであることの証かもしれない。910SHではISO感度100から800までを切り替えることができる。800では一般的にノイズに悩まされるが、910SHではしっかり低減されているように思う(フォトギャラリーで比較してみてください)。

 5メガピクセルと画素数が高いが最高サイズから日用サイズまでのサイズが用意されている。5Mの写真は実に1944×2592ピクセルのサイズになる(画角は3:4)。このほか3M(1536×2048ピクセル)、ワイド(1080×1920ピクセル)、2M(1200×1600ピクセル)、1.2M(960×1280ピクセル)、待ち受け画面(480×640ピクセル)、メールL(240×320ピクセル)、メールS(120×160ピクセル)が用意されている。5Mモードの場合のmicroSDへの保存時間は約8秒かかってしまう。以前僕が使っていたケータイは3Mモードで10秒近く保存にかかっていたことを考えると、きちんとチューニングされていることも伺える。

 そして画質。CCDの画素数が高くても、光を取り込むレンズ、AFやホワイトバランス、画像処理のうまさなど、アナログ、デジタル問わず、写真の画質を左右する要素はとてもたくさんある。しかし910SHでは、当然それらのチューニングありきで設計されているため、画質に関してもケータイの中では最高の部類に当たる。特に明るいところでの花の色の再現性、明暗がはっきりしている風景、夜景、接写といった、ケータイのカメラで苦手だった領域が、むしろ得意な領域に変えてしまっているくらいだ。

 フォトギャラリーでじっくりご覧下さい


Shinjuku Southern Lights #05
新しい切り口のケータイ - デジカメがケータイを飲み込んだら

 カメラ付きケータイとしては重量級という指摘を冒頭でしたが、この910SHはカメラ付きケータイではなく、ケータイ付きカメラだ、ととらえてみてはどうだろう。そのくらいカメラ機能の充実とそれを使いこなせる端末の作り方になっていて、シャープ製のオーソドックスなケータイのスタイルにそれを納めている点がむしろびっくりする程である。しかもカメラ付きケータイを開発したシャープが手がけているのだから面白い。

 専門のデジタルカメラに慣れているユーザーからすると、保存時間、ズームの動きなどがもっさりとしているので、写真を撮る瞬間の心地悪さを多少感じるかもしれない。しかし910SHにはそれ以上の価値があると思う。

 夜、ちょっとコンビニまで買い物に行くときに、サイフとケータイは持つけれど、わざわざデジカメは持たないだろう。もしそこで桜の花が咲き始めているのを見つけたとき、今までのケータイに入っているカメラではキレイに撮れないと思って、せっかく見つけた桜の花も明日明るくなってから、と見過ごしてしまう(そして撮り忘れる)。しかし910SHを持っていれば、そこで遠慮することなく撮影してブログに載せられるのである。

 全てのケータイに500万画素のカメラが入る必要はない(そういう時代が来るかもしれないけれども)。しかしより写真に親しみたいがデジカメのことはわからない、もっと手軽に写真を撮りたいというユーザーにとっては写真のある生活を始めるきっかけともなる端末だ。僕のように一眼レフカメラを持っているユーザーの場合は、それこそ先ほどの例の通り、身軽にちょっとコンビニに行くときでも、キレイな写真が撮れる状態でありたい、というニーズに合致する。これがケータイ付きカメラのはじめの姿である。

 今後910SHの後継が登場していくには、ケータイとカメラが融合している価値をいかに作り出すかがポイントだ。GPSを取り入れて写真と位置情報を結びつけられるようにしたり、NokiaのLifeblogのような、端末とサービスを一体化させた機能も魅力的だ。生活にとけ込む500万画素のカメラというポジションを確立することになるだろう。

 もう一つ、この端末から生まれるアイディアは、今までケータイが様々なモノを取り込んできた流れからは逆だ。つまり911SHが500万画素のカメラにケータイの機能を盛り込んだら、という端末にも見えてくる。ならばケータイの機能がついているおサイフは? ケータイの機能がついているミュージックプレーヤーは? といった発想で端末選ぶこともあり得る、そういうアイディアのきっかけともなる端末だと言える。


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