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The Presentation Secrets of Steve jobs / Carmine Gallo


by TARO MATSUMURA @taromatsumura 2010.06.01 17:39

Mac Fan 7月号で、5ヶ月に及んだ本田直之さんとの短期連載の最終回「アウトプット術」が掲載されています。ぜひ読んでみて下さい。

 毎回Mac Fanのインタビュー&ブレストの時間は楽しいモノだった。いろいろな新しい視点が生まれたり、面白い本やアプリを紹介したり、紙面に載らない情報がたくさん作られていく場だった。その中でこぼれ落ちて別のページになった話もいくつかある。例えば、この本についてもだ。

The Presentation Secrets of Steve jobs / Carmine Gallo Carmine Gallo著『The Presentation Secrets of Steve Jobs: How to Be Insanely Great in Front of Any Audience』という本が話題に上り、この本の要約をMac Fanの先月号に見開きで掲載した。ただこのノウハウはとても面白かったので、Blogにも本とノウハウのサマリーをまとめておこうと思う。

 ちなみに、Garr Reynolds著『Presentation Zen』もオススメだ。こちらは和訳が出ている。

 iPad、iMac、MacBook Air、iPhone、そしてiPad。革新的な製品を世に送り続けているアップルと、それを「どうだ、すごいだろう?」と紹介するプレゼンテーションで魅了するApple CEO Steve Jobs。彼が何を見せてくれるのだろう、という期待感は、アップルの株価を押し上げ、またウワサがウワサを巻き起こす。そしてジョブズはいつも、期待以上のパフォーマンスをして会場をスタンディング・オーベーションの嵐に変えてしまう。

 この本は、Jobsのプレゼンテーションを解剖し、彼のようなプレゼンを再現するエッセンスに触れることが出来る1冊だ。プランニングからメッセージの伝え方、問題点の共有、数字の演出、そして身振り手振りのパフォーマンス、ユーモア、疑問の醸成、そしておなじみの「One more thing」などの要素を挙げた上で、いかにプレゼンテーションスライドに落とし込んでいくかを知ることが出来る。

 AppleのKeynoteのアーカイブビデオなどで具体的なシーンを参照しながら、丁寧にその手法を解説してくれている。まだオリジナルの英語しか発売されていないが、退屈なプレゼンテーションを今すぐやめるためにも、いち早く読んでおくべき1冊だ。

 以下、サマリー。

箇条書きはプレゼンを殺す

 退屈なプレゼンテーションは、何がいけないのか? 勝負はプレゼンテーションを作り始めるときに決まっている。たいていファイルを新規作成すると箇条書きが準備されたスライドが出てきます。特に、階層化された箇条書きをスライドに使った瞬間、話が複雑で面白くなくなってしまい、またプレゼン作りは箇条書きをどう動かすか、と言うことに集中してしまう。だからJobsは箇条書きを使わないのだ。

ストーリーは紙とペンで

 いくら箇条書きを禁止したとしても、プレゼンテーションにはストーリーが必要だ。そのストーリーは、いきなりMacで作るのではなく、まず紙とペンで作り始めるほうが良い。自由にアイディアを書き出し、時には文字の大きさを変えたり、あるいはイラストを描いてみたりしながら、自由な線を描く。それらを束ねて、1本の線のストーリーへと集約させていく。この作業を通じて、スライドに何を書かなければならないのか、何を言うべきかがわかってくるのだ。

思いの丈は3つのメッセージで

 Jobsのプレゼンテーションで、よく見かけるのが、3つのメッセージ。プレゼンテーションでたくさんのことを言いたいし伝えたいこともわかるが、ストーリーを作る過程で、3つのキーメッセージに集約させることが大切だ。そしてこれを集中して伝えていけば良いのである。もちろん、人によって印象に残る部分は違うかもしれないが、できるだけその印象を3つのキーメッセージに集約していくのもまた、観客とのコミュニケーション。メッセージが多すぎても覚えて帰れないのだ。

メタファーとアナロジーで共感を

 例え話は、聴衆がメッセージや世界観を理解するのを助けてくる。Jobsはプレゼンテーションやインタビューの中で、様々なメタファーとアナロジーを活用している。スポーツや脳科学といった例え話は、何を意味しているか、何を意図しているか、寄り多くの人の直感を誘い、伝えたいメッセージの理解を早めてくるのだ。例えば、ケータイとiPhoneを、昆虫と人間に例えたりする例示を良く僕もやっているが、あまりにかけ離れているとかえってわからなくなってしまうこともある。

仮想敵を登場させる

 Jobsが新製品を発表する際に、必ず競合となる既存の製品を先に登場させる。iPhoneには既存のスマートフォン、MacBook AirにはSony VAIOノート、iPadの時にはAmazon Kindle。どこがまずいのか、多くの場合かなり辛辣に指摘する。もちろん新製品を光らせるためであって、単なる批判がしたいわけではない。だからその辛辣な指摘にも、かなりのユーモアをまぶしていった方が良いのだ。

問題点に共感を得て、一緒に解決する

 仮想的を登場させると、次にJobsは問題点に目を向けさせる。例えばiPhoneのプレゼンの中で、既存のスマートフォンを紹介し、ペンや小さなボタンが使いにくい点を指摘した。そしてここに革新的なインターフェイスの必要性を訴えたのである。皆が思っていることを解決する姿勢を、聴衆に伝えることで共感を誘う努力をすべきであって、素晴らしさ、性能の高さだけのアピールでは、ギークの騒ぎしか作れないのだ。

相手の利益と未来を伝える

 あなたのメッセージを正確に伝え、理解してもらうことは大切だ。しかし聴衆は本当に、あなたのメッセージに興味があるのだろうか。聴衆、特に消費者が興味を持っているのは自分の利益であり、自分の生活がどう変わるのか、そして自分に関係あるのだろうか、ということ。そのため、製品やソリューションによって、相手がどうなるのか、を明確に示す必要性がある。みな、ここに興味を持っている。

必ずアクションを促さなければならない

 プレゼンテーションは、人にメッセージを説明し、納得してもらうところまでがゴールだと考えていないだろうか。しかしこれでは目的の半分までしか達成できていない。残りの半分は相手の行動を促すこと。Jobsのプレゼンには必ず、こうして下さい、買いに行こう!今日から買える!とアピールし、アクションを促しているのだ。このアクションのために、ここまでの説明の積み上げが必要なのだ。

Twitter的な短い言葉のセンス

 Jobsのプレゼンテーションが文字で埋め尽くされることはまずありえない。数字、1単語、1行のメッセージなどの一言が書かれていることがほとんどだ。まるで「Twitterのような短い言葉」でスライドを作る感覚。裏を返せば、その140文字以内の一言に、深い意味とセンスを持たせる必要があるのだ。

言葉足らずなスライドで引きつける

 Twitter的なスライドは必然的に言葉足らずになってくる。しかしこれをうまく活用して聴衆を引きつける努力をすべきだ。文字が多いスライドでは、人が喋っているのに聴衆はスライドを読むのに一生懸命になり、話なんて聞いてもらえない。自分が聴衆の時も、自然とスライド読みに没頭して話を聞かなくなる。言葉足らずのスライドで聴衆に疑問を持たせ、テーマについて考えてもらうよう努めよう。

数字に踊ってもらおう

 Jobsのスライドに書かれる説明で最もうまいと感じさせられるのが、数字の使い方だ。初代iPodが登場した際、5GBのHDDのミュージックプレイヤーが$399だと「高い」と感じる人が多いが、「ポケットに1000曲入る」と紹介されると、単純なHDDの価格ではない価値を感じ始める。同じ意味でも、使う数字と表現で印象が変わる。つまりリアルな数字を示した上で、それが相手にとって何を意味するのか、という翻訳が必要ということだ。

シンプルなスライドは深い理解の証拠

 JobsがMacBook Airを披露した際に使用したスライドは、MacBook Airが茶封筒の上に載せられている写真だけでした。iPhoneを登場させたときも、iPhoneの電話、iPod、Safariのアイコンを並べてその機能を紹介しました。スライドに言葉がなく究極にシンプルでも説明できると言うことは、プレゼンテーションを行う自分自身が深く理解している証拠だ。それがなければ、文字がたくさんあるスライドを表示させて、観客だけでなく、自分もスライドを読む事になってしまう。

自分自身のパフォーマンスを楽しもう

 Jobsのプレゼンテーションには、楽しさがある。演出がある。MacBook Airを茶封筒から登場させたり、製品の機能が一目でわかるデモもある。またジョブズのステージからは、抑揚や間、ささやくように話しかける、といった演出面でも学ぶべき点が多い。もちろん、ステージにソファーを用意したり、名だたるIT企業のトップを登壇させることはできないかもしれない。しかしそれでも、とにかく自分が楽しみながらパフォーマンスすることが大切なのだ。プレゼンは嫌な時間じゃなく、楽しい時間だ、という意識で望めると良いと思う。



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