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dozeu
by TARO MATSUMURA @taromatsumura 2004.07.27 17:14

夏になるとトーキョーで食べたくなるのがどじょう鍋だ。それも浅草の駒形橋と蔵橋の間にある老舗、駒形どぜう本店が良い。どじょう鍋を今まさに食べようとしているところ。どじょうときくと長くてにゅるっとしているのを思い浮かべるけれど、ここで出てくるどじょうはもっと小さなやつなので、あまりご心配なさらぬよう。
どじょう鍋をオーダーすると、炭がたっぷり入った台と本当に小さな皿、たっぷり盛られたネギ、割り下が運ばれてくる。そしてしばらくすると、どじょうが敷き詰められた薄い鍋が来て、台の上にセットされる。これの上にネギを山盛りにして割り下を注意深くかける。調子に乗ってかけすぎると、薄い鍋からすぐにあふれてしまって、炭にかかって鍋がはいだらけになってしまう。確かにタレが焦げる香りは食欲を耐え難いものにするんだけれど。
どじょう鍋は、開いていないマルと、開いてあるサキがある。僕は何となくマルしか食べた事がない。回りでサキ鍋をオーダーしている人の鍋を見ると、開いてあるどじょうが同じように鍋に敷き詰めてある。開いてあるということは開いていないどじょうよりも1尾あたりの鍋の上に占める面積が大きくなる。と考えてみて、マルとサキが同じお値段だと言われれば、なんでマルしか食べた事がないか分かった。そりゃどじょうが多いからですよね。ちゃんと数えたわけではないので、あくまで「そんな気がする」という話だけれど。
そうこうしているうちに鍋から湯気が出てくる。厚く盛ったネギの下からどじょうを探し出すんだけれど、その前に小皿だ。これは取り皿ではなく薬味の皿。山椒をたっぷりと盛っておく。そして探し当てたどじょうの鼻先にちょいと山椒をつけて口に運ぶ。ネギを巻き添えにしてやっても良い。タレが良くしみたどじょうと山椒のぴりりが何とも絶妙。これだけでスタミナが沸いてきそうだ。
どじょうを全部食べ終わったら、もう一枚どじょうを頼むか、ご飯を頼んでみる。どじょうを頼んだら、薄い鍋の上にまたどじょうが敷き詰められてくるんだけれど、食べ終わった鍋の上にずるっと移してくれる。「ずるっ」という擬音が丁度よいんだけれど、それがまた華麗なものだ。また同じようにしてネギを植えに山盛りにして、割り下を注意深くかけて、日本酒でも飲みながらしばし待てば良い。
もしご飯を頼んだら、どじょうが居なくなった鍋の上に、やっぱり同じようにネギを盛って割り下をかけてみて欲しい。そうするとタレのしみこんだ刻みネギが出来上がる。これをご飯と一緒にかき込む。ご飯が何杯合っても足りないとはまさにこのことだ。二度も楽しませてくれる粋な計らいがまた気に入っているところだ。
駒形どぜう本店に行ったら、ぜひ1階の座敷で食べてみて欲しい。混んでいたらわがままも言えないんだけれど。座敷にはござが敷き詰められていて、3cmくらいの厚さの板が何筋か並んでいる。この板の川がテーブルだ。川の両側にあぐらをかいて鍋を囲む。まさに膝をつき合わせる格好でお酒を飲みつつ鍋をつつくわけで、話も弾むというものだ。もしもどじょう屋で腹を割った会話をするとしても、マル鍋をお勧めします。