TAROSITE.NET: TOKYOTODAY

かまわぬ


by TARO MATSUMURA @taromatsumura 2004.07.03 15:28

kamawanu

 七夕が近いという事で、今日は浴衣を着た。祖母がずっと下町の“川こっち”(隅田川の日本橋側の岸)のあたりで着付けと三味線・小唄の先生をやっていたので、3年か5年か、そのくらい前に浴衣を仕立ててもらった。帯やうちわ、下駄まで見繕ってもらう、夏の和服のトータルコーディネートだ。


 仕立てる時、祖母は着物屋を呼んできて弟と僕の体の寸法を測った。そのときに着物屋は「きみは浴衣が似合うよ」と何度も何度も言っていた。寸法を測りながらそんな事を言われても僕は全く見当が付かなかったけれど、きっと着物屋はいろんな柄を考えながら似合う似合うと思っていたんだろう。僕はあまり和服の事をよく分からなかったんだけれども。

 昨日は浴衣で車を運転して研究室に行って、作業をしたりキャンパスでのお祭りを見てきたりして、また浴衣で帰ってきた。帰りは研究室の同僚と一緒だったんだけれど、浴衣でマニュアルの車を運転する僕を見て「粋だ粋だ」と写真を何枚も撮ってくれた。そんなに粋なんですかね、浴衣でドライブ。それは良いとして。

 家に帰ってきてから地元の小学校からの友達とご飯を食べる事になった。いろいろと目星をつけていた和風の小洒落居酒屋なんかを探したんだけれど、どこもかしこもいっぱい。良く流行っていますね、それにしても。うれしい限りなんだけれど。

 結局どこもいっぱいだったので、駅からちょっと離れた、外国人に人気のアメリカンなレストランに落ち着く事にした。アメリカンな雰囲気に下駄をカラコロ鳴らしながら浴衣の僕が入っていくのだ。そりゃお店にいた多くの外国人の視線を集めますよね。奇妙なモノを見る視線と言うよりは「日本にいるんだ」と確認するような、暖かい眼差しだった(と思います)から良かったけれど。

 英語でちょろっと話しかけられたり、常に視線を感じてしまうのはちょっと食事もしにくいし、一緒にいた友達も場が悪い感じをさせてしまったかも知れない。まあ別にどうでも良いと言えばどうでも良い話。そう思わせてくれる自分をさりげなく作ってくれていたのは、この帯(写真)をしているからかもしれない。

 浴衣が出来上がって着せてもらう時に合わせたのがこの帯。はじめは何のことだかよく分からなかったんだけれども、「鎌(の絵)」「○(わ)」「ぬ」で、「かまわぬ」と書いてあるのだ。「かまわぬかまわぬかまわぬかまわぬかまわぬかまわぬ」と帯に一周書いてある。着始めてからしばらくは気にしていなかったんだけれど、人に指摘されてそれに気付いた時には「粋だ」とクラクラしてしまった。

 そして祖母がこの4文字のメッセージを僕に贈ってくれたのか。そう思うと浴衣を夏に着るたびに「かまわぬかまわぬ」と祖母が言っているようで、穏やかな気分になってくる。しかも、ちょっと刺激的な。こんな絶妙な気分を作り出す「粋」さというものを、大切にしたいと思った。

 そんな事を思ったら、また祖母に「かまわぬ」なんて言われてしまうかも知れないけれど。


Twitter Update
    Trackback
    • URL:
      http://upwest.org/mt/mt-tb.cgi/10243