TOKYOTODAY

雪のウィークエンド

by TARO MATSUMURA - 2009.03.10 14:08
Snow Weekend  2月の最終週の金曜日は、雪が降った。積もるほど降るつもりもなかったんだろう。結果的には積もらなかった。けれども、どの年齢くらいから、トーキョーで雪が降ったときにはしゃぐか、はしゃがないかが分かれるだろうか。  トーキョーで降った雪の思い出はいくつかあるけれど、一番小さい思い出は、まだ小学校にも上がっていない頃だろうか(つまり1980年代?)、ドラえもんの映画を見に行った帰りに4月なのに新宿が雪で埋まってた記憶があった。父と弟と3人で映画を見て外に出たら雪。交通機関が止まっているというので、一応スノータイヤをはいているクルマで母が迎えに来ようとしたが、雪に不慣れな都心、1台だけスノータイヤをはいていてもあまり意味が無かった。  今考えてみると、当時ケータイもなかったので、どうやって連絡を取っていたのか不思議でならない。キット公衆電話から家に電話をかけて、「ここでまってるからね」とじっとしていたんじゃないか。  もう1つは、弟との雪だるま作り。積もると行っても3cmから5cm程度なので、大きな雪だるまを作ろうと思うと家の前の路では足りない。スキーウエアとスノーグローブをはめた小さな兄弟は、雪玉転がしで町内を1周をし始めた。  程なくして、二人は路地で止まった。正確には、雪玉が動かなくなったのだ。トーキョーの雪は水分が多く、ずっしりと重たい。夢中になっていた二人は、動かなくなるまでに大きくしてしまった事に気づかなかった。止まってしまったのが路地、と言うのも場が悪かった。  子ども二人が両手をいっぱいに広げると壁から壁まで付きそうな、軽自動車も通り抜けたくない路地。ここで動かなくなるほどの雪玉、ということは、路地の半分以上の直径の雪玉、ということである。幼い兄弟はここで初めて、事の重大さに気づくのであった。  雪玉を転がし始めたのは、雪がやんでから数時間たった時のこと。南岸低気圧は通り過ぎたら寒気が入ってきて、空は晴れる。当然気温が下がる。べたべたしていた雪は、だんだん堅くなり始めていた。つまり、手刀でトン!とやったとしてもとうてい崩せる分けもない。  そして崩したとしても、路地を半分以上埋める雪の量だ。そこにはこんもりと山が出来てしまい、集めた雪を放置するわけにも行かない。困り果てた兄弟が親の力を借りて、ひとまず自分の家の前まで雪玉(当然帰り道も大きくなり続けた)を何とか運び、植木の脇に置いて、控えめな雪玉をもう1つつくって、超小顔の雪だるまを完成させたのだった。  こんな経験が出来るほどの雪は、もうトーキョーでは降らないのだろうか。それもそれで寂しくなる。
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Author

松村太郎 Taro Matsumura

Taro's Portraitジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ビジネスブレイクスルー大学講師。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。スマートフォンに特化した活動型メディアAppetizer.jp編集長。 read more & contact

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