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2005年私家版チェックリストを作る

2005.04.07 11:48 JST - - -

 40本目、最終回の原稿。ここまで書き綴ってきたコラムは、リアルタイムに書いているときは尖った最新事情だったが、今からすると過去の出来事の記録になっているわけだ。これをどう扱っていこうか、というのは僕としては結構楽しみに考えていることだし、「資産」として大切にしていきたいと思っています。

 取材させて頂いた皆様、サポートしてくださった皆様、ありがとうございました。

 いよいよ新学期も始まった。キャンパスではガイダンスや健康診断、サークルの勧誘活動など、昨年の春と同じ風景が広がっている。学校という場所は変化を見つけるのが難しい場所でもある。学生こそ入れ替わっているものの、季節と行事などのサイクルは大きく変わらないし、授業だって基本的には昨年と同じものがラインアップされていて、そこまで大きく変わることはない。
 だからこそ、学生の変化、ネットやケータイの使い方の移り変わりみたいなモノをモニタリングするのにはちょうど良い環境であるともいえる。2005年度のキャンパスで何が起こるかと考えたときにキーワードとなるのが「想像によるチェックリスト」だ。つまり「○○の未来は今後こうなるだろう」とひとしきり考えて、それをアーカイブしていくという作業である。

 というのも、こういった想像や予想が、意外に何らかの形で当たることがあると思うからだ。別に僕が趣味で占いをやっているというわけではないし、ただ無責任に言い放つだけだけれど、当たるか外れるかはともかく、将来どうなるかを予想してチェックリストを作っておくのは面白い。

 3月の末に僕は研究室の自席を引き払うための片づけをしたり、パソコンのハードディスクに置いてあるファイルをDVDに焼いたりしていた。なかなか腰が上がらず、取りかかりは毎回遅いものの、やり始めれば、僕も片づけは好きなのか凝ってしまって時間をかけてやろうとする。

 単純に物を片づけるだけならすぐに終わりそうなものだが、ついついそこにある本をパラパラとめくってみたり、過去のメモ書きやパソコンのファイルの中身を見ながら片づけたりするので、単純作業の2倍以上時間がかかってしまう。しかし宝物のようなモノと出会うこともある。例えば過去にメモしたり記録したりして保存した資料なんかがそれだ。

 僕は日常使っていた手帳やメモを1998年ごろの分からすべて残してある。好きで使っているのは、A4サイズで方眼が入っているノートだ。インターネット上のブログやパソコン上のアウトラインプロセッサやテキストエディタなど、お気に入りのテキストツールを一揃いにするまでは2〜3カ月に1冊のペースでノートを使っていたが、最近では半年に1冊程度の頻度に落ちている。手書きしていたものがデジタル化されつつあるという証拠かもしれない。

 デジタル、アナログで残されていた過去のメモや資料を整理していると、ケータイの未来を予想するというディスカッションメモが出てきた。自分で過去に書いたものながら、これがまた興味深い。未来になるとどんなケータイが出てくるかという後輩とのディスカッションから出てきたアイデアには、「ゴルフスイングが練習できるケータイ」「ヘルスチェックができるケータイ」「複数台で5.1chサラウンドができるケータイ」「着臭」「空気を読むケータイ」などがあった。

 1年〜半年前のメモにあるアイデアの中には、驚くべきことに現在既に商品化されているものがいくつかある。例えばゴルフスイングができるケータイというのは、ケータイを振ることで操作ができる端末としてシャープから発売されていて、内蔵されているアプリケーションでゴルフゲームを楽しめる。また、ヘルスチェックができるケータイというのも、万歩計を搭載した端末が富士通からリリースされている。

 ケータイのことを普段考えているからといって、今現在のケータイの技術や機能の限界を意識して想像しているわけでもない。例えば「複数台で5.1chサラウンドを再生する」というアイデアについて、どの端末が重低音を担当するのか、と考えると、実現されるかどうか不安でたまらない。重低音担当の端末はウーハーのみを搭載して、着うたも低音重視になってしまうのか、あるいは高音用のスピーカーと低音用のウーハーを両方搭載した巨大なケータイになってしまうのか。

 と、今ここまで書いてきての思いつきだけれど、バイブレーション機能をうまく利用して、机の上に置くと低音が鳴っているみたいに微妙な周波数の差で音階が付けられればよいのかもしれない。そうすれば普通の端末でも重低音担当になることができる。机の材質から音階のズレをフィードバックして修正すれば、どんな材質の上でも正確にベース音を刻むことができるようになるんじゃないだろうか。

 あるいはこの際だから、ウーハーを備える低音再生を重視したヒップホップ仕様のケータイにしてしまってもよい。もしそういうケータイが存在していたら、ストリートやクラブカルチャーが好きな人たちの間ではやるかもしれない。例えば友人の中にヒップホップが好きでウーハーケータイを持っているヤツがいれば、他の友人達のケータイと合わせて5.1chの音場環境が作れるようになるし、いなければ低音が抜けたサラウンドになってしまうわけだ。

 「ケータイはアイデンティティの外部器官だ」という学生の意見を以前聞いたことがあったが、そのケータイがどんなサウンドを鳴らすことができるかというのもまた、アイデンティティのひとつだというわけだ。なるほど納得してみたくなる。

 ウーハーケータイやそれを持つアイデンティティでひとしきり盛り上がってしまったが、この「複数台で5.1ch再生」というアイデア、同じ場にあるケータイ同士が連携して協調作業をするという点にフォーカスが当たっていたのを忘れていた。

 ケータイ同士がキャリアの電波を使わずにアドホックにやりとりをする、という状態からいえば、PSPやニンテンドーDSなどの携帯ゲーム端末でゲームシェアリングの機能が実現されている。ケータイという形ではないが、街中の交通機関の中などで、レースゲームの対戦相手を探して小学生とゲームで対戦した、なんていう友人もいるくらいで、車両を移動しながら対戦相手を探すという行動は、もはや奇妙な挙動からよくある光景になろうとしている。

 実はゲームシェアリングもまた「5.1ch再生」のアイデアからは脱線している。このアイデアは人がコミュニケーションを取るための下地作りと言うよりは、ケータイに役割を持たせてその場で協調作業に参加する、あるいはその環境に求められていることを実行するというものだ。だから「空気を読むケータイ」と実は同じベースにあるアイデアになるのかもしれない。

 とまあ脱線しっぱなしで考え進めてきたが、想像をする、無理矢理予想をしてしまう、というのはこういうことだ。考えを進めていくと眠っている色々なアイデアにたどり着けるし、それぞれが1つずつ「当たった」「外れた」「まだ到達していない」「とうていムリ」「実現できても使われない」とチェックすることができるようになるのだ。

 例えばヘルスチェックについては、万歩計だけでなく血圧や血流、心拍数なども含めてチェックするというよりつっこんだアイデアだったし、ゴルフのスイングも、それ専用の機能というよりは振るというインターフェースを追加することで実現したアプリケーションのひとつだった。完全ではないが同様の機能が実現されている様子を見ると、「未来のケータイはこうなる」という予想が的外れではないことが分かってくる。予想が浅かった、甘かった、とはいえるかもしれないけれど。

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僕がなぜSFCをフィールドにするか?

2005.03.24 11:46 JST - -

 最終回の2回前。このコラムを1年間続けてきた思いの丈、みたいなモノを書き綴った。2年後、5年後、10年後に「今だから言えることだけれど」とふりかえれるようなものについて、今その一端を、たとえ不正確であってもつかむことができるのではないか。そういう示唆が多いのがSFCというキャンパスであって、だからこそフィールドとしてコラムを綴ってきているわけだ。

 3月21日、僕は大阪にいた。大阪大学で行われた電子情報通信学会モバイルマルチメディア研究会が主催するパネルディスカッションに参加するためだ。大阪に行くのがやっと2回目という僕にとってはあまり慣れないことだったので、キチンと調べなければならない。そこで取り出したのはケータイだった。

 経路案内で候補を出してきて、もし飛行機だったらそのまま空席案内を調べてチケットを取って、ケータイでそのままチェックインすることだってできる。結局新幹線で行ったのだが、春から夏にかけて名古屋や大阪に行くことが増えることを考えると、ケータイの上ですべて手配できるようになる便利さはとてつもないものがあると思った。そうだ、使っていなければその機能の意味や利点が見えにくいのだ。では使っていれば意味が見えるのだろうか。

 前回は、これまでの本コラムの内訳をふりかえった。どんなテーマが多く書かれているのか、どんなテーマにトラックバックをいただいたのか。僕がキャンパスから切り取ってきたコミュニケーションはどんな類のものだったのか何となくわかってきたのではないだろうか。

 今回は、なぜ僕がSFCをフィールドにして切り取り続けているのかがテーマだ。それは、SFCには未来のコミュニケーションのスタンダードが、進化を見る前の状態で存在していて、生き続けている可能性があると考えているからだ。

 その話の前に、もうちょっと単純な理由として、地の利がある。大学生時代の4年間、大学院生時代の2年間身を置いてきたキャンパスであったから、というのは紛れもない理由の1つだ。しかしそれだけではないと僕は考えている。SFCは「デジタルキャンパス」として内外から認識されていて、そのインフラの充実ももちろんあるが、インフラの上で生活をしている人が5000人近くいることもまた、理由として考えるべきだと思う。

 SFCでは教室内から池の畔の芝生に至るまで、キャンパスのすべてのエリアが無線LANのスポットになっている。メディアセンターにはインターネットに接続されていてビデオ編集まで可能なコンピュータが数多く設置してあり、学生達も自分のノートPCを持ち歩いてキャンパスへやってくる。パソコンやネット、それに関わるデジタルデバイスやアプリケーションが4年間の生活の中に密着しているのがSFCの特徴であることは、このコラムの始めの方でも繰り返し紹介してきた。

 授業のお知らせは基本的に電子メールで流れてくるし、レポート1本出すにしてもメールかウェブから提出しなければならない。必須科目の体育の授業予約だってウェブ上のシステムにアクセスしなければならないし、サークルの日程調整もメーリングリスト上で行われる。そんなキャンパスである。生活とパソコンやネットとが密接に関係しすぎているため、もはやこれらがなければ生活に困るレベルにまで入り込んでいるかもしれない。

 卒業するために仕方なく、と消極的にパソコンやネットがある生活にコミットする人もいる一方で、多くの人たちが大学という新しい環境に入学するのと同じタイミングで、新しい道具と使い方、その上で展開されるコミュニケーションに好奇心を持って入ってくるし、使いこなすのを楽しみながら生活する様子もまた見ることができる。そしてこれらがすべて、キャンパスを現実世界で共有している学生同士で媒介しながら活用されていくのだ。

 リアルとバーチャルとを上手く行き来しながら、バーチャル側のツールを検証したり使いこなしたりしていく学生の姿があるわけだが、ここで疑問が出てくる。例えばネットに関して言えば、なぜネットのトレンドを作る存在になり得なかったのか。ブログやソーシャルネットワーキングを使いこなしている人、組織、キャンパスではあっても、それを作ったのはSFCの学生ではなかった。アクティブユーザーであっても、クリエイティブユーザーではない。なぜか。

 それはあまりに自然に受け入れすぎた、という理由が考えられる。例えばブログに関しても、実名で毎日インターネット上に文章を綴るという活動について、何がすごいのか、何が今までと違うのか、という点について気付くことなく自然に使ってしまう。冒頭で投げかけた疑問、使っていれば意味に気づくことができるのか、という点について、答えはNOであることも有り得るということか。

 そこに存在している今までとのギャップや違和感というものを解消するところにイノベーションが隠れているとすれば、気付かないのだからイノベートすることができないのではないか。

 1995年頃からSFCで流行っていたウェブ日記ブームでは、2003年から2004年にかけてアメリカから日本に輸入してきたブログに近いことが行われていた。ウェブ日記ブームの下、学生達はこぞって自分の学校のウェブスペースに日記を書いていた。ウェブスペースのアドレスには、入学時に割り振られるログイン名が含まれている。このログイン名は、SFCにおいては学籍番号と同じくらいに個人を表すものである。ハンドルネームを使って書いていたとしても、誰が書いているかはわかるので、ほぼ匿名性はないようなものだ。

 特定される個人が毎日ウェブに日記を書き、友達の(ログイン名に綴られている)ウェブ日記を毎日チェックする。友達のウェブ日記へのリンクは自分のウェブ日記に貼り付けるので、誰と誰が友達なのか何となくわかってくる。サークルのウェブサイトへのリンクも貼り付けているなら、その人がどのサークルに所属している科だって知ることができる。

 また、友達でなくても面白い日記はみんなこぞって読むし、そうやってアクセスが集まった日記を書いている人はウェブ日記キング・ウェブ日記クイーンとして、個人が書く文章ながらみんなが楽しみにするようになる。お互いの日記に出てきた話題について、キャンパスで出会ったときに議論を交わしたりするし、初対面でも日記を読んだことがある人とは、共通の話題をお互いに探ることなく話を始めることができる。

 トラックバックやRSSリーダーやソーシャルネットワーキングサービスといった機能こそ使っていなかったが、その一部をリアルなキャンパスでのコミュニケーションや実際の友人関係に任せることによって、現在日本でもインターネットの個人利用を盛り上げているブログ+ソーシャルネットワーキングを用いたコミュニケーションが、そのまま展開されていたと見ることができるわけだ。

 ウェブ日記の例のように、既に5年前からやっていたことであるにもかかわらず、ブログツールやソーシャルネットワーキングサービスがSFCで初めて生まれたというわけではない。コミュニケーション自体は同じなのでツールやサービスのリプレイスはすんなりと達成できるし、新しいツールで効率化されたことによるコミュニケーションの発展はあるかもしれないが、新たなツールを生み出したり新たなコミュニケーションを生み出したり発展させるエンジンとしては、SFCは機能していない。

 もちろんキャンパスの中にいる人間としてそれはもったいないことだと思うし、SFCが新しいコミュニケーションやツールを作り出す場であってほしいという願いもある。その一方で、現在SFCで行われているコミュニケーションが将来のスタンダードの原型である可能性を広く紹介していくことで、SFCのみならず世の中的に次のスタンダードに少しでも気づくことができるなら、それは有意義なことだと思うし、次のスタンダードを作るきっかけにもなりうるはずだ。

 ならば、2年後、5年後、10年後に「今だから言えることだけれど」とふりかえれるようなものについて、今その一端を、たとえ不正確であってもつかむことができるのではないか。そういう示唆が多いのがSFCというキャンパスであって、だからこそフィールドとしてコラムを綴ってきているのだ。これは自分への提案なわけだが、そういう前提を持ったうえで、40本にもなるコラムを読み返してみてはどうだろう。

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数字で見るデジタルキャンパス2004-2005

2005.03.18 11:43 JST - -

 最終回に向けてのまとめていこうということで、今回は数字で見てみました。メッセンジャーに関する話題が5本だったけれど、キャンパスや場所性に関する話が4本、ライフスタイルが8本。メッセンジャーのことばかり書いていた気がするけれど、実はそんなに多いわけではなかったという事になる。振り返ると色々分かりますね。


 まず近況報告から。渡米している間に、おかげさまで2年間在籍していたSFCに設置されている大学院政策・メディア研究科を無事修了することが決まった。修了発表の日に海外にいるというのもなかなかスリリングではあるが、今さらじたばたしたところでしようがないことではある。

 SFCの学部に限ったことではないが、大学のウェブサイトで修了者の学籍番号が発表されるようになった。そのため、発表当日に海外にいても、インターネットにつながりさえすれば卒業・修了を確認できる。卒業旅行で海外に行って羽を伸ばしていても、その日ばかりはネットカフェに駆け込んで確認した、なんていう人がいたのではないだろうか。

 ここで1つの記事についてフォローをしておきたい。ちょうど1カ月前に書いたSFC CLIPによる取材の記事を紹介した。まだ正式には決まっていないような表現になっていたが、一昨日学校へ行った際に生協の店舗へ入ろうとしたところ、Edyに入金するためのチャージ専用機が正面に設置してあった。SFCでは春からEdyを利用できるようだ。

 さて、今回で僕のコラムは38回目になる。今回から40回になるまでの3回は、今まで書いてきた内容を振り返ってみたい。今回は、数字をもとにしてコラムを眺めてみよう。

 まずはどんなテーマについて触れてきたのかを振り返ってみよう。ちなみにバックナンバーへのリンクはこちらのページにまとめられている。2004年4月29日にスタートしたこの連載は、特に書く内容についてプランしながら書いてきたわけではなかったが、面白いもので、いくつかの種類のテーマに分類できた。

メッセンジャー(5)
ソーシャルネットワーキング(2)
ブログ(3)
ケータイ・モバイル(3)
ノートパソコン(3)
PowerPoint(2)
キャンパス・場所性(4)
インタビュー・レポート(7)
ライフスタイル(8)

 ちょっと分類の範囲が合っていない可能性もあるが、具体的なツールやソフト名が出ているものを優先し、それ以外を3つのテーマに分けている。各項目のかっこ内の数字が記事の本数で、ブログのカテゴリ分類のような感じになっている。後から眺めてみると、自分がどこに力点を置きながら書いてきたのか、どんなことがこの1年間で目についたのかがわかる。

 分類したところ、最も記事の多いカテゴリが「ライフスタイル」だった。SFCの学生がデジタルカメラ、iPod、メールアドレスなどのデジタルツール、ネットツールをどのように活用しているかを、キャンパス内での気付きなども加えて書いている。

 興味深いことに、このカテゴリに入る記事はすべて夏休み以降に書かれたものだった。休暇中ならではの旅行の話題もさることながら、キャンパスで授業が行われていないからこそ日常との違いが目立った結果だともいえる。また、このカテゴリに属するテーマは、今後コラムを進めていけばデジタルカメラやiPodの新しい使い方なども紹介でき、新たなカテゴリとなるのかもしれない。

 次いで多かったのがインタビュー・レポートである。SFCの学生や先生へのインタビューや、実は夏休みに一度しか行くことができていない他のキャンパスのレポート、SFCの研究発表の場であるOpen Research Forum(ORF)の取材をした。一般的な話題というよりは、その人のプロジェクトや経験を詳しくお聞きした内容が多かったが、それでも南政樹先生にインタビューをしたデジタルキャンパスのインフラについてご意見を多くいただいた。

 ノートパソコンのアプリケーションやケータイによってネットワークのブラックボックス化が進む中で、インターネットで何ができるかという可能性を、キャンパス内での専門家の減少によって摘まないようにしなければならない。ブログやソーシャルネットワーキングサービスが日本でも普及し始めた中でのそんなメッセージは、SFCに限ったことではないということを表しているのではないだろうか。

 具体的なツールやソフトウェアに関する記事では、最も多かったのがメッセンジャーについての5本だった。思えば最初に書いた記事もメッセンジャーに関したものだったが、SFCの学生からすればごく当たり前の使い方にもかかわわらず、珍しがられることが多いテーマでもあった。

 ただし、この使われ方については、2005年度も同じように続いていくかどうかはわからない。学年が1つずつ代わり、上の世代がいなくなって下の世代が入ってくるからだ。新しく先輩になった人たちが後輩に、メッセンジャーでのコミュニケーションをどのように伝えていくか。またその後輩も、先輩からの教えをどのように紹介して自分のものにしていくか。

 あるいはメッセンジャーがケータイにお株を奪われてしまうかもしれないし、ソーシャルネットワーキングサービスがさらに活用されるかもしれない。僕がこのコラムで昨年追いかけてきたトピックだけに、メッセンジャーの利用がどう変化するのか、大変興味がある。

 僕自身で他のカテゴリよりも面白かったのがキャンパス・場所性のカテゴリで、4本にわたって書いている。ときには履修システムについての疑問をぶつけてみたり、あるときには教室を閉鎖してネットのつながる好きなところから学生が授業を受けられる「分散授業」の実験を思いついて、ブログを活用して実施してみたり。実際の場所でデジタル化が進んでいるキャンパスの姿なのか、インターネット上に構築するバーチャルなキャンパスなのか。「デジタルキャンパス」という言葉の意味を考えさせられたカテゴリでもあった。

 意外に取り上げていなかった、と少し驚いたのがブログとソーシャルネットワーキングサービスに関する話題だ。自分が研究していたテーマだったにもかかわわらず取り上げることができなかったのは、SFCのキャンパスの中で珍しい動きが起きていなかったからなのだろうか。

 SFCではこれまで、多くのネットのツールに関して、コミットしている時間が長くなることで踏み込んだ使い方や珍しい使い方が多いように感じてきた。しかし、ブログやソーシャルネットワーキングサービスに関しては、既存のウェブ日記やメッセンジャーといった以前からあるアプリケーションを活用してきたため、そのことが影響しているかもしれない。

 さて、ここまでどんな話題について触れてきたのかをカテゴリに分類して振り返った。記事に付加されているもう1つの数字である、いただいたトラックバックの数も見ておこう。最も多かったのは、2005年3月17日現在で、「ネットの優等生はケータイが苦手?」と「Macに踏み切るきっかけとその後」の14で、それぞれとても参考にさせていただいた。特に「ケータイが苦手」というコラムでは、最先端とされているかもしれないSFCが、実は世の中の若者の中では遅れてしまっている可能性がある、というご指摘は、先に述べたブログやソーシャルネットワーキングサービスの活用状況と重なる部分があるように思える。

 ケータイやブログだけでなく、僕が学部に入学した5年前にも同じような事があった。世の中ではWindowsがマジョリティで、他の大学ではきちんとMicrosoft Officeの使い方を教えていたのに、SFCではUnix上でLaTeXによる文書整形を教えていて、学生はMicrosoft Officeの使い方は教わらない。そのため、SFCの友人がWord上の文章に表を貼り付けようとする際、Excelで作成してコピーしてくるのではなく、Word上で表組みをして数字を記入して、電卓で計算した結果を記入しているのだ。いくら同じものができるとはいえ、何だか使い方として感心しない。

 自分が見たこと、書いたことへのフィードバックとして、その他にもたくさんのトラックバックをいただいてきました。ここでお礼を申し上げます。記事とトラックバックの数を眺めながら1年間を振り返ってきた。次回はこのテーマ一覧を基にして、デジタルキャンパスで交わされているコミュニケーションについて眺めてみたい。

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ケータイメールで緊急レポート提出作戦

2005.03.10 11:40 JST - - ()

 僕は今アメリカの東海岸、ニューヨーク州のすぐ北に位置するコネチカット州にいる。ここ数日間穏やかな天気が続いていたのだが、朝から急に雷雨がやってきて、その雨が昼頃には雪に変わって、すぐに数センチ積もってしまった。地元の人は「よくあることだ」と言っていたけれど、東京ではこんなにダイナミックな変化に見舞われることがないので、気象に興味がある僕にしてみれば貴重な体験だった。 - read more

スキー旅行に欠かせないデジタルガジェットと茶碗

2005.02.24 11:38 JST - - ()

 今回も春休みの話題から。春休みは夏休みと同様長い休暇で、学生は国内や海外に飛び回る時期だ。夏と違う点は、旅費が比較的安いこととスキー旅行へ行くことができるようになることだ。以前の温泉旅行を紹介した記事では、5人中2人がノートパソコンを持ってきたと紹介した。荷物も多くなるスキー旅行にはさすがに持ってこないだろうと思うが、それでも決して持ってこないとは言い切れないところがSFCの学生のイメージだ。 - read more

Edyと昼食とキャンパスの課題

2005.02.17 11:36 JST - -

 SFCは春休みに入っている。学生は海外旅行やサークルの合宿へ出かけたり、卒業を控えた学生は最後の休みを満喫している。例えば海外へ行っている友人からは、普段の電子メールではなくソーシャルネットワーキングサービス上からメールが届いたりしている。メッセンジャーのコンタクトリストではオンラインの人は半分くらいに減っているし、普段ほぼ必ずオンラインという人すらサインインしていなかったりする。普段とは違うコミュニケーションの取り方をしてくるのも休暇中ならではかもしれない。 - read more

Macに踏み切るきっかけとその後

2005.02.10 11:22 JST - - ()

 試験やレポートのシーズンも終わり休みに入ると、SFCの様々なインフラがメインテナンスやリプレイスに入る。それは学生が日常的に使うコンピュータやネットワークの設備からキャンパス内の通路の補修、単位や履修の仕組み、カリキュラムなど、キャンパス内のソフトやハードから、最寄りの駅からキャンパスまでのバス交通の見直しまで多岐にわたる。時代のスピードにあわせた更新作業と、他の大学やキャンパスに比べたらまだまだ若い部類に入る発展途中のキャンパスの構築作業とが同時に進行していく様子はダイナミックに映る。 - read more

バックアップとデータのありか

2005.01.27 11:17 JST - -

 1月末にもなると、テストやレポートのシーズンも佳境に入っている。このシーズン毎度の事ながら、メッセンジャーのコンタクトリストを見ていると徹夜組の多いこと。テスト前の一夜漬けは中学・高校生でも当たり前の事だが、レポートもまた徹夜の原因の1つだ。 - read more

心変わりで変更するメールアドレス

2005.01.20 10:56 JST - - ()

 年明けから新生活が始まる4月までは、メールアドレスの変更ラッシュとも言える時期になる。SFCの学生も例外ではない。3月で卒業する学生から「パソコンに届くメールアドレスを学校以外のアドレスに変更して下さい」という知らせが多くなってきた。卒業生は年間使用料を払えば学生用のメールアドレスを継続して利用できるため、多くの人が卒業後もアドレス変更なしにコミュニケーションを取っていた。 - read more

ペーパーレスキャンパスで紙が持つ意味を考える

2005.01.10 10:52 JST - -

 鏡開きまで済んだ後にこの挨拶だ。どうも間が抜けてしまうかもしれないが、僕にとってはそれほど見当外れな感じはしない。今日が修士論文の締め切り日であったからだ。締め切りが迫る正月を正月気分で過ごすことが出来なかったので、感覚としては提出し終わった今日が元旦である。ひとまず1月13日を元旦として3日間、初詣に行ったり売り切れ間近の福袋を他所で物色したりと、10日遅れの三が日を楽しみたいと思っている。 - read more

残念!理不尽に打ち勝つお買い物ガイド

2004.12.30 10:49 JST - -

 「マーフィーの法則」という本をご存じだろうか。「失敗する可能性のあるものは、失敗する」というフレーズから始まるこの本はArthur Blochによって書かれ、1993年に発売された。当時ベストセラーになっていたので家にあると言う方も少なからずいるのではないか。僕もまさにその1人である。1993年といえば僕が初めてパソコンに触れた年で、今から実に10年以上も前の話だ。最近イマイチ納得できないことが続いていて、何となく本棚を眺めていたらこの本が目に入ってきたからついつい紹介してしまった。 - read more

電車男のアドホックコミュニケーション

2004.12.16 10:48 JST - -

 2004年のネット界隈をにぎわした話題として「電車男」はもはや外せない。僕自身2ちゃんねるを見直した、というよりはそれを通り越して、感動させられたのは昨年の「マトリックスオフ」だった。ちょうどそのときに『オルフェウスプロセス』という本を読んでいたからと言うこともあったのだが。とにかく今年は「電車男」だ。だからと言うわけではないが、近くないが遠からず、と言う電車内の話題から。 - read more

2日間のオフライン - 風邪をひいて寝ているわけではない

2004.12.09 10:43 JST - -

 パソコンを立ち上げるとついついメッセンジャーを起動してコンタクトリストのサインイン名をさらっと見渡す。サインイン名を見渡すのは日課というよりは“時課”と言えるかもしれない。そうやって見渡しているサインイン名にはレベル表示が多く見られる。「Lv12」だとか「Lv21」なんて言う人もいる。先頃発売された定番ロールプレイングゲームの新作の進捗状況だということは容易に想像できる。ちなみに僕はまだ買っていない。 - read more

コラボレーションをカタチにする場 - ORFリポート

2004.12.02 10:39 JST - -

 11月23日、24日の2日間、慶應義塾大学SFCの研究発表イベントOpen Research Forum(ORF)が六本木ヒルズで行われた。六本木ヒルズが会場となるのは昨年に続いて2回目で、昨年は24Fだったが今年は2月にオープンした40Fのアカデミーヒルズ40で行われた。僕がORFに参加するのは4回目で、2001年、2002年はSFCのキャンパスを使って行われていた。 - read more

表情あるタイピング音

2004.11.18 10:34 JST - -

 SFCの休み時間は15分が基本だった。キャンパスがやや遠いところに位置しているため、1限の時間は慶應義塾大学の他キャンパスよりも遅くスタートする。しかし昨今行われるようになってきた遠隔授業が出来るように、13時から始まる3限以降は開始時間を他キャンパスと揃えてあるのだ。1限が遅くて3限は他キャンパスと同じとなると、しわ寄せは2限と3限の間の昼休みに響いてくる。 - read more

PowerPointとつまらないプレゼンを無関係にするには?

2004.11.04 10:25 JST - -

 PowerPointのスライドはプレゼンテーションをするときのビジュアルの“助け”として使われるべきではないかと思うが、SFCではグループワークのアウトプットの対象であったり、そのアウトプットを発表の際に表示させて発表者が台本として読んでしまったりといった、“助け”に留まらないポジションを獲得してしまっている。僕はこれをネガティブなニュアンスで受け止めているが、一方でPowerPointの使い方を考える上での示唆にもなっている。それでは他にどのような使われ方がありうるのか、ご紹介しよう。 - read more

PowerPointが先導するプレゼンテーション

2004.10.28 10:14 JST - -

 SFCの授業に見られる特徴の1つはグループワークが多いことだ。グループワークとは、履修している学生を5人から10人ほどのグループに分け、議論をしながら課題に取り組みアウトプットをするという授業のスタイルだ。グループワークの課題が出される多くの授業では、授業時間中は先生の講義があるためそれ以外の時間帯を使って作業することになる。このため学生たちはメディアセンター(図書館)に夜遅くまで残ったり、そのまま学校に泊まったり(“残留”と言われている)しながら共同作業に取り組むことになる。 - read more

台風メッセンジャー - プライベートな情報網で何ができるか

2004.10.21 10:07 JST - -

 まず季節の話題、といっても平年よりも時期的に遅い気がするが、ここ最近毎週のように台風に見舞われている。SFC周辺でも大雨の影響が出ている。SFCは丘の上に建っているが、キャンパスの入り口やバスターミナルはその丘の下にある。地形的に水が集まってきてしまう場所に当たるのか、ちょっと強く降った雨でも短時間で道路に水が溜まり始めてしまう。 - read more

創発を起こすインフラとは?

2004.10.14 04:08 JST - -

南先生へのインタビュー後編。キャンパスのインフラのお話を伺っていたが、広くネットワークインフラのあるべき未来像にまで、現在あるネットワークを体系化してわかりやすく示して下さり、むしろ僕も大変勉強になりました。 - read more

スーパーユーザーの減少に見るキャンパス環境の変化

2004.10.07 04:05 JST - -

shibuさんに「少しテクニカルな話をインタビューしてみては?」と前々から進められていて、南先生を紹介して頂いてお話を伺った。問題意識を伺ってから現状の問題点を書いた前編。 - read more

ウェブ履修システムにみる大学IT思想の違い

2004.09.30 04:04 JST - -

SFCでも授業が始まって、履修制限で本当に学生達が不自由している姿を見て、これは何かかけないだろうか、とひねり出したエントリー。ちょうど庵君がアメリカに留学していて、そちらでの履修システムの話を教えてくれた、と言うこともあって比較することが出来た。感謝。 - read more

ネットがともしたキャンドルナイト

2004.09.16 04:01 JST - -

石元君とはいつか話をしてみたい、とずっと思っていたんだけれども、やっと願いが叶った。別に記事にするのがついで、だとかそういうわけではないです。でも夏休み中でいろいろと見聞を広める機会が多かったので、そういう意味では自分の記録としても記事に残すというのは良いのかもしれない。彼も本当に忙しそう! - read more

デジタルキャンパス行脚(1)

2004.09.09 03:58 JST - -

2002年に知り合ってお世話になっている武蔵工業大学の小池先生を訪ねたので、そのまま取材をしてしまおうということで先生や学生からお話を伺った。勝手にシリーズ化している当たりが何とも安易なんだけれども、またどこかに取材に行かなければならないですね、このタイトルは。 - read more

感覚の増幅をデザインする

2004.09.02 03:55 JST - -

このインタビューは自分で書いて、初めて大好きになった記事。取材は福岡に電話を30分かけさせて行うという、なんとも迷惑なことをムリ言ってお願いしたんだけれども、快く応じて下さってありがとうございました。書いていてエキサイティング、読み返してみてエキサイティング。こういう記事をたくさん書きたいです。 - read more

半径5mのマーケティング

2004.08.26 03:52 JST - -

インタビューを少し記事にしていこうということで(“ということで”と言っても、僕が勝手にそう思っただけ)、ReadOneを開発して今はRedCruiseのCTOをやっている船木君に取材をした。何か物を作った人にインタビューするというのは本当に楽しいモノです。 - read more

5人1泊1GB - 多視点でよみがえる記憶

2004.08.19 03:52 JST - -

これはちょっと懐かしい旅行の話を、夏休みと言うことで掘り起こしてみた記事。iPhotoで時系列に並べてスライドショーをぽんと押してみたときの、多視点記録の感覚を書いてみた。この感覚を書く、と言うのが毎回危険なんだな、と思いつつ、出もそこにチャレンジしたくなる自分もいるわけで。 - read more

ふりかえり: 特殊な常識を探す

2004.08.05 03:48 JST - -

学校で春学期が終わったと言うことと、お盆休みの前と言うこともあって、ここで一回まとめてみようということで書いてみたが、これがまたなかなか批判を浴びるエントリーになっている。まあ僕の文章がへたくそでキチンと伝わっていないための批判もあれば、根本的に考え方が違う批判もある。どちらも上手く吸収させて頂きたいと思います。 - read more

脳を繋ぐテキストチャット、空間を繋ぐビデオチャット

2004.07.29 03:45 JST - -

この時期からなにかとビデオチャットで話し込むことが増えてきていて、それで覚えた感覚をコラムに書いてみた。実は完全に自分の感触から記事を興すのはこれが始めてかもしれないんだけれど、やはりそれなりに生む苦しみというモノを味わいました。 - read more

ググらずSNるようになったSFC生

2004.07.22 03:43 JST - -

SFCの学生の癖で、すぐに人名をGoogleで検索するというモノがある。プロフィールに近いモノが出てきたり、過去のレポートが出てきたり。意外とずさんなアーカイヴ管理がなされている結果、これが遊びとして成立するんだけれど、調べられた方は溜まったもんじゃない。ソーシャルネットワーキングで検索する方が出ている情報を管理しているという点で良いでしょう? - read more

自己主張するノートパソコン

2004.07.15 03:39 JST - -

Macのことは書かないようにしようと思っていたんだけれども、やっぱり少し触れよう。と思って書いていたら、なんだかもうちょっと別の論点になった、と言うエントリー。大教室で共有されるiTunesのプレイリストやメッセンジャーのステイタス表示などがその一例。誰でも、ケータイをデコレーションするよりももっと巧妙に、PCの中でちょっとした自己主張をしているはず。 - read more

Windowsに染まるSFC

2004.07.08 03:38 JST - -

いつかMacについて書きたいと思っていたんだけれども、あからさまにそういうタッチでは書けないのでぐっとこらえている。別にこの記事でもその思いを爆発させたわけではない。むしろ、UNIXベースであったSFCがどんどんWindowsベースに移行しているという指摘とそれによる変化について。 - read more

授業はネットが繋がるお好きなところで

2004.07.01 03:35 JST - -

これもblog関連。情報通信文化論で遠隔授業ならぬ「分散授業」を実施したのでそのリポートを書いた。これは試みとしても現象としてもとても興味深く、面白いモノになったと思う。このエントリーを少し暖めた上で、実際の授業設計に組み込めるようにブラッシュアップする必要はありますね。 - read more

デジタル時代ならではのキャンパスの存在意義

2004.06.24 03:32 JST - -

これもバックストーリーがある。加藤文俊先生のblogの上でSFCのラウンジに関する議論をし始めていた時期で、遠隔授業やそれに類する、学習の場を教室から引きはがしてリデザインしている取り組みについて紹介していた。一番反応が多かったのは、最後にひょこっと出した「アウラスペース」だったんだけれど。 - read more

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